第6話
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彼と二人で喫茶店に居る。信じられない。でも、どう切り出そう…。いきなり、あなたは私の運命の人だなんて言ったらドン引きされるわよね…。でも、とりあえずお礼を言わなくちゃ。私は今朝のお礼を言った。
「本当に大したことじゃないのに。だけど、僕もあなたにまた会えたのは嬉しいな」
やった!彼は私のことを覚えていてくれた。そして、また会えて嬉しいと言ってくれた。これは脈があるかも。考えてみればそうよね。だって、彼は“運命の人”なんだもの。そう思うと急に頬が火照って来た。そして彼が言葉を続けた。
「でも、もし、僕が残業とかで帰りが遅かったら会えなかったね」
確かに彼の言う通りだ。実際、私も諦めて帰るところだった。けれど、こうして会うことが出来た。
「でも、会えましたよ」
「まあ、そうだけど…」
やはり、彼は戸惑っているようだ。でも打ち明けるのなら今しかない。このまま、だらだらと話をしていてはここでお別れになっちゃう。
「運命だと思ったから…」
私は恐る恐る口にした。そのせいで少し声が小さくなってしまった。
「えっ?」
聞こえなかった?大丈夫。自信を持って。もう一度ちゃんというんだ。
「今朝、あなたに会えたのは運命だと思ったの」
「運命って…」
やっぱりちょっと戸惑っているみたいね。もう、畳みかけるしかないわ。
「お付き合いして頂けますか?」
言っちゃった。彼はどんな反応を見せてくれるかしら。
「お付き合い?申し訳ないけれど、僕には妻も子供もいるよ」
当然の反応ね。でも、それは知っているわ。それでもいいのよ。
「携帯電話の番号とメールアドレスだけでも交換してもらっていいですか?」
「それくらいなら、かまわないけれど」
やったわ!
「じゃあ、お願いします」




