第18話
18.
PTAの役員会は月に一度程度のペースで開かれる。その日、私は会議で使う資料を印刷するために少し早く学校の会議室に行った。USBメモリーのデータから、今日の資料をプリントアウトしていると部屋の外から話し声が聞こえてきた。
「ねえ、藤田さんって、Pの役員長いよね」
聞き覚えのある声に私は思わず聞き耳を立ててしまった。
「そうなのよ。なんだかんだ言って、もう、10年くらいやっているかしら」
「じゃあ、安西さんとかも知っているよね」
「ええ、3年くらい一緒にやったわ」
「この前、ちょっと会う機会があって、一緒にお酒を飲んだんだけど素敵な人じゃない?」
「そうね。当時も結構、安西さんのファンだと言うお母さんたちは多かったわよ。奥さんも素敵な方だしね。あっ!もしかして山本さんも安西さんのファンになっちゃった?」
「まあ、そんなところだけど、私の場合はもう少し踏み込んだ関係かも知れないわね」
「えっ?それってどういうこと?」
「内緒!」
ドアが開いて二人が会議室に入って来た。私は慌ててプリントされた資料を束ね始めた。
「青山さん、早いのね。あ、それ、今日の資料ね。閉じるの手伝うよ」
そう言って藤田さんは並べられた資料を順にホチキスで閉じていった。一緒に入ってきた山本さんはとっとと自分の席に座って携帯電話をいじっている。
「ねえ、青山さん、安西さんって知ってる?」
「ええ、同じバレーボールのチームですから」
「ああ、奥さんの方ね。実は今、山本さんから聞いたんだけど、その安西さんの旦那さんと訳有りみたいよ」
「旦那さん?」
「そっか!青山さんは安西さんの旦那さんは知らないか」
「ええ…」
「それがいい男なのよ。私も何年か前に一緒に役員やったんだけど、彼、モテモテでね。それが今、山本さんから聞いたんだけど、なんか意味深なことを言うのよ。ちょっと興味ない?」
「いえ、別に…」
私は山本さんの方をチラッと見た。何を考えているんだろう…。




