第17話
17.
かえって怪しまれたのではないか…。昨日の菜穂子への受け答えと帰り際の態度が。でも、私と貴志さんとの接点は無いはず。菜穂子さんも本気で疑っているわけではなさそうだった。大丈夫!大丈夫だよ。きっと…。
翌日、貴志さんから連絡があった。
『会える?』
「いいですよ」
『できれば早い時間がいいんだけど』
「7時くらいでもいいですか?」
『OK!じゃあ、駅前の中華で』
「はい!」
昨日の今日だ。気になる…。浮気の件で菜穂子さんと何かあったのかしら…。
彼は仕事帰りの様だった。私に気が付くと目で合図をしてくれた。
「実はさあ…」
来た!私は気持ちを引き締めた。
「…結局、山本さんと会ったんだ。二人で」
えっ?そっち…。菜穂子さんのことではなくて、ちょっと安心した。いえ、考えようによってはこっちの方がまずいのかも…。
「どうして会ったりしたんですか?」
「もう、会うつもりはないから」
「貴志さんにその気が無くても、山本さんはもう、自分の彼氏くらいのつもりでいますよ」
「そんなわけはないだろう…」
「甘いです。まさか、私のことを話したりしていないですよね?」
まさかとは思うけれど、確認した。それから、昨夜の菜穂子さんが話していたことも話した。
「へー、そりゃ奇遇だねえ」
貴志さんは浮気話のことよりも、私が菜穂子さんと同じバレーボールチームだと知って呑気に言った。そんな貴志さんに私はしつこく釘を刺した。二人の仲が公になってしまったら、運命が変わってしまうかもしれない。
「大丈夫だよ。優里のことは誰にも言ってないから」
「それならいいですけど」
彼のこういうところが好きなのだけれど、それがかえって不安になる。何も無ければいいのだけれど…。




