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第28話

28.


 貴志さんはすぐに電話に出てくれた。ちょうど今帰ってきたところで、晩ごはんの支度を始めるところだと言った。私もお腹がすいていたのでラーメンを食べにいかないかと誘ってみた。

『いいけど、今日はバレーじゃなかったの?』

 そうよね。私も菜穂子さんと一緒に居るのだと思うわよね。

「はい。行ってきましたよ。今、終わったところです」

『練習終わったら、みんなでお茶に行くんじゃないの?』

「私、入ったばかりだから、そういうのにはまだ馴染めなくて」

 本当はそうではないのだけれど、やっぱり何か後ろめたい気持ちがぬぐえない。

『そう…。僕でよければ付き合うよ』

 貴志さんはいつも優しい。でも、今のやり取りで私と菜穂子さんとの関係がうまくいっていないと思ったかもしれない…。


 駅前の中華料理店へ行くと貴志さんは既に来ていた。

「こんばんは」

 少し緊張する。そんな私の表情を貴志さんは感じ取ったみたい。

「どうしたの?」

「私、バレーボール辞めようかな…」

「どうして?」

「菜穂子さんと顔を合わせるのが怖いから」

「ウチのヤツが苛めるのか?」

「そうじゃなくて…」

 そう。菜穂子さんはとても優しいの。いっそ、苛められるくらいの方が気が楽なのに。

「まっ、取り敢えず、何か注文しよう」

 貴志さんが話をそらしてくれたので助かった。こういうところはとても気が利く人。私は手渡されたメニューを広げた。美味しそうな料理の写真を見たら、なんだか幸せな気分になってきた。それもこれも、そこに貴志さんがいるから。

「何にするか決まったのかな?」

「はい!」

 貴志さんが生ビールを注文したので私も緑茶ハイを注文した。そして、大好きな海鮮タンメン。貴志さんは頷いて店員を呼ぶと、他にスモークした鴨と春巻き、春雨のサラダを注文した。どれも私が好きなものばかり…。





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