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第32話

32


 天気予報では朝から雨が降り始めるということだったらしい。主人は起きて天気を確かめるために、たまたまベランダ越しに外を見たらしい。ちょうどその時、私がタクシーから降りて来た。

「地元のお友達とカラオケをしてたの。彼女がタクシーで帰るから送ってもらったのよ」

「何かと大変なのは解かる。たまには息抜きをするのが悪いとは言わない。だけど、菜奈緒もまだ小さいんだから」

「はい。気をつけます。今日は本当に久しぶりに誘われたから。すみません。すぐに朝御飯の支度をしますから」

「いや、今日は早朝会議があるんだ。もう出かける」

 主人はそう言って出かけて行った。私は貴志さんにメールした。

『タクシーから降りるところを主人に見られていたみたいです。送ってくれたのが貴志さんだとは気付いていないと思うのだけれど』

 そこで菜奈緒が起きて来た。

「トイレ…」

「そう。まだ早いから、もう少し寝てていいわよ」

 そう言って菜奈緒を見送ってもう一度メールした。

『何とかごまかせました。チケットありがとうございます。おやすみなさい』

 余計な心配を掛けてしまったかしら…。そう思ったのだけれど、こういうことはちゃんと話しておいた方がいい。

 もし、彼が菜穂子さんに朝帰りを気付かれたらどんな言い訳をするのだろう…。再び菜奈緒が起きて来た頃には雨が降り始めていた。


 今日はバレーボールの練習日。私もセッターとしてチームの戦力になるところまで来ていた。

「アオちゃん、いいわよ。今度の試合が楽しみだわ。なにしろ、アオちゃんはうちの秘密兵器だからね」

 練習の後はいつものように近くのファミレスでお茶会。話題は貴志さんの話になった。チームのメンバーは貴志さんと菜穂子さんのことをよく知っている。彼はお子さんが小さい頃はよく一緒に試合会場にも来ていたらしい。そういうところをチームのみんなは目にしていたから「菜穂子はいいよねえ。旦那と仲良しで…」そんな会話が良く出てくる。

「アオちゃんってさあ、うちの旦那どう思う?」

「えっ?」

 いきなりそんなことを聞かれても、なんて答えていいのか…。




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