魔王と勇者の最終決戦⁈
やっと、戦闘シーンに入ります
注意、かなりの中二病表現を含みます
再発しそうな方は画面から離れて見てください
「••••••一つ問おう、どうしてこうなった?」
レアが飽きれた顔で現状報告を求める
「いやー、なんかアリシアが勇者だったみたいで、ほら 魔王と勇者が揃ったらやっぱ戦わなくちゃさ?」
魔王城の最上層にある玉座の間、ここだけが唯一損壊が軽度な場所だ
しかし、長年使われていなかったせいか非常に埃っぽくカビ臭い
俺とアリシア、立会人兼怪我した時の医療スタッフとしてレアに来てもらった
「どちらが、戦闘不能になるか降参するかで決着だからな?怪我したら無理するな、私がドクターストップをかけるから」
レアはやはり乗り気では無い様だ、争いごと自体あまり好きじゃ無いもんな
「ああ、分かってる」
「分かりました」
両者共にルールを確認した後、腰に携えた剣を抜き 正面に構えた
今度は木剣では無い、本物の刃のある幅広の鉄の直剣を鞘から抜き放つ この実剣を使うのはかなり久しぶりで、ズシリとした重みが俺の血を滾らせる
一方、アリシアの剣は白銀に輝く豪華な装飾が施された細身の刺剣と直剣の間ぐらいのリーチの少し小振りな剣だ、しかしアリシアの体躯から考えると妥当な大きさだろう
「よし、両者準備はいいな?では••••••始め!」
レアは高く振り上げた腕を強く振り下ろす 戦いのゴングは鳴った
深呼吸をした後、俺は一気に突撃する
「いくぞぉ!」
右手に持った剣を斜めに思い切り振り下ろす
アリシアはそれを両手持ちで受け止めた
剣と剣が打ち合い火花が散る、
「くぅ!」
苦悶の表情を浮かべるアリシア、無理も無い俺とアリシアの体格差は歴然だ 受け止めただけ奇跡に近い
その後、交互に数回打ち合った後にアリシアは不利と見たのか咄嗟に剣を切り払い、距離を離す
「やはり、力では敵いませんか なら魔法で!」
そう言い放ちアリシアは目を瞑る
辺りに魔力で出来た水色の旋風がアリシアを包む
放つ前から目に見える程の魔力、常人にはとても真似出来ない正に圧倒的魔力を持つ勇者の所業
凝縮された魔力がアリシアの左手に集まっていく、徐々に形を成し手首から肘までを覆う蒼い六芒星の魔法陣を形成し始める
「私を護って!スターライトダビデ」
防御魔法陣を自らの腕に発動させ、魔力の小盾を形成 魔力の扱いが相当うまく無いと出来ない芸当だ
もちろん、俺にはとても真似出来ない
「今度はこちらから行きます!」
姿勢を低くした後、滑り込む様に剣の間合いまで詰め寄る
アリシアの鋭い横薙ぎの一閃が俺の脇腹の数寸の所で剣に弾かれる
渾身の力で振ったからだろう、アリシアは一瞬の硬直を見せた
その隙を逃さずに空いている左手で殴りつけた
アリシアもそれを察知したのか少し遅れて左手で受ける
次の瞬間、大きく吹き飛ばされたのは俺だった
数秒遅れて鈍痛が左手を襲うこの時、やっと俺は理解した、盾に弾き飛ばされたのだと
「魔力で造られた盾には物理攻撃は通用しません」
その通りだ、あれだけの魔力が固められて造られた盾だ 生半可な攻撃じゃ破れないだろう
こうなると如何せん俺が不利だ、物理攻撃が通らないと俺の9割9部の戦法が通用しない事になる
「どうやら、魔法勝負では私の方が有利の様ですね それならば一気に決めさせて貰います!」
そう言い放つとさっきとは比べ物にならない膨大な魔力がアリシアの剣に収束していく
肌にピリピリ来るほどの魔力の旋風はもはや人間の域を超えているのではないかと思わせるほど強大だ
刀身に纏った魔力の塊は、まるで巨大な剣の様に蒼い魔力を立ち上らせ煌めく
その大きさは俺の身長の2倍はあるだろう
「これが、父から伝授された勇者の最終奥義です!」
炎の様に立ち込める魔力の剣はかつて幾千の悪を葬って来たであろう必殺の剣
あれを食らったら恐らく、良くて戦闘不能 だろう
正に最終奥義の名に恥じない威力を誇る必殺剣
先程、痛撃を受けた左手も完全に回復した
なにも望みが完全に絶たれた訳じゃ無い
俺にだってずっと前から持ってる必殺技がある
それが残された最後の1部の可能性だ!
これに賭けるしかない
「これでトドメです!エクスカリバーァァ‼︎」
溢れかえる陽炎の如き魔力剣を両手で持ち高く跳び上がったあと思い切り振り下ろして来た
剣を両手で持った事により左手に纏った盾は俺に対して垂直に向き、表面の紋章は見えなくなる
静かに剣を左手に持ち替える
いける!これで!
振り下ろされた巨大な刀身を極力少ない動作で右に回避する
俺の頬ギリギリを掠める剣に思わず呼吸が止まりそうになった
地面に叩きつけられた聖剣は硬い石造りの床をやすやすと粉砕し大量の粉塵と瓦礫を辺りにばら撒く
最大の力で振ったからからには態勢を立て直すのにも時間がかかるはず
アリシアが避けられたと気付いた時には俺の右手は盾をかわしアリシアの左肩を捉えていた
なにも魔法が全てを制すわけじゃ無い、扱いが下手くそなだけで 俺は気だったら平均以上には持ってるんだ
それは人間誰しも持つ生命力を具現化した魔力に対抗する遠距離攻撃手段 気力
右の掌に俺の全身全霊を込める
「魔王拳ォ‼︎」
大量の闘気を右の掌に流し込みその場で爆発させる
真っ白な閃光と共に激しい衝撃波が発生する
これは技ですら無い 自らの身を削って放つただの気力の暴発
しかし、人一人を吹き飛ばすには充分すぎるパワーを持っている
アリシアの小さな身体はいとも簡単に吹き飛び 壁に叩きつけられ、悲鳴すらなく気を失った
痙攣する右腕から血が滴る、この技のダメージは使用者に半分帰って来る
アリシアは気を失っただけで、恐らく俺程の怪我はしていないだろう
術者の意識が飛んだからだろうか左腕の魔法陣と魔力の刀身は火を吹き消すかの様に消えてしまった
勝負の決着が着いたと判断した レアは急ぎ足でアリシアの方へ駆け寄る
「バカ!なんで2人とも本気でやりあったんだ!一歩間違えば死んでいたぞ!」
今まで聞いたことない凄い剣幕でレアが怒鳴る
「ごめん、でも 俺もアリシアも全力で戦いたかったんだ魔王と勇者としてさ」
「飽きれた••••••アリシアの傷は大したした事は無い、ベットに運んだらお前の治療だ」
決着は俺の勝ちで着いた
と思っていた