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第8話


 貴志さんは私の運命の人。端で聞いていればバカバカしいと思われるかもしれない。けれど、私にとって彼との出会いは運命以外の何物でもない。だからと言って、この出会いが必ずしもハッピーエンドになるとは限らない。辛い結果に終わるかもしれない。でも、それはどんな風にでも変えられる。すべては私次第だと思う。だから、私は悔いを残したくない。今の主人と結婚したことのように…。


 主人は優しかった。元々お酒があまり飲めない人だったから、夜遅くに酔っ払って帰ってくることなどまったくなかった。それに比べて私の方は結婚してからも友達と会えば、お酒を飲んで遅くなることが度々あった。

「僕のことはいいよ。自分のことは自分でできるから。君は君のやりたいようにすればいい。だけど、一つだけ守ってほしいことがある。家庭がある身なんだから、日付が変わる前には帰って来て欲しい」

 主人がわしに望むのはそれだけだった。主人は歳の離れた嫁を貰ったことに多少の引け目を感じていたのかもしれない。

 やがて、子供ができると、私は出歩く機会もなくなり、良き妻と良く母親を無難にこなしていた。


 長女の菜奈緒が幼稚園に入ると、いろんな行事がありその度に父母の会の会合やら行事の準備やらで家を空けることが多くなった。まだ小さい次女は主人が面倒を見てくれた。

 菜奈緒と仲のいい横井まりなちゃんのところはお母さんに変わってお父さんが良く顔を出していた。気さくで面白いまりなちゃんのお父さんはリーダーシップもあって、渋谷綾乃ちゃんのお父さんと共に父母の会の中心的な存在になった。

 会合の後で軽くお酒を飲むような機会も増えて来た。渋谷さんのところは夫婦そろって顔を出していたから仲のいい夫婦だと評判だった。横井さんはそんな中で他のお母さんたちに人気があり、私もそんな雰囲気の中で次第に横井さんに魅かれていった。他のお母さんたちが早く帰ってしまうと、私は横井さんと二人で居残ってお酒を飲むこともしばしばあった。そんなこともあって、横井さんは父母の会の会合以外の飲み会などにも私を誘ってくれるようになった。けれど、私にしてみれば彼はただの飲み友達以外でしかなかった。


 その後、貴志さんとは当たり障りのない話で盛り上がり、カラオケなどを楽しんでから店を出た。そして、一緒にタクシーに乗った。

「じゃあ、僕はここで降りるから」

 そう言って、彼はタクシー代金を私に握らせて一人で先に降りた。



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