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第44話

44.


 単刀直入に切り出した。

「山本さんは安西さんのことをどう思っているんですか?」

「いい人ね。好きよ…」

 悪びれることなくさらりと答える山本さん。そして、更に話を続ける。

「今日、青山さんに呼び出されたのはその事なのだとすぐに解かったわ。私ね、何度も安西さんにモーションをかけたのよ。でも、彼ったら取りつく島もないのよ。だから、彼のことはとっくに諦めているわ。けれど、癪だから少し困らせてやろうかなんて思ったりもしたのだけれど、それもなんだかバカバカしいからもう止めたわ。彼の気持ちを射止めた青山さんが羨ましいわ」

 そこまで話すと山本さんは脱力感と共に何か含みのあるような微笑みを浮かべた。私はためらわずに自分の気持ちを伝えた。山本さんには下手な誤魔化しはしない方がいいと思ったから。

「私は安西さんのことを愛しています。今の主人と別れてでも一緒になりたいです」

 言って、山本さんの反応を窺った。彼女は「そんなことは知っている」と言わんばかりに頷いて私を見つめる。

「彼には素敵な奥さんが居るわよ」

「はい。菜穂子さんはとても素敵です。でも、私と貴志さんは結ばれる運命ですから」

 私の言葉を聞いて山本さんは苦笑している。

「運命か…。一途なのね。本当に運命ならきっとそうなるのでしょうね。私の運命の人は誰なのかしら…」

 そこまで言うと山本さんは遠くを見つめるように視線を逸らした。そして、再び私の方に目を向けるといたずらっぽい笑顔で言った。

「応援させて。私には叶えられなかったことをあなたには叶えて欲しいわ。その代り、今日はとことん付き合ってもらうわよ」

 私は山本さんのことを誤解していたみたい。彼女も私と同じように貴志さんのことを思っている。純粋に彼のことが好きなのだということが判った。彼女は決して人を貶めるようなことする人ではなかった。

「はい。それで、一つお願いがあるんですけど…」

 山本さんは私の頼みを快く引き受けてくれた。今度の週末に横井さんと話をする機会を作ってくれた。そして、その場に同席してくれると言ってくれた。


 そして、その日、私は山本さんと共に横井さんと会った。





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