黒の管理人
物語がやっとこ動き出します
とうとうこの日が来てしまった
今日は家賃の回収日、奴が来る
毎回キッチリ全員分の家賃を徴収し、俺に魔王合格の手紙を送ってきた張本人が!
「ごきげんよう、魔王君」
金髪に黒い目をした 黒いヴェールと黒いドレスに身を包んだ全身黒づくめの管理人 まるで葬式の参列者だ
オズ••••••それが本当の名前なのかすら分からない、しかしそれ以外には女性であることしか分かっていない
「今月の分、払ってくれるかしら?」
そう言って黒い布の手袋をした手を差し出す
「分かってるよ、用意してある それに払わなかったら命の保証無いんだろ?」
「あら、契約書の内容をしっかり覚えていてくれて嬉しいわ」
よく言うよな、半ば詐欺なのに
彼女から漂う只者ではない感、恐らくかなりの実力者だろう
命の保証は無いと言うのも満更、嘘ではなさそうだ
「ところで少し前からお客さんがきてるでしょう?」
やはり、こっちの情報はいつも筒抜けだ、一体どこで仕入れて来るのか、ウチにスパイでもいるのか?
「ああ、女の子が1人来てる」
俺はアリシアを呼んだ、するとすぐにアリシアが駆けつけて来た
「初めまして、アリシア=ストラヴァーと申します 今はリクスさんに泊めてもらっている者です」
オズが少しの沈黙の後、
「••••••あら、その様子じゃまだ言ってないみたいね?」
言ってない?何がだろう それにアリシアの事すら管理人は知っているのか?
「自分が勇者だって事」
アリシアの顔が一瞬で青ざめた
な、なんだって⁈アリシアが勇者?
当の本人は、何故知ってるの、と愕然としている
「当然よ、私が貴女に手紙を送ったのだもの」
「そんな••••••でも宛名は、」
「既に亡き、貴女のお父様宛に出せば貴女は必ず来ると思って」
何やら管理人が策謀を企てていたらしい、俺には何のことかさっぱりだが