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狐の嫁入り逃亡記  作者: カラネコ
第2章 聖からの脱出
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第42話(前編) inバロカス

ものすごく遅くなった上に宣言通り投稿出来ず申し訳ありません!

それと予想以上に文章が長くなってしまったので2つに分けました。

 キラキラと輝く天井、そんな天井に吊されたシャンデリア。

 壁は金色を基調とした高級感のある造り、ついでに言うと何故か壁の中央にはピンクマークが横並びに乱立している。

 他にも数々の輝いていると差し支えない美術品のような家具が所々に存在してる…そんな金持ちが理想とするような部屋。

 そんな部屋には2つ……いや、3つの存在が確認出来る。

 一つは銀の毛をしちょこんと小さい子狐。

 一つは半透明で幽霊か!と言われそうな銀髪の美少女。

 一つは何故か頭に明らかに自前の物ではない猫耳を付けた馬鹿っぽい男。

 そんな3つの存在がいる部屋でなんだか噛み合ない会話が勃発していた。


「だから!私は!!おもちゃではなく!!!人間だって言ってんでしょうが!!!!」


 銀の毛をしちょこんと小さい子狐、ぶらぶら体を揺らしながら叫ぶ我らが主人公ハル。


《ハル、閃きましたよ!》


 ツッコミ上等!しかし最近はヘブン?な我が家の半透明アイドル、白露。

 現在は、何だか嬉しそうに叫んでいる。


「ヴィ!うむ、ここまで美しいおもty…………動物と精霊が一度に我が手中に収まるとは!これぞ我が輩の日頃の行いであるな!!」


 腕を組み仁王立ちをしながら高笑いしている猫耳を付けた馬鹿っぽい男。


 さてさてなかなかのカオスになっているこの状況、何故こんな事になってしまったのか。

 それは数十分前に遡る。








「美しいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!!!」


 突然そんな大声が聞こえた。

 正確にはシィィィィィという音がキィィンと廊下に鳴り響いていた。

 言うまでもなくここは地下、静かで暗くジメジメしてるのがイメージの閉鎖空間である。

 そんな地下からそんな大声、この時点では音が聞こえた場合の俺達、現在出口を探して走っているハルこと俺と精霊(と思われている)こと白露の2人組はどういう反応をするだろうか。

 そんなのは決まってる、外へ出る今唯一の手がかりを見逃すはずはなく俺達はその音か声か分からない発信源を目指し走った。

 …………と言っても一直線しかない廊下をただ単に走るだけなんだけどね。

 

《ハル、そろそろさっきの音が聞こえた場所に着きそうですよ》


 と、考えているうちに手掛かりにかなり近づいているらしい。

 はいよ、と俺は返事をする。

 さっきの音の場所についての追跡は白露に頼んだから間違いなく発信源に着けそうである。

 ちなみに何故俺が自分の感覚で発信源に向かわないかと言うと………俺も音は聞こえはしたけどもそれは白露のスペックのおかげであって…………要するに俺の人間の時の感覚が役立たずで俺がこの体にまだ完全に馴染んでない事が明らかになった訳です、はい。

 ……これは修行がどうとかではなくただ慣れてくしかないな。

 幸いこの体の本当の主である白露が隣にいるおかげで不便はないがいつまでもそこで甘えてもいられないし…………早く慣れないとな。

 

 ……………しかしそれとは別に結局、俺が速度あげても白露余裕で憑いてきたなぁ。

 今も前の速度に比べれば早足から全力疾走くらいの差があるのに………絶対目で追えないとか嘘だ。

 ちょっぴり泣きそうだ……実際今の俺の体力は白露に心配させないよう取り繕ってはいるものの結構ヤバいのに……そこまでしても離せないなんて。

 ……悔しくなんてないよ?本当に。


《あの、どうかしましたか?なんだか落ち込んでいるように見えますけど》


 俺の考えが見透かされたのか俺の表情とか仕草をみて察したのかはわからないが俺は白露にこう返す。


 断じて落ち込んでなどない!!!!断じてだ!!!!!


《そ、そうですか。……あ、ここですね、さっきの音が聞こえた場所は》


 ……いきなり大声(心の中で)を出したおかげで白露が引いてしまった。

 俺がそれについて落ち込んでいると白露が続いて言った一言で俺の体は反射的に止まった。

 今度はその速度に応じてズドドドドドドドドドドッ!!!!!というどこかの効果音に似た何かを廊下に響かせつつ地面を抉りながら止まる事が出来た。

 ……廊下の床がエラい事になってるがあえてスルーしながら白露に尋ねる。


 この辺かい?


《はい、この辺りのはずです………が、辺りには何もありませんね》


 白露の言う通り、確かにどこを見回しても変わった所のない廊下。

 音がするような場所では「うとぅくしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!」


《…………上ですね、では手早く行きましょう》


 冷静に返すんじゃない白露。

 今はあんまり関係はないがこの上にいるのは確実に頭の螺子が十本くらい抜けた馬鹿だ。

 少しは躊躇おうよ、何でいきなり上に指を立てながら俺にせかすの?そもそもどうやってこの上に行けと?

 その疑問を白露の言うとこう返ったきた。


《朧朧を使えば貫通させるくらい訳ありません。今の私達なら前の倍以上の威力を出せるでしょう》


 なんかものすごく大胆かつ目立つ事を言ってきましたよこの人。

 でもそれってかなり目立たないか?と白露に聞いてみたら……、


《大丈夫です、その辺りは影写しの応用で隠しますから》


 とのこと。

 俺の疑問と問題は解消された、という訳で。


 発動!威力調節、火力50%=狐火・合成変化系『朧朧』!!!


 久々に見事な火柱が俺の目の前にそびえ立つ。

 前と変わらず天井を貫通しながら……………おかしいな、やっぱり最大火力でやったらなんだかんだ言って上の奴が危ないと思って妖力を調節し威力を弱めた………つもりだったんだけど、これどう見ても前と全然変わってないよね?もしかして妖力の調節出来てなかった?


《いえ、ちゃんと妖力は抑えられてましたよ。ただ前より妖力が効率的に循環出来るようになったので威力も上がっているんですよ》


 心を読むな白露。

 ………しかしなるほどねぇ、前よりは強くなってんだな。

 俺がそんなふうに自身が強くなった事を実感していると上からガラッと崩れるような音が聞こえた。

 上を見てみると暗闇の中心から光が見え、こちらに差し込んだ………この地下はそこまで深くはないらしい


「では、行きましょうか。そろそろリンクが待ちくたびれている事でしょう」


《ええ、そうですね》


 ………………久々に白露口調でしゃべったのにツッコンでもらえない。

 






 で、色々あったが天井に空いた穴から差し込んでいる光を目指しながらジャンプし、とりあえず地下からの脱出には成功した訳だが………。


「ふむ、大義であるぞ!ヴィ!我が輩もまさかこのようなさぷらいずが待っていようとは思わなかったのである」

 

 ………なんか勘違いしてる男に捕まってしまった。





 side???


「美しいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!!!」


 やはり我が輩のこれくしょん達は美しすぎるのである!

 ヴィ!おっと、我が輩の番であるな!!

 何かは知らぬが我が輩の声が聞きたくてここにいるのであろう?

 なら我が輩はその期待に…………んん?何?我が輩が何者であるか?

 なんだ、我が輩のファンなのにそんな事も知らぬのか?!

 まぁ、良い。我が輩の魅力は留まる事を知らぬからな!

 では、改めて教えてやろう!聞き間違えるなよ!!

 我が輩の名はバロカス!バロカス・オルス・ヴ・ツウェルペトール!!

 魔法都市・ツウェルペトールの第二王子にして王位第2……あれ3だっけ?…………いや!第1継承者である………はず。

 ………そんなことはどうでも良いのだ!!!!!

 重要なのは我が輩がこの国の王子でものすごく偉いという事なのだ!!!!!

 王子とは偉いのだ!!!すごいであろう!!!!


 ………しかし今日も公務が疲れたである。

 教会のこともそうだが我が輩のかりすまが有り過ぎるというのも考えものであるな。

 前にやってやった廊下の改装も信者達は大喜び、まぁ、一人には少し悪い事をしたが教会の権威とせきゅりてぃーを上げるため仕方なかったのだ。

 信者の願いを叶えるのには苦労したものだ。

 例えば…確かどこかの………なんて名前だったか………忘れたがどこかのなんとか伯爵とか言う貴族が屋敷を新しくしたいと懇願してきたから3年程前に全て新しくしてやったであるな。

 あの時はその貴族がデブのくせに金が無いと言うから我が輩が立て替えの金額を全額出してやったのだ。

 その貴族の家族は大喜び、そろそろ礼のパーティーの招待状が来てもおかしくは無いのに何故来ぬのだ?

 まぁ、我が輩の偉大さに見合ういべんとを考えて時間がかかっているせいなのだろう。

 ふ、まぁそれならもう少し待ってやろう、我が輩は寛大なのである。

 だからもう一度言おう、


「うとぅくしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!」

「バロカス様、相変わらず何故部屋で一人芝居してるんですか?あと寛大さと何も関係ありません」


 む、我が輩が自身の行ないに酔っていると邪魔が入ったであるな、ていうか我が輩声に出してた?


「ヴィ!誰であるか、我が輩のザ・ワールドに侵入してくる者は!!」


 まったく我が輩の事はこの屋敷の誰もが知っているからこの部屋にいるときは話しかけてくる者など一人しかいないというのに!誰であるのか!!


「そして時は動き出す……………何を言ってるんですか!この部屋にいて貴方に話しかけるのは私しかいないでしょう!!」


 むむ、やはりお前であるか。

 ええっと、確か名前は……………そうだ!!


「ヴィ!無礼であるぞ、リミマロ!!我が輩の時間を邪魔するとは………これは反逆罪であるぞ!!!」


 ピシッと指差しながら我が輩はリミマロに言い切ってやった。

 ふ、これで少しは大人しくなるであろう。

 まったく女なのだからもう少し淑やかになねば………嫁の貰い手がなくなるぞよ?


「私の名前はリマって言ってるでしょう!!!毎回毎回いつもいつも………そろそろ覚えて下さい!!!!それに私の嫁ぎ先の事なんて余計なお世話です!!!!……………私は一生バロカス様に使えるのですから」

 

 リミマロはリミマロであろうに、というか反逆罪を無視するでない、それともしかして我が輩声に出してた?

 ………し、しかも最後の辺りが聞き取れぬぞ、我が輩と喋るときは最後まで大きな声でが常識であろうが。

 ……まったく我が輩の器がデカくなければ先の発言は例えば父上なら死刑とはいかずとも………あれ?いくのか?

 まぁ、とりあえず何らかの刑に処されてしまう……いつも聞いているのが我が輩だからこそ許されているという事をこやつは分かっておるのであるかな。

 最初に会った時と全く変わってない、変わったのは身なりとビクビクしていた仕草くらいか。

 そういえば確かこやつと初めて会ったのはさっき考えていた貴族の屋敷が完成した時であったな。

 

 屋敷が完成して我が輩が気持ちよく笑っておるとなんとか伯爵が何人かの薄汚い子供を連れて屋敷に入ろうとしていたのである。

 しかもなんとその子らの腕には鎖で繋がれた手錠というものがかけられていたのだ!

 手錠とは罪を犯した者が付ける物だと聞いた、だから我が輩は我が輩のかりすまを見せ付け更生させてやろうと思い親切にもなんとか伯爵にその子ら(罪人ら)引き取ってやろうと言ってやったのだ。

 我が輩の優しさに最初は狼狽していたなんとか伯爵であったが次第に我が輩の寛大さにあてられたのか涙を流しながら子ら(罪人ら)を無言で渡してきた。涙で言葉も出なかったと見える、そこを責めるほど我が輩狭量ではない。

 そしてなんとか貴族の反応に気を良くした我が輩は他の貴族の所に行く度にそんな罪人達が目に入ったので同じ事を言ってやったらほぼ皆が感謝を涙で表しながら潔く引き渡してきたのである……おっと話がズレてしまったな。

 話は戻るがそんな子らの中にいたのがこのリミマロだったのである。

 今とは違い、身なりは見窄みすぼらしいし目つきは悪いしとなんと失礼な子供かと思ったぞ。

 しかも噛み噛みであったものの我が輩に反抗の意を示してきた……まぁ、他の子らなんぞ”殴らないで”とか”痛い事しないで”とか犯罪者らしくもなく震えながら連呼するだけであったからまだわかりやすくて我が輩としてはむしろ助かった。

 それがリミマロとの出会いであったがそんなこやつでも今ではこの通り、少し反抗的ではあるが我が輩の魅力によってここまで更生し我が輩に忠誠を誓って仕えているのだよ!

 さらに我が輩の才能は留まる事を知らぬからな、リミマロだけでなく他の子らも自ら我が輩に仕え日々働いている。


「あのー、聞いてますかバロカス様?貴方ただでさえ馬鹿なんだから、前の廊下の件やその微妙に似合ってる猫耳の件だって私に何も言わず……聞いてますかバロカス様!」


 ……我が輩が回想しているといつの間にかリミマロがいつもの説教を始めてしまったようであるな、というか似合ってるならいいではないか!

 …気を取り直してとりあえず我が輩のやる事は……………、



 逃げる!!!


「あ、どこに行かれるんですか!まだお話は、ってまた寝室に籠るつもりですね!!させませんよ、今日はまだ国王様との会食とその他諸々が予定に入っているんですから!!!」


 我が輩が寝室のドアに手をかけた所でりみまろが叫ぶ。

 ふ、そんな事は…………………お、覚えておるわ!わ、忘れておるわけないであろう!!!


「ヴィハハハハハハハハ!!!そんなものは…………………その時間になったら出てくるので大丈夫なのである!!!!と言う訳でさらばだ!!!!!」


 我が輩はバタンと扉を閉める。

 リミマロがまだ何やら言っているようだがこの扉は特注で造らせた特殊防壁魔法付き自動ロックドアなのだ、何をしようと無駄なのである。

 ……………しかしあの貴族もそうだが、リミマロ達も我が輩に感謝を込めて一度くらいパーティーやらさぷらいずやら、何かしらあっても良いのではないか?

 確か今日はリミマロ達と出会った最初の日であったはずだが………皆の者はなんだか慌ただしくて我が輩の相手もせんし、まったく我が輩をなんと心得るか!!!


 ボコッ


「ん?」


 ボゴォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!


 と、我が輩が思っていると突然目の前の床の一部が盛り上がったと思ったら赤い………熱いからおそらく火の…巨大な火の柱が地面を貫き、さらに天井も貫きながらしばらく燃え続けた。


「って、何であるか!!?この火……………ハッ!!!」


 うっかり狼狽してしまったがもしやこれがさぷらいず!?

 我が輩の部屋がここである事は兄上や父上にすら伝えていないから我が輩を狙った盗人ではない。

 ならばこの部屋の位置を知っているリミマロ達がやったと考えるのが当然ではないか?

 む、穴から何か出てきたな……いかんさっきの火柱で驚き過ぎたのか心臓が痛い。

 …………呼吸を整えねば、スーハー、スーハー、スーーーーーーーーーハーーーーーーーーーーーーーーーーーゲホッ!ガホォッ!?ガハッ!!?

 ……と、とりあえず呼吸は整えられた。

 しかし、

 

「ふぅ〜、んん?何であるか、この生き物は?」


 こんな生き物はみた事が無い。

 ……………ふ、なるほどこれもあやつらなりのさぷらいずというわけであるな!

 今日慌ただしかったのはこの為か!我が部下達にしてはかなり盛大なものを準備したではないか!!

 ……床と天井を貫通したのはさすがにやり過ぎだと思うが今回は不問にしてやろう!!!

 む!今回のさぷらいずの仕掛人が我が輩の反応を伺っておるな!!

 良く躾のされておる生き物であるな、もしかしたら我が輩の新しいおもちゃかもしれん。

 しかし如何に動物とは言え頑張った褒美を出さねばなるまい、まずは激励からだ!


「ふむ、大義であるぞ!ヴィ!我が輩もまさかこのようなさぷらいずが待っていようとは思わなかったのである」

 

 うむ!今日は良い日になりそうである!!

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