勇者と魔王
勇者パート改めアリシアパートです
今回から地下のイカれてる方が出ます
「ま、ま、魔王ぉ⁉︎」
驚愕した!こんな普通な人が魔王だなんて
「嘘、魔王って残虐非道で冷酷なハデスみたいな顔の人じゃないのぉー‼︎」
「••••••おい、心の声が聞こえてきてるぞ てか、ハデスみたいな顔ってどんな顔だよ!」
ハッ⁈ついうっかり口に出してしまったいけない、一旦落ち着かないと
胸に手を当てて深呼吸••••••よし、リラックス リラックス
「すいませんでした、私 魔王って聞いてビックリしちゃって」
すると彼は、軽くため息をついて
「まあ、しゃあないさ それが世間一般のイメージだからな」
よかったぁ、リクスさんは気にしていないみたい
でも、それと同時に私はひどく困惑していた
私が倒そうとしていた魔王はこんなにいい人だったの、まったく悪い事なんてしていなさそうな••••••っていうか悪い事すら考え無さそうな人
ますます、手紙の内容が信用出来なくなった
まさか魔王違いって事は無い、か
「そうだ、晩御飯の時にみんなを紹介するよ面白い奴らばっかだぜ?」
リクスさんは そう言うととても美味しそうな匂いのするリビングに案内してくれた
少し大きめなテーブルの上には鼻腔をくすぐるスパイスの香りを放つ私もよく見知った食べ物が六つ皿に盛られている
「あ、カレーですね!大好きです 私」
とても家庭的なニンジンやジャガイモが沢山入ったカレー
そのうち一つは通常の3倍は大盛りだ
「リクスさんはやっぱり沢山食べるんですねぇ」
感嘆した私の足元に小さな女の子がすり寄って来て
「違うよ、おねいちゃん!あれはね、サラが食べるの」
「こら、サラ!まずは自己紹介だろ」
リクスさんにたしなめられた赤い髪の女の子は少し私から離れてぺこりとお辞儀して
「サラです、好き嫌いはしないですよろしくお願いします!」
か、かわいいぃぃ⁉︎ あまりのかわいさにいまにも抱きついちゃいたい!
赤い髪を左右でお団子にしてちっちゃな羽をパタパタさせるし 大きな目はくりくりしててまるでお人形さんみたいだぁ
ギュッと抱きしめたくなる衝動をグッと堪えた 静まれー静まれー
悶える私に 大丈夫か?と問いかけたリクスさんは続けて
「あと、俺とレアは知ってるからいいとして そこにいる夜までパジャマ着てる体たらくはクゥだ」
「クノウ=ユウ、趣味はゴロゴロする事とゲームね よろしくー」
黒くてとても長い髪に半開きの黒目が特徴の彼女はどうやらお風呂に入る前からパジャマで過ごしていたらしい
彼女は四角い水晶版のような物に写し出される映像を見ているようだった
一種の魔法だろうか?魔力は一切感じないが
「実はもう1人いるんだちょっと待ってて」
そう言い残してリクスさんは部屋の隅にある階段を降りていく
「アリシアおねいちゃん!フューリんとリクはね?いっつもケンカばっかりするんだぁ」
サラちゃんがそう言った途端、階段の下から大きなリクスさんの声が聞こえてきた
••••••ふゅーりん?
「おい!晩御飯の時間だぞ それに今日はお客も来てるんだ早く出て来いよ」
「あー今忙しいから持って来い」
「おいコラ、誰がお前の分まで作ってやってると思ってる!俺はお前の執事じゃないぞ」
「なんだと!貴様こそ誰のお陰で家に電気通ってると思ってるんだ?もっと私に対して敬意を表せ そして晩御飯を持って来い」
「お前は家賃を先月も、先々月も払って無いだろ?俺が立て替えたんだぞ?ドアぶち破ってやろうか?」
「あれは魔王城の復旧工事の手伝いでチャラになったはずだろ!まだ私から搾り取るつもりか貴様!いいから早く晩御飯持って来い」
「搾り取るも何もお前が全部変な実験の費用に使ったのが悪いんだろ!
ドアごとお前も吹き飛ばすぞ!」
「なにぉ⁉︎やってみるがいい!新開発したビーム兵器の実験台にしてやるぞ 黒焦げになりたく無かったら晩御飯持って来い!」
「上等じゃねぇか!返り討ちにしてお前を黒焦げのカレーみたいにしてやんよ!」
な、なにか凄い物騒な内容の会話が聞こえてきてるんですけど
「はぁ、すまないな あの2人はいつもあんな感じなんだ」
レアさんが深くため息をついて階段を降りていった
恐らく仲裁にいったのだろう
しばらくして呆れた顔のレアさんと 疲れた顔のリクスさん むすっとした表情の女の子が階段を上がってテーブルの席に着いた