魔王と勇者の宿命
アリシアパートです
「既に亡き、貴女のお父様宛に出せば貴女は必ず来ると思って」
私は唖然としていた
なぜ、私が来ると知って?
なぜ、私を越させた?
なぜ、なぜ
問いばかりが頭の中にこだまする
「おい、さっきから話が全然読めないんだが」
リクスさんが私と管理人さんの間をよぎる
「そうね、魔王君のアタマでも理解出来る様に言うと、私が勇者ちゃんを呼んで魔王君と戦わせようと思ったの」
「な、なんだってぇ⁈」
やっと理解出来たのか、リクスさんが驚きの表情で固まっている
「でも、どうしてですか?リクスさんは悪い魔王さんじゃないです!」
管理人さんはフフッと微笑んで
「いい質問ね、実は魔王君とは"ある"契約をしていてね?その内容の中に魔王の仕事を従事するって言う条件があるの」
管理人さんは続けて、
「と言っても魔王君は世界征服とか殺戮とかする気は無いみたいだから最後に残った 勇者との激闘 をやってもらおうと思って、でも勇者である貴女のお父様はもうこの世にいない だから、その1人娘である貴女を勇者"代行"として呼んだわけ」
それだけの為に、わざわざ私を?
いつの間にか家の中に入り紅茶を飲んでいる管理人さんをよそ目に私とリクスさんは玄関に立ち尽くしたままの時が流れた
「リクスさん ごめんなさい!言おう言おうと思っていたんですが、中々言い出せなくて」
リクスさんは首を横に振って、
「いや、気にしなくていい 契約とはいえお前を呼び出す羽目になったのは俺のせいだからな、それにやっとアリシアと戦えるぜ 俺はそっちの方が嬉しい」
良かった、騙していた事は怒っていないみたい でも 本当にリクスさんと戦わなければいけないのかな
リクスさんは毎日トレーニングをしていた、それこそ暇を見つけて1日に何時間も
実力はかなりのものだろう
「そうだ!魔王君、もし勇者ちゃんに勝ったら暫定魔王から真の魔王に肩書きを変更してあげるわ?」
「何⁉︎本当か?よーし、絶対負けない」
あぁ、完全にやる気だ
でも、私も魔王を倒して真の勇者になると お父様の墓前に誓ったの!
スゥーと深呼吸をして覚悟を決めた
「分かりました、今までお世話になったお礼の意味も込めて 全力でお相手します!」
こうして、私とリクスさんはお互いの"真"の座をかけて戦う事になった
場所は決闘におあつらえ向きの魔王城、
玉座の間で