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第41話

41.


「会えますか?」

『いいよ』

 貴志さんは私の誘いを断らない。何よりも私のことを優先させてくれていると思う。なのに、私はいつも自分の都合だけで貴志さんを振り回してしまっている。

『じゃあ、いつものところで』

「はい」

 その日、貴志さんは少し残業があるのだと言った。だから直接店で待ち合わせをすることにした。早く貴志さんの顔が見たい…。


 店に行くと、まだ開いていなかった。私はマスターが来るまで店の前で待つことにした。マスターは間もなくやって来た。

「どうも。待って居てくれたんですか?すみません。すぐに開けますから」

「いいえ、ごゆっくりどうぞ」

 マスターは店を開けると、私をカウンター席に案内し、冷蔵庫から冷えたビールとグラスを出してくれた。

「お待たせしたお詫びです。サービスしますから、支度ができるまでそれを飲んでいてください」

「ありがとうございます」

 私はグラスにビールを注いで一気に飲み干した。

「今日は川村さんと待ち合わせですか?」

 マスターが支度をしながら厨房から声をかける。

「はい、残業があるので遅くなると言ってましたけど」

「そうですか。どうせ他のお客さんは来ないと思うのでゆっくりしていって下さいね」


 ドアが開いた。貴志さんだった。待ち合わせの時間より早い。

「早いんだね」

 そう言ってほほ笑む貴志さん。その笑顔は卑怯なほど清々しい。貴志さんの顔を見たらなぜだか急に涙があふれてきた。大好きな人と一緒に居られるのに泣いてしまうなんてどうしてしまったのかしら…。そんな私を見て貴志さんは「しようか?」と言ってくれた。私は貴志さんの温もりに包まれたくて「はい」と答えた。

 貴志さんを受け入れている間、私はとても幸せな気持ちでいられる。でも、そんな時間はあっという間に過ぎてしまう。そして今夜も…。





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