白銀の氷結鬼の願い
シアンパートです
章の終わりが近いです
あれから2年も経つのに一向に距離が縮まらない
リクは一体私の事をどう思っているのかな?
ただの知り合いなのかなぁ、思い切って聞いてみようか!
「ね、ねえ?リクは私の事どう••••••」
「ぐおーっ すぴーっ」
あ、爆睡してるコイツ
ぺちん! ぺちぺちぺちぺち!
頬っぺたをひっぱたいてみたが全く起きる気配がない
はぁ••••••でも寝顔が可愛いかも、
とても気持ち良さそうに笑顔で寝ているのでそのままにしておこう
目の前には、無邪気に遊ぶ子供達が集まり サラちゃんも早速、打ち解けた様で笑顔で他の子達と駆け回っている
遠くには大きな尖り屋根の城郭とこの国の国旗が掲げられた世界有数の大城、栄華の象徴であるプラウダ王城がそびえ立ち、耳を澄ませると鳥が羽ばたきや大陸一の誉れ高い王立楽団が音楽を奏でる音が微かに聴こえてきた
平和、そんな言葉が頭に浮かんだ
確かに、今の世の中 紛争とか種族争いとか様々な問題がある
でも、今この私の目の前に広がる光景だけは平和であると思いたい
「争いなんて無い世界、いつかは来るのかな?みんなが子どもみたいに笑って暮らせる日が••••••」
「来るさ、来させる奴が今、世界の為に頑張って本物目指してんだからな」
「り、リク⁈起きてたの?」
「ああ、今起きた」
首を回して大きな伸びをし、同時にあくびをする魔王
「まぁ、世界の諸悪の根源がこんなのだったら、来るかもね?」
なんか言ったか?と言うリクを尻目に、私はなんでもないと空に向かって呟いた
「シアンちゃ〜ん!」
?サラちゃんがこちらに帰ってきた、まだ遊んで良いのに
「さっきのね、一緒に遊んでた子がね」
遊んでた子、犬耳の獣人の娘かな?
「ご主人の家で働く時間だから帰るって帰っちゃったの、遅れるとぶたれるんだって」
ああ、あの娘も使用人だったんだ そういえば首輪を付けていたっけ
「ねぇ、サラは働かなくていいの?」
自分と同じくらいの娘が働いているを不思議に思っているのだろう
しかし、私にはその言葉が心に深く突き刺さる
この国にいる獣人の約8割は無理矢理 故郷から安い売値で売られて来た奴隷まがいの貧困層の獣人達だ
貧しさ故に泣く泣く 我が子を手放す親もいると聞いた事がある
私にはその親も責められない、何故なら 生きる為の苦渋の決断、どんなに辛くても 親は子供に生き抜いて欲しいから その一心で泣きながら子供を馬車に乗せる
飢え死によりも遥かに辛い、隷属選ぶ事をを強いられている子供を断腸の思いで見送る親を誰が責めることができるか
「サラは働かなくていいんだよ、本当はあの子も働かなくていいのにな」
後ろからリクが歩み寄り、サラちゃんの頭にぽんっと手を当てる
「目の前の平和ばかり見て、本当の問題から目を逸らすのね••••••」
人は本来、優しい生き物だと 私はそう信じてる
でも時に、人は悪魔よりも醜い
シアンの一人称があたしや私なのは仕様です




