第11話
11.
ほんの出来心だったわ。あんなことが無ければ横井さんがこんなに私のことをどうこう言う事もなかったと思う…。
バレーボールを初めて最初の試合の日だった。
連盟の試合で、昇級が掛かった大事な試合だった。入ったばかりの私は試合には出られなかったけれど、チームはキャプテンの菜穂子さんたちの活躍で見事に勝って昇級したの。その日の夜は打ち上げで盛り上がったわ。
その打ち上げの席に吉本さんが居た。チームの監督が吉本さんの会社の後輩で応援に来たのだと言っていた。チームのみんなとも顔見知りらしくて、話も弾んでいたわ。そんな彼が私の隣にやって来た。
「見ない顔だね」
「ええ。入ったばかりなので」
「この辺に住んでる人?」
「はい」
吉本さんは私の子供たちと同じ学校に子供を通わせていると言っていた。それで、私はちょっとした安心感を覚えて彼と話し込んでしまった。
打ち上げは盛り上がり、二次会へ行くことになった。菜穂子さんたち主力の人たちは試合で疲れたからと言ってそこで帰って行った。吉本さんを含む何人かで二次会のカラオケに行った。
「ちょっと知ってるヤツがいるから呼んでもいい?多分、青山さんも知ってるかもしれないよ」
吉本さんはそう言って、そこにやって来たのが横井さんだった。
カラオケは朝方まで盛り上がり、私もかなり酔っていた。店を出た時には外も明るくなり始めていた。
「もうちょっと遊んでいこうよ」
横井さんに誘われて私は彼について行った。ほとんど意識が無くて、まともに歩けないほどだったから、気が付いたときには驚いた。私は横井さんとホテルのベッドに居たのだから。それ以来、横井さんは私のすることにいちいち口を挟んでくるようになった。
私を抱いても私のことを思いやってくれる貴志さんとは大違い。
タクシーがハザードランプを点滅させながら私の方へ近付いてきて停車した。ドアが開くと中で貴志さんが手を振っていた。




