第40.5話 移送魔法
二日連続で遅れて申し訳ありません。
sideアミア
………ハルさんや白露様、そしてリオが行きましたね。
さて、三人がリンクさんを連れて戻ってくるまでの間………どうやって今のヴァハ様と場をつないでいきましょうか。
私はチラッと目線を自身の頭上にある赤水晶の輪っかに向ける。
『…………』
そこには何か威圧感漂っている違和感ありの輪っかがあった。
これは……まだ怒ってますね確実に。
幻覚でしょうけどなんか黒いモヤみたいなのが見えますし輪っか本体が通常よりさらに赤くなってます……………しかも多少繋がっているせいでしょうか、私の頭の一部がものすごく熱いのです。
これを熱いと表現していいのか分かりませんが痛いか熱いかで聞かれたら熱いと表現するので便宜上そう表します。
おそらくヴァハ様の感情の濁流が私の中に流れ、私が……正確には私の頭がそれを処理しきれていないのだろう。
…以上の事からヴァハ様が大いに怒っている事が私には分かる。
理由も分からなくもないです………………が、しかし、私もマゾではありません。好き好んでこの熱さと戦いたくはないのでそろそろ沈静化せねばなりません。
しかしどうやって沈静化したものか……空気ももちろんヴァハ様がずっとこの状態だと後にあるかもしれない戦闘に支障が出てしまう。
……あの人達の実力を信頼していない訳ではありませんが万が一まだ戦闘をしているのなら助けたい。
………本当はこのヴァハ様と二人の時間もっと上手い魔法の抑え方とかその運用方法、昔の話の続きなどを聞いてみたかったのですが…ハルさん、さすがにあのタイミングであの切り出し方は駄目ですよ…。
私が読んだ書物の中に【究極のKY、深淵の空気を見つけ出せ!!】という名の物があり、正直内容は論外でしたがそれ並みに駄目な対応でしたよ、ハルさん。
まぁ、私はある意味真のKYを知っていますからハルさんがマシに見えてきます……とりあえず多少の罰は受けておいた方が後々良いでしょう。
……しかし、ヴァハ様の制裁を受けた後のハルさんの顔を見るとさすがにやり過ぎだと思いましたよ。
私はどういえば良いのか………人の顔とはあんなに腫れ上がるものなのだろうかとものすごく強ばった顔で見ていたと記憶してます。
リオなんか表情には余りでていませんでしたがオロオロして心配していました………今更ながらリオは大丈夫でしょうか(精神的な意味で)…。
………白露様もいらっしゃいますし大丈夫だと信じましょう。
私は三人が四人で戻ってくるまでにヴァハ様の機嫌を少しでも良くしておきます。
「ヴァハ様、そろそろ機嫌を直してはいかがですか?ハルさんもリンクさんが心配であんな事を言ってしまったのでしょうから許して上げましょうよ」
私がそう言うとヴァハ様は閉じていた口を開くように言う。
『…………ふん、機嫌も何も妾は怒ってなどおらぬ。むしろさっさと戻ってこん奴らにイライラしておるだけじゃ』
………それイコールどちらにしても怒ってるじゃないですか。
しかもまだリオ達が移送魔法で移動してから多分1分くらいしか経っていませんよ。
いや、しかし”移送魔法で行ってリンクさんを持って帰る”それだけならもう帰ってきても良いはず……地下室には行った事以前に存在すら知らなかったので何とも言えませんが……もしや何かあったのでしょうか?
私がそのように少しリオ達の心配をしているとヴァハ様が何か驚いたような声を上げた。
『………むっ、この魔力はッ!?………そういうことか、彼奴めどこにいるかと思えば、ならあれほどの移送魔法も納得がいく』
移送魔法?という事はリオの事でしょうか………って魔力という事はあの三人に何かあったのでは!?
「ヴァハ様、リオがどうかしたんですか?!改めて城の方を集中して感知したらかなり巨大な魔力が感じられましたけど……」
『いや、小娘の事ではないぞい。関係なくはないが………妾が言った彼奴というのは妾の眷属の事じゃよ。どうやらあのリオとかいう小娘、妾の眷属を内に宿しておったようじゃ、まさか姉妹揃って妾達を………過去600年でもこんなことはなかったぞい』
聞く所によると特にあの三人に危険があった訳ではないらしい。
しかし驚く事にリオにはヴァハ様の眷属が憑いているとの事。
………なるほど、あの移送魔法は魔法の精霊であるヴァハ様の眷属が精度を上げているからあそこまで精密な動きが出来るんですね。
………ん?ということは私もヴァハ様の力を借りれば移送魔法が使えるという事でしょうか?
「あのヴァハ様。私も移送魔法を、」
『出来ん事もないがせいぜい50mが限界じゃぞ』
私の問いを先読みしたのか即答したヴァハ様。
…………使える事は使えるんですね。
しかし、
「何故リオと比べてそこまで移動距離が短いのでしょうか?リオの移送魔法は少なく見積もっても1kmはありましたし」
そう私が疑問を口に出してみるとヴァハ様は少し言い淀んでこう言った。
『う…………い、いや実はのぉ、妾は昔から細かい作業が苦手で…それで………移送魔法のように精密な魔法はどうしても苦手でのぉ。移送魔法の座標間違って術者を岩に、』
ヴァハ様の話の途中、私は手を顔に、その顔を上にあげながら思い返す。
今私が思い出すのはあの南門の森を消した爆発の光景…とその跡。
精密な魔法が苦手………正確な威力の調節が出来ない………魔法の暴発。
『という訳で妾は、』
「ヴァハ様」
『む、なんjy……………でしょうか?』
はて?どうしたのでしょうか?ヴァハ様が敬語を使うなんて珍しい。
私はこんなにも笑顔だというのに……あぁ、もしかして私が笑顔という事でお淑やかに合わせて頂けているんでしょうか?
ありがたい事です………が、まだ慣れていないのかお淑やかさがまだまだです。
ここは私が城にいた時に見た書物【暴発馬鹿を奇麗な馬鹿に 〜お淑やかな謝り方編〜】を元に少しせっきょ、教えて差し上げなければ。
「ではヴァハ様、まずは…」
〜それから数分後〜
横から魔方陣とともに青い光が私達を照らした。
「……帰ってきたようですね。仕方ありません話は一旦ここまで……ヴァハ様?次からはお願いしますよ」
『……………………わかり……ました…はい』
何故かさっきより暗い雰囲気を漂わせる
そこまで落ち込まなくても……。
私とヴァハ様がそんなやり取りをしているとやがて、
「むぅ、大丈夫でしょうかあのお二人は」
その光の中からリオが姿を現した。
酷く心配そうな様子で………リオだけ(・・)が姿を現した。
……あれ?後二人、厳密には三人はどこに?
sideリーファ
ここは南門前、アミアが確実に居たであろう場所。
「……リーファ、ここはどこですか?」
いつも冷静でメイド姿が良く似合う姉の珍しく困惑した声が聞こえる……しかし私も今、姉と同じ台詞言いたい。
ーーあの説教から解放され安心したのも束の間。
アミアの元に向かいたいと言うお姉ちゃんの為目眩や酔いの激しい移送魔法を使って先程までアミアが居たであろう南門の森に跳んできた…………はずなのだけど。
先程から顔が強ばって変化する兆しが見られない、あの暴君(あたし限定)のお姉ちゃんが横目で見ながら私に気を使う程……とりあえず私がわざと変な所に跳ばしたと思われなくてよかった…。
………私が返事をしなければ始まらないか。
「………南門の前にある森に跳んだはずなんだけど」
「えぇ、確かに南門はあります。…しかし……森がありません。………これは幻術をかけられたと考えた方が……」
姉はそう言うと口に手を添えながら周りを警戒する。
………そんな威圧感出してたら敵がいても姿何か現さないと思うけど。
というかお姉ちゃんはそんな事を言っているけどさすがに魔法の専門家たる私とセイレーン族最強と言われてるお姉ちゃんがいるんだから魔法だろうと同族、もしくは他魔族の能力だろうと気付かないわけないでしょうに。
…………ということはこれは現実。
………そういえば姉の説教中にもの凄く大きな音がこっちの方から聞こえた気がするけど…………あれかぁ。
説教に集中して気にしてなかった…………今気にしても意味はないわね。
………………仕方ない、まずはアミアの魔力を辿る事から、
「また雑音無奏を撃って様子を見てみましょうか……」
…………まずはお姉ちゃんを宥める事から、かな。
side勇者
勇者は魔物二体から逃げられない。
黒い鎧はコンワクしてる。
勇者は作戦を「姫がためのトツゲキ」に切り替えた、勇者の攻撃はかわされた。
魔物二体はそれぞれ風の魔法と剣の攻撃を勇者に放った。
ループ×2
勇者は「姫は大丈夫なのかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」と鬼気迫っていた。
勇者の苦悩は続く。




