第24話
24.
今日は珍しく主人が家に居た。休日も仕事や接待で家を空けることが多い主人が今日は家に居た。今で新聞を広げてコーヒーを飲んでいた。
「今日はお休みなの?」
「そうなんだ。久しぶりにゆっくりしようと思ったんだけど、なんか目が醒めちゃってね」
「そう…。朝ごはん食べる?」
「頼むよ。そう言えば、ママの料理を食べるのも久しぶりだなあ」
料理と言えるほどのものではない。ボイルしたソーセージとスクランブルエッグ、サラダと焼き魚。いつも娘のために用意している朝食のメニューをそのまま出した。そうこうしているうちに娘も起きてきた。
「パパ、約束覚えてる?」
「覚えてるよ」
それを聞いた娘は万歳のようなポーズをして喜んでいる。いったい、何のことだろう。私の知らないところで何か約束でもしていたのかしら…。
朝食を終えると娘は主人と出掛けて行った。今度休みが取れた時には映画を見に連れて行ってくれることになっていたのだという。
「ママ、たまにはゆっくりしてていいよ」
出掛けに主人がそう言った。
ゆっくりしていいと言われても、やらなければならないことは山ほどある。掃除に洗濯…。帰りは夕方のなるというので、夕飯はみんなで楽しめるすき焼きかなんかにしようかしら。一通りの家事を終えて。軽い昼食を取った。それから近所のスーパーへ買い出しに行くことにした。
買い物かごを自転車にぶら下げてスーパーの近くまで来た。前から歩いて来る男の人に目が行った。貴志さんだった。こんな時に貴志さんに会えるなんて嬉しい。手を振って声を掛けようとして私は思いとどまった。菜穂子さんと一緒だったから。そして、軽く頭を下げるだけに留めた。
「青山さーん!」
私に気付いた菜穂子さんが手を振って応えてくれた。貴志さんは横で気まずそうな顔をしていた。私は自分でも判るほど引き攣った笑顔で菜穂子さんに微笑んだ。




