第7話 これは私の狐の嫁入り逃亡記なのです!
第8話です。なんかいきなりですが見てくれる人が増えたようで嬉しいです!これからも狐の嫁入り逃亡記をよろしくお願いします!!
フルジさん(村長の名前教えてもらった)とあれからあった少しの会話を終えてフルジさんが出て行くと部屋に俺と白露とふた...いや正確には一人になった。
外を見てみるともう日が完全に落ちかけていた。
フルジさんには山賊の撃退に関して言っといたんだけどなんか全部わかってるみたいな感じでかなり話がスムーズに進んだ。
多少は反対か疑問に思われると踏んでいたから少し拍子抜けしてしまった。
もしや俺の考えをとっさに察したのか!?あの村長、侮れないな...
《そうかもしれませんね。動きを見ている限り、少し戦闘の経験があるようにも伺えました。》
白露もそう思うのかい?俺もかじった事があるから少し分かるが、あれは達人の域ではないにしろ結構な動きを出来そうに思えた。なんか師匠に似てるんだよなぁ。
あれ?それならさっき助ける必要なかったのか?
《いえ、そう言う訳ではないです。さすがにあそこまで高齢になると技の精度や体力が低下しますからおそらくさっきの山賊の相手をするにしても同時に二人が限界でしょう。》
普通の人間の村長のステータスとしては十分過ぎるだろ。俺の人間時なんて一人で手一杯だってのに
《そうですかね?...しかしあの動き、確か法廷士官の基本歩法でしたか、なるほど山賊相手では相性が悪いですね。》
法廷士官ってなんだい?
《法廷士官というのは、ここから東に行ったらあるスフィシルト帝国というところの所謂法の番人です。それも我々のような人ではない人外、亜人種など呼ばれる、簡単に言うと人以外のものを裁く為に存在する人達の総称です。おそらく村長さんはその法廷士官だったのでしょう》
なるほど
でも俺をちゃっかり人外認定するんじゃない
で、相性が悪いって言うのは?人外を裁けるんならかなり強い力を持ってそうなイメージだけど?
《彼らは法術というものを使って人外を裁きます。しかしこの法術、(まぁ例外もいますが)人外には効果があるのですが何故か人間にはまったく効果がないそうなんです。そのためこの村は人外相手なら村長さん一人でなんとかなるかもしれませんが人間相手では人数が多ければ負けてしまうでしょう。》
しかし良く歩法だけでフルジさんが法廷士官ってわかったねぇ
あ、さっさと油揚げ処理しなきゃな
パクッと
《いえ、歩法だけではなく、はぅ!美味しいですぅ。//》
おっと、話の腰を折ってしまったか
んじゃ、油揚げはあとに...
《大丈夫です!私しゃべりますので油揚げ食べながら聞いてて下さい!!》
あ、あぁ、了解
パクッ
《ふぅぅ//最高ですぅ。えぇっとさっきの続きですが歩法だけではなく村長さんの距離に違和感を覚えたのも理由の一つです。》
距離?
プラーン
油揚げをぶら下げる
《じゅるり......は!?》
面白いな、これ
《もう!遊ばないで下さい!!》
じゃいらないかい?
《すいませんでした!話しますから!!要りますから!!!》
《さっきの続きですけど、何かの専門家、特に今回のような戦闘の専門家には独特の距離感があるんです。普通は獲物の時のみに必要な行動でも慣れてしまうと日常にも出てくる時があるでしょう?まぁ、現役のプロならまず完全に隠します。しかしさっき見ていたら村長さんの距離感が法廷士官のものに良く似ているように感じたので彼が法廷士官ではないかと思った次第です。》
良く出来ました
パクバクッ
《あ!今度は2つも!!イエーイ、あふぇ〜、至福///》
君はキャラが変わり過ぎだよ、あふぇ〜ってなんだよ、あふぇ〜って
ふむふむ、とりあえずフルジさんの件はそれでわかった。
んじゃ、本題に入りますかね
《本題、ですか?》
うん、君も分かってると思うが俺に関しての重要な話だ
《あの、油揚げ》
おぃぃぃぃぃぃぃぃ!?俺の重要な話より油揚げ優先って酷くないか!!?
《いや、お腹すちゃって//》
見え透いた嘘をつくな!感覚共有している俺が空腹じゃないのに君が空腹な分けあるか!!
《油揚げは別腹です》エッヘンッ
お前油揚げしか食ってないだろうがぁぁっぁぁあぁぁ!!
はぁ、はぁ、お遊びはこれくらいにしてマジで本題に入ろうか!
《え?本気だったんですけど》
やかましい!!
もうヤケクソじゃぁ!!
油揚げを一気に五つ掴む、さらにそれを一気に
バクッ!!!
口にほおった。
...食った後の反応
side白露
《あぁ、ここは天国?こんなに口の中に旨味が溢れている事など今までの人生あったでしょうか?この至福にして究極の感覚をどう表現すれば良いのでしょう?》
どこかに飛んでったようです。
sideハル
うっぷっ、なんで一日に連続で10枚以上油揚げなんぞ食わにゃあならんのだ。もう口の中は重くて何故か胃は問題ないが、それとは別にマジで吐きそう。うえぇぇぇ
どこか出しそうです。
「で、落ち着いたかな?」ゲッソリッ
マジで気分が最悪である。
《はい!お手数おかけしました!!》キラキラ
なんか背後に光が見えるのは気のせいかな?
とりあえず油揚げ五つを一気に食べる無茶をしたかいはあったわけだ。よかった、まじで...
そして俺は今まで何故聞かなかったのかというくらい基本的な事を聞いた。
「それじゃ、単刀直入に聞くけど」
いつも浮かんでた疑問、だけどようやく解消出来る。
「俺をこの世界、というか君に憑依している理由は何?」
《......》
《ハルさん、質問に答える前に目をつむって頂けますか?》
真剣な声色に静かに目を閉じた。
「もう目を開けて下さって結構ですよ」
ん?なんかいつもの頭に直接響くような声じゃないな
そう思いながらゆっくり目を開けた。
「えーっと、この姿で会うのは初めてですね。」
....目の前には俺、というかさっきまで俺だった狐娘がいた。
ここはどこだろう?と気になり周りを見てみると黒い空間が広がっている。
「三度目になりますが銀狐、上代一族の白露です。」
やっぱり白露だったらしい。さっきまで自分があの中に入ってたと思うと違和感すごいなぁ。
と思ってたらいきなり頭を下げられた。
「この度は私の身勝手な願いの為に貴方にご迷惑をおかけした事不覚お詫びします」
あぁ、油揚げの事ね!
「え?!い、いえ。そうではなく、いやそれもあるんですが」
いやぁ、だってさっき俺の重大な話より油揚げとった人に言われてもねぇ
「えぇ?!」
面白いな、反応
「え、えと。すいませんでした!!」
ぷっ!
「え?」
いやいや、そんなに真剣謝られるとは思ってなくて。つい、ね
別に怒ってる訳じゃないんだよ。ただそう素直に謝ってくれるだけでOKだ。
俺が怒らない理由だけど俺にはどうしても君が俺を問答無用で異世界に飛ばすとは思えないんだよ。
もしかしてだけど俺を飛ばした人って違う人じゃないか?
「あ、はい。私の姉達です。」
うん、それだけ聞ければ十分かな。
俺を呼んだ理由もホントは大体想像つくし
あー、でも一応聞いとくけど俺を呼んだ理由は?
「はい、呼んだ理由はもうお察しの通り追っ手から逃げる為です。」
やっぱり、あの赤狐から逃げてるんですね
「いえ、いや違わないのですが他にもかなりの追っ手が狐族から他の一族まで追ってきます」
「一言で表すなら...そう」
あ、別に一言じゃなくても...
「これは私の狐の嫁入り逃亡記なのです!」
............。
何言ってんの、この娘?
全てが台無しになった瞬間である。
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