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魔王は誰も倒せない  作者: 覇我王
プロローグ "暫定"魔王
11/36

本性(サガ)

1部に回帰します



レアがアリシアを診ている間、



俺は懐に入れておいた書状を見ていた



2年前に俺をここに誘ったモノ魔王採用試験の通知


管理人の言った通りに勇者と戦い そして勝った



これで、俺は本当の魔王に••••••強い奴になれたのか?




いくら考えても分からなかった

どうやったら強くなるのか、そもそも何を持って強者と言うのか


力?技?心?


それが強さなのか?



先が見えない、何なんだ?勝ったってのにこの気持ちの悪い感じ



いつしか、分かる時が来るのか?





「悩む戦士に水を差して悪いがアリシアを運ぶのを手伝ってくれないか?」



レアは俺に簡単な応急処置を済ませた後、気を失ったアリシアを担ごうとアリシアに手を掛けた










「フフッ••••••」










俺とレアは顔を見合わせた



今、笑ったのは俺でも無いしレアでも無い



口を開いたのは気絶しているはずのアリシアだった




血の気が一瞬にして引いていく、足が動かなくなる




そう、これは恐怖だ 押し潰されそうな程の恐怖とプレッシャーがあろう事かアリシアから発せられている



「レア‼︎アリシアから離r••••••」



俺の言葉を掻き消して、ドス黒い闇の波動が衝撃波となり周りの全てを吹き飛ばす



波紋だ、最後に波紋が見えた


禍々しい狂気が渦巻く魔性の奔流




そして、一瞬意識が飛ぶ


身体のあちこちが痛い、骨が折れたか



再び意識を取り戻した時には辺りは燭台から落ちた蝋燭が絨毯に引火し、火の海になっていた しかし、レアとアリシアの姿は無い




代わりに俺の目に映ったのは、宙に舞う赤い髪の••••••悪魔(アリシア)











『この度魔王採用試験に合格した事をご報告致します』



そう書かれた書状が今、俺の目の前で無残にも燃え尽きようとしている



心臓の鼓動と同時に血を吹き出し続けている額の傷を汚れた腕で拭いながらこの凄惨な地獄絵図を創り出した張本人に問い詰めた。


「お前は••••••いったい••••••何なんだ••••••アリシア!」


一言一句を口に出す度に恐らく数本は折れているであろう肋骨が俺に最大限の苦痛を与え、血反吐を吐く


過去の大戦と長年の雨風による侵食で以前の荘厳さのかけらも無い元魔王城は俺の修繕の甲斐無く最早、建っているのが不思議なほど各所崩壊し不穏な音を出し始めていた。


その倒壊寸前の城の一室、かつて歴代の魔王達が鎮座した煌びやかだがどこか畏怖を感じる玉座のある謁見の間


その中央、いや、正確にはこの直方体の部屋の正に中心点に位置する空中に"奴"は浮遊していた


『蝙蝠の羽』と抽象するのが最も相応しい漆黒の翼、悪魔の中でも特に上位の力を持った悪魔のみ持つと言われている悪魔の翼をゆっくりと羽ばたかせ直立の姿勢を保つ


不敵な笑みを浮かべる彼女はその背に生えた翼に似つかわしく無い可憐な容姿をしている


「言ったでしょ?私は勇者、魔王を倒し世界に平和をもたらす為にやって来た正義の使者」


肩にぎりぎりかかる程度のサイドテールの赤い髪、ルビーのように澄んでいる緋色の瞳はさっきまでとは全く異なる色をして妖しく光を放つ


細くしなやかで白い手には持つものを勇者と証明してくれるはずの白銀の聖剣が握られている

その切っ先を俺の方に向け勇者を騙る悪魔は言った


「だから私が殺してあげる"暫定"魔王さん!」


なんでだ••••••どうしてこうなった?お前はそんな奴だったのか?


肩で呼吸をしながら構えを整える最中、俺は自問自答を繰り返す

そして一つの結論を導き出す


たとえ相手がどんな奴でも本当の魔王になる為には負けるわけにはいかないんだよ!





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