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狐の嫁入り逃亡記  作者: カラネコ
第2章 聖からの脱出
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第40話 子狐

ものすごく遅くなってしまい申し訳ありません。

 場所は地下、暗くジメっとした牢の中。

 そこに魔方陣と青い光が再び現れその中から二人の人物が出てきた。

 そのうちの一人の少女がもう一方の……女性?に向かって戸惑った口調で言う。


「むぅ、あの……着きましたです…その………大丈夫です?」





 女性?こと俺、ハルですが今リオの心配そうな言葉が心に染みます。

 現在、俺の両頬はものすごく、無駄に物理法則を無視したと言えるくらい腫れ上がっています。

 そう、あの定番ギャグのように、一コマですぐ直るあのギャグのように。

 ーーあの俺のKY発言からすぐに案の定ヴァハからの鉄拳制裁が下った。

 …………正直痛い、移送魔法による時間感覚のずれが気にならなくなる程には。

 制裁後アミアにあの電気鰻エレクトロークって言われてた光る鎖を解除してもらったのだが気分は解除前より重い…………やっぱり顔が原因かな。

 ………いや、とりあえず今はリオの言葉に返答するのが先だな。


「だ、大丈夫です。私の自業自得ですから…むしろこのくらいで済んでよかった……」

《そうですね、あの雰囲気で割り込めるハルにはある意味感心しましたが………反省して下さい》

 

 ボコボコの顔で答える俺に白露がため息を吐きながら言う。

 …あの白露ですら嫌みを混ぜながら言うとは……さらにすぐに直るはずの顔の腫れを妖力で無理矢理維持するほどの徹底ぶり…………なんかすいません。

 鎖をアミアに解いてもらって身軽になったはずなのに前より至る所が重い……今度からもうちょっと発言には注意しよう…。

 確かにあの流れでいきなり鎖のことを言ったのは失言だった。

 いくらリンクをここに置いてきた事を思い出したからって……今では激しく後悔してます。

 

「む、むぅ…。と、とりあえず場所に着きましたですし、早くリンクって人を探すです!」 


 リオが気を効かせて話を逸らそうと珍しく声を高くして俺に言う。


 リオって言うまでもなくいい子だな……今の俺の唯一の癒しですたい。

 おっと、リオの対応に感動するのは後にしよう、まずは当初の目的を果たさねば。

 というか、


「探すと言ったってリンクなら牢の中で寝てるはず………………おろ?」


 リオの言葉で牢に視線を戻すと思わず俺は素っ頓狂な声を上げた。

 とりあえずゴシゴシと目をこする。

 そうして俺は辺りを再度見直すがこのリアクションが変わる事はなかった。

 ………いない、何がいないかといわれたらリンクが、牢に。

 てっきり今の今まで牢の中で暢気に居眠りを続けてると思っていたリンクがいない。

 実はリオが話をそらすためにわざと目の前で寝ているリンクを無視してそう言ったんだと思ってました。

 そんな事を俺が回想しているうちに改めて牢の中を見渡したリオと白露が渋い顔をして呟く。


「む?そうは言っても………いませんです」

《いま……せんね、ここでさっきまで寝ていたのに………これは、マズいかもしれません》


 …………まずは情報の整理をしないと…こういう時焦ったらいけないのは意味合いは違ってくるけど日護涼華の件で経験済みだ…俺達がここを出て戻ってくるまで約20分、俺の体感時間は当てにならない為アミアに聞いたからほぼ間違いない。

 そして敵が俺達が逃げた事を知りリンクを連れて行ったんだとしたら……やっぱり白露の言う通りマズいな。

 ………いや、ここはポジティブに考えてリンクがここから連れ出されたのは最長で20分と考える方が良いか。

 ………急げばまだ間に合う。

 なら、まずする事は…


「リオ、先にアミアの元に戻っておいてくれませんか?」


 リオの安全確保だ。


《ハル………いえ、そうですね》


 俺の言葉に白露は何かを言おうとしたが俺の考えを理解したのかそこから後は何も言わなかった。

 そして俺の突然の言葉にリオは少し驚いたように目を開いたがすぐにいつもの無表情に戻り言う。


「むむ?まぁ、構いませんが……お兄さん達はどうするのです?」

「ここに残ります、やらなければならない事が出来ました」

 

 さすがにあそこまで協力してくれたリンクを見捨てるわけにはいかないからな。

 でもかといってほぼ関係がないリオを面倒事に巻き込むわけにはさらにいかない………まぁ、ここに転移してもらった時点で巻き込んでいるような気もするが……。

 ……それに城がどうなってるか明確に分かってないこの状況だとアミアの元に居る方が安全だろう………白露には絶対言えないが何か南門辺りの森を吹き飛ばしたのってアミア達らしいし。

 まぁ、リンクも敵が俺達の情報を聞き出す為に連れて行ったんならすぐ殺されるような事は無いはず……リオを送り次第動きますかね。

 

 そんな感じで俺が後の自らの行動を考えている中、リオは未だ腕を汲み目線を上に向けて目を瞑り”むむむむ〜”とこれからどうするか唸りながら考え来んでいる。

 ふ、リオはやはり優しいな、リオには悪いけど俺達のためここまで真剣に悩まれると何か嬉しくなる。

 そんなふうに俺が見ているとやがてリオは考えがまとまったのか目線を俺にあわせ言う。


「むふぅ〜、何やら確かな目的があるご様子ですね。でも私が居ては邪魔なようです。しかし、私が居なければ移動に不便でしょう………フィル」


 リオが呟くと直後リオの額の中央から青い光が輝きその光の中から鳥のような形をした青い水晶が飛び出してきた。

 水晶の鳥はリオの周りを少しの間飛び回るとやがてリオの目線辺りで止まりそして、


『貴方はなんだかんだ言って我の扱いが雑』


 いきなり女性のような声が響くように聞こえた。

 ヴァハの声とは違い、かなりスッキリした辺りに良く響く少女寄りの声だ。

 ………多分ヴァハと同じようにあの水晶から声が出ているんだろうなぁ。

 という事はまた精霊の類いかな?アミアの話ではヴァハがそれにあたるらしいし。

 

 俺がなんとなくそう思ってる中フィルと呼ばれた鳥形の精霊?は続けて言う。


『それで、用は何?我、呼び出すという事は緊急?』

「うぃ、割と急いでいらっしゃるようなので貴方の力を借りたくて、その内容がですね……





 そこから数分後、青い光を放ちながらリオは地下室から消えた。





《リオさんはちゃんと行ったようですね、この近くに気配は感じません》


 うん、そうだな。今のアミアならヴァハも居るしリオを守るくらいなら余裕だろう……さて。


 俺と白露はリオがアミアの元に向かった事を確認すると牢の檻の方を見る。

 そして、


 赤壁 発動!!!!!!!!

 か〜らのぉ〜〜全力パンチ!!!!!!!!


 ゴキィィィィィィィィィィィィン


《オラオラ10連》


 ベキバキカギィィィィィィィィィィィィィン


 全力で檻を破壊するため攻撃を撃った。

 ………後から気がついたんだけど、リオをアミアの元に返すのはどうせならこの檻から出してもらった後でもよかったかもしれない。

 まぁ、終わった事を今更悔やんでも仕方ないけど………とりあえず今俺が思うのは……何で出来てるんだろ、この檻。

 所々俺達の攻撃で凹んだり軽く曲がったりしてるけども檻の機能を未だしっかり残してる………しかもご丁寧に檻の中心はまったく曲がってもいなしもちろん凹んでもいない、ダメージを受けたのは外部の皮の部分だけのようだ。

 これを破壊するのはすぐには無理だな……。


《……妖力か魔力、何らかの力を無効にする素材で出来ているのかもしれません。…これは破壊は難しそうですね》


 白露の見立てでもこの檻の破壊は難しいとの事。

 …しかしこの檻を越えなければそもそもリンクを助けるといった当初の目的が達成出来ない。

 …………出来ればやりたくなかったが、やもおえないか。

 俺はおそらくものすごく嫌な顔をしながら決意を決め、心の中で白露に言う。


 白露、ヴァハの件の反省は今でもずっとしていますからこの腫れを直させて下さい。

 今の状況じゃ緑陽・・が使えない上にそもそもの行動に支障がでる、てか改めて意識しだすとめっちゃ痛いんで。


《………分かりました、反省はしているようですし……リンクさんを助けるためです》


 白露がそう言い終わると俺の顔の腫れはみるみると直っていき5秒後には完璧に直っていた。

 通常ならここで直り早っ!?というツッコミを入れる所ではあるけども今回は急ぎのため割愛。

 さて、そろそろ新しく覚えた妖術のお披露目といきましょうかね。


《しかしあそこまであの術を嫌がっていたハルが………この状況ですが見るのが楽しみです》


 ふふっと笑う白露、無視だ無視。

 ……しかし改めて思うと俺が赤壁以外でまともに妖術を使うのって初めてだなぁ。

 まぁ、妖術って言ってもあのお馴染みのあれだけどね。


 そんな事を思いながら俺は手を二回叩いた。


 パンッパンッ


 狐火術 変化系 『緑陽りょくよう』 


 ボォォォォォォォォォッ!!!!!!!


 術の発動と同時に俺は一瞬だけ体全体を覆う程の炎に包まれた。

 そして一瞬で炎が消えるとそこに俺の姿はなく、ただ下を向きながらプルプル肩をふるわせている白露が残るだけだった…………わけもなく、俺の居た場所の地面を見てみるとそこには…、


《ふふふ、やはり、可愛いです》


 白露が笑みを堪えきれないのか俺の方を見ながら満面の笑みでそこにいる。

 ……改めて、そこには耳をピンと立て、目をキョロッとさせて何故か仏頂面をした奇麗な銀色の毛並みをした一匹の子狐がそこに居た。

 ……………というか、俺なんですけどね。


 ーー俺が使った新術『緑陽』は、実際のところ術と言うより狐族が本来出来る変化の総称だと白露は言っていた。

 つまるところこの術を狐族の者が使用した場合、その使用者にあった大きさの狐に変化する。

 白露は実演してくれなかったけど大体は成長した狐の姿になるらしい。

 で、俺はこの子狐。

 子狐、リトルフォックス、小さい狐…………small fox。

 俺の中で軽いコンプレックスが生まれそうだよ、白露と歳はそう変わらないはずなのに何故に子狐?!

 ……さらに俺がこの姿になると…


《(愛でたい、触りたい、なでなでしたいです!!私とは違ってもふもふしたその体を堪能したい!!!)》


 …なんか白露が怖い。

 息は荒くなるし、目は軽く血走ってるし……手がわきわきしてるし。

 ……だからこの姿にはなりたくないんだ。

 俺は可愛いと言われても嬉しくないし、白露が時々抱きしめてきて窒息しそうになるから生死の危険もある。

 しかも…………………………いや、今は忘れよう。

 ……そろそろ本題に戻ってリンクを助けに向かうか。


 白露、結構な時間ロスしてるんだからさっさと行こう。


《少しくらいなら…》


 却下。


《…………分かりました、行きましょう》


 そうして俺と白露は牢の方へと歩き出した。

 俺は檻と檻の間から容易に、白露は霊体化で何もないかのように通過。


 さて、さっさとリンクを探しますかね。

 

 そうして俺達は走り出した。





 そんな中、


《やっぱり少しくらいなら……》


 もうやだこの人……。

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