第21話
21.
「僕の何がそんなに気に入ったんだろうね」
山本さんが貴志さんのことを古くからPTAに居るお母さんたちに聞きまわっていることや、そのことで山本さんと貴志さんが付き合っている様に思われていることを話した。その話を聞いた貴志さんの反応だった。
「まあ!貴志さんったら、他人事みたいに言って!貴志さんって、自分では気が付いていないのかもしれないけれど、とても素敵な男性だと思うんですけど。この私がこんなに好きになってしまったんですから。私、いつもビクビクしてるんですよ。他の人に貴志さんを取られはしないかって」
「僕と優里は運命なんだろう?だったら、誰が何をしたって僕たちは離れたりしないよ」
「本当に?」
「だって、運命なんだから」
最初は不安だった。“運命”だなんて言って貴志さんに近付いた私を彼は“変なヤツ”みたいに思っているのではないかと。でも、今では貴志さんも“運命”だと思ってくれているみたい。嬉しい。でも恥ずかしい。思わず、貴志さんから顔をそむけてしまった。
「僕だって心配だよ。PTAなんてやっていたら、みんなが優里にちょっかいを出して来るんじゃないかってね。そういうのが目当てで役員になる男性保護者も居るからね」
「ウソでしょう!だって、みんな子供が居るお父さんたちだよ」
「お父さんだって男だよ。それに、お母さんだって女だし。優里だって旦那さんも子供もいるのに僕と付き合っているだろう?」
「うう…。それを言われると…」
「少しは罪の意識があるんだね」
「それは違うわよ。私は悪いことなんかしていないもの…」
その時、貴志さんの携帯が鳴った。誰かからメールが入ったみたい。まさか、菜穂子さんじゃ…。でも、貴志さんは携帯の画面を私に見せてくれた。どうやら菜穂子さんではないみたいね。えっ?でも、それじゃあ…。私はそのメールの差出人の名前を見て思わず声をあげてしまった。
「えっ?うそ!」
そのメールにこう書かれていた。
『見ちゃった!今、お店の外に居るのよ』




