白銀の氷結鬼との出会い
途中からシアンパートです
商店街を抜けて住宅街に出て来た三人、
そこには大きな公園があり、真ん中には噴水が湧き出し人々の憩いの場となっており
俺達は噴水の近くのベンチに腰掛け、見渡すと周りにはたくさんの子供達が遊んでいた
サラが遊びたいと言うのであまり遠くへ行くなと釘を刺してから遊びに行かせる
人間も居れば獣人もいる、そこに種族の違いや壁なんてない、みんな無邪気に遊んでいるなぁ
「あたしね、ここが好きなの」
シアンが遠くを見て言う
「子供って本当に夢中で遊ぶからさ、種族なんか全く問題じゃないんだよね」
「だから、人間と氷結鬼だって••••••いつかはさ、」
突然、うつむき顔を沈めたシアン
シアンと出会ったのは俺が魔王に成り立ての頃だった
2年前、私が氷結鬼の名を欲しいままにしていた頃
いにしえの昔から冬の雪山や森で遭難し、消息を絶った人は氷結鬼に襲われたのだと伝えられていた
しかし、そんなのは迷信で逆に行き倒れた人を助けた事もある
でも、人は知らない物を恐れる 私の種族はいつの間にか人を凍らせて喰らう氷結鬼として吸血鬼と並ぶ、畏怖の象徴となり
そして、誰も私の住居に近づかなくなった
お父さんもお母さんも、もういない 寂しさに耐えかねた私は街へ出かけた
人助けがしたいとギルドに登録したし、数々の功績も上げて知名度も上がった
けれど、私は独り
話しかけても、どこか怯えていて すぐに離れようとする
いつの間にか私は人に心を開かなくなっていた まるで心が凍りついてしまったように
そう、本当の意味で私は氷結鬼に••••••
私は皮肉にも似た感情でギルドに自宅の改築を破格の報酬で依頼した
誰も来るはずない、こんな危険地帯に入って来るのは死にたがりぐらいだろう
私の予想通り、ずっと応募者はいなかったいくら高収入とはいえ むざむざ死ににくるバカはいない
が、1人だけ
猛獣達を物ともせず、ふらっと私の家まで来た男、
あっと言う間に修繕箇所を見繕い改築しだした
私は何故、仕事を受けたのかと聞く
男は報酬が高かったからと言う
怖く無いの?と再び聞いて見る
何が?と男は返した
猛獣、不気味な森、そして私の事を、
すると男は大笑いして、
何でお前が怖いんだ?
私は氷結鬼なのよ?••••••
それは他の奴らの勝手な想像だろ?お前のどこが怖いんだよ?
男は続ける
お前が氷結鬼だろうとなかろうと、それが俺がお前を怖がる理由にはならないだろ?
じ、じゃあ聞くけど あなたは何が怖いの?
少し考えた後、男はおもむろに呟く
怖いもんなんて無いけどな、強いて言うならなぁ、
怖いからって避け続けて ソレ の本当の事を知らないまま過ごす方がよっぽど怖いさ、
本当はお前が怖がってるんじゃないか? ソレ から怖がられるのを
そうか、私が怖がっていたんだ人間を
自分以外は全て他人••••••それでいいと思っていたから、
だから、こんなに優しい人間がいるなんて事も知らなかったんだなぁ••••••
私はその日、人の優しさを知り、恋も知る
そう、私はあの日 恋をした




