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狐の嫁入り逃亡記  作者: カラネコ
第2章 聖からの脱出
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第37話 考える白露

 さっそくで悪いのだが皆さん、【考える人】という像をご存知だろうか?

 オーギュスト・ロダンというフランスの彫刻家が制作したブロンズ像だ。

 あれは見る人によって感慨深い、かっこいい、あのポーズ何www、考える人(笑)など思う事は違ってくるだろう造形だ。

 しかしもし……もし、あの考える人のポーズをガチでしかも真面目な顔つきでやっている人がいた場合どういう反応をするだろう?

 親がやっていたら心配するだろう、友人がやっていたら笑いが起きるかもしれない、顔見知りの人がやったら見なかった事にしてくれる、ペットがやったらただ奇妙だ。

 そう、上記で言った例で言うなら”どう反応するか?”など正直千差万別で本来は聞く必要のない質問だ。

 だって答えが一定ではないから、まとまる事などそれこそないからである。

 だがしかし”自身が誘拐され入れられた牢の外で高級そうな服を着た不憫そうな男が考える人のポーズを突然しだした時”の反応は結構一定ではないだろうか?

 ちなみにハル式答えは”ひく”

 正直聞いて回った訳でも調べた訳でもないし、皆が同じというのはあり得ないだろうけど多分似たり寄ったりの反応をするのではないだろうか。

 ……そんな状況になった事がないから分からない、か。そうだよね。

 ………そもそも何故俺が珍しくもまともな説明口調でいつもより少し饒舌に話しているのかというと、それは目の前の状況についていけなかったからである。

 どう反応するべきなのか…………。


《…ハル、あまり頭を抱えている時間はありませんよ。確かにあの姿は何か感じるものがあるでしょうが私達が監禁されている事を忘れてはいけません。それに早々にアミアさんの救援に向かわなければならないのですから》


 ハッ!?

 白露の言葉で思考に浸っていた俺が現実に戻る。

 そういえばそうだった!?

 何かアミアに異変があったからここを早くでないといけないんだった!!


 ……ちなみに今、アミアの様子はどうだい白露。


 そう心の中で聞く俺の質問に白露は何か妙なものを見るような目でおそらくアミアがいるであろう方向を見つめながら答える。


《それが……なんというか………アミアさん自体は健在でむしろ先程より力の波動が強くなったようです。しかし…………何故か森があったであろう場所から木の精の気配がごっそり消えているのですが……、こんなこと森が一瞬で吹き飛びでもしない限りありえないのですけど…》


 ………ん〜ん、森の件はまだよく分からないけどとりあえずアミアが無事そうで良かった。

 しかもなんだかパワーアップしているみたいだし俺達もここからさっさと出て合流、もとい帰らないとな。


 俺が心の中でそう言うも、白露は変わらず異変があった方向をさっきよりも集中した様子で見ている。

 むしろ目が血走っていてキレてるようにしか見えない。

 ………よほどの事が森にあったんだろうな。


「………はぁ」


 俺がそんなふうに白露を見ていると横からため息を吐く声が聞こえた。

 横を向いてみるとさっきまで考える人のポーズをしていた高級そうな服をしここに俺達を閉じ込めた張本人であろう男が普通に椅子に座りこちらを見ていた。

 そして何か疲れたように覇気のない声で俺達に向かって言う。


「……………………もう君らに言う事は全て言ったな。巻き込んでしまって悪いがさっきも言ったようにしばらくはここにいてもらう事になる。……おとなしくしてくれていれば危害は加えないしもちろん殺しもしない。……………まぁ、そういう事だからあまり妙な気は起こさん事だ」

 

 そして会話は終わりそれから男はじゃあなと言って廊下を歩き出しハルトマンと呼ばれていた少女と同じように暗闇に消えていった。


 ……そういえば俺が電気で痺れている間になんかあの男がわざわざここに来るまでの経緯と俺達を捕まえた理由を説明してくれてたっけ。

 確か内容を簡単にすると、


 ・俺達の拠点と思われる場所を特定し、都合良く意識がなかった俺達を捕縛。

 ・男の仲間を俺達が倒してしまった為に危険と思っての行動。

 ・妙な事をしなければ危害を加えるつもりはないらしい、男の用事が済めばすぐにでも解放するそうだ。

 ・用事というのは別に国を支配するとかではないらしい。

 ・あとリンクが横で寝ていた。


 確かこのくらいだったはず。

 …そういえば結局ここがどこかは教えてくれなかったなぁ。

 まぁ、監禁してる場所を簡単に言う馬鹿もいないだろうし仕方ないか。

 でも説明で補足を入れるとしたら、あの宿は拠点ではなくただあそこで過ごした時間がこの国では他より長かっただけ。

 さらにいうなら仲間を倒してしまったというのも実際に倒したのは白露の話だと赤狐達とアミアだ。

 正直俺達はサポートはしたが実質大きな被害は出してない……………はずだ。

 しかし意外だったのが俺が咄嗟に言った質問に答えてくれた事だ。

 俺は………おそらくこの男がアミアを狙っている奴らのボスであろうと思い自身が思っている事を告げた。

 ズバリお前の目的はこの国の支配なのか?…と。

 俺たちの誘拐、過去のあの鎧の男・黒筋肉(刺客)、アミアの追っ手……そして…隠された姫であるアミア自身、これらから導きだされる答えはやはり国の征服・もしくは破壊だと俺は思ったのだが…。

 俺のそんな考えの問いに男は即答で”そんな事には興味がないな”と呆れ顔でいった。

 嘘かもしれないと思い後で白露に聞いてみたがどうやらそんな感じではなかったらしい。

 ………この状況でどうかと思うけどなんだか安心した。

 もし国の支配が目的だったなら最悪国を相手取らなければならなかったかもしれないのだから安心もするだろう。

 

 最後のリンクは放っておいた。

 未だに俺達の横で寝息をたてながら幸せそうに寝ている…以上。


 ……

 

 さて、整理も終わった事だしそろそろ本格的にここからの脱出を考えないといけないな。

 鉄格子の破壊は出来そうだが、問題なのはこの電気鰻エレクトロークって言う光の鎖だね。

 何もしなくてもなんだかピリピリと電気が発生している気がする。

 

 白露、これ君なら壊せるかい?


《……やっぱりこの気配のなさ、森が消し飛んだとしか思えませんね。敵が…?いえ、それならアミアさんが健在なのはおかしい…………精霊が…?ならどうやって顕現したのか………もしかしたら、》


 聞いてよ。

 声が小さくてよく聞こえないけどまさかまだ森の事を考えてるのか?

 まぁ、白露は大地の精や木の精とかに語りかけてたしおそらく俺がこの白露の体に入る前は森と密接な関係だったんだろう。

 ………だろうけど、それなら尚の事ここを速く出てその森の、アミアの元に向かう向かうべきじゃないか!

 というわけで、


 白露!!!森の事はここを出て上に向かえば確認出来るからそろそろ戻って来んかい!!!!!


《はにゃっ!?な、なんですかハル、突然……………あ、あれ?あの男はどこにいったんですか?》


 ようやく戻って来てくれたか。

 …予想してたけどやっぱあの男がどっか行った事気付いてなかったのな。

 ………その事についてはいいや、とりあえず今はこの現状を脱するために白露と相談しなくては!


 あの男なら俺達……実質俺に”何もしなければ危害は加えない”って言ってどこかに行ったよ。


《え?!いつの間に……ってあれ?私達の監視はいいのでしょうか?》


 まぁ、俺がこの状況だから何も出来ないと思ったんじゃないか?

 こんなスタンガンみたいな鎖………とりあえずここから出るための作戦会議をしたいのだが?


《あ、はい、そうですね。すいません、ぼーっとしてしまって………問題はこの鎖ですね》


 そう言いながら白露は俺を縛っている光の鎖に手を伸ばした。

 そして鎖に触れる所まで来るとやはり触れは出来ないようだが少しの間神妙な顔つきで鎖を見つめている。

 ……………作戦会議がしたかったのだけども……俺が話しかけられる雰囲気ではないな。


 俺がそんなふうに思いながら約30秒後に白露は閉ざしていた口を開いた。


《この鎖……見た所かなり魔力が込められているようですね。………しかしこれなら私が実体化すればなんとか壊れるかもしれません》


 おぉ!ホントかい白露。

 ……………あれ?でもそれって白露が実体化してる間俺がまたあのビリビリを受けなきゃならないってことでは……?

 …いや、そのくらいは我慢せねば、これからずっとここに閉じ込められているよりはマシだ…………けど嫌だなぁ。

 でも、背に腹は変えられないか………。


 …わかった、それならやろう、すぐやろう。


 俺の決心が鈍らない内に。


 んじゃ、赤壁行きまーす!!!!


《え………あ、分かりました?では…、》

 

 俺のテンションと物事の進む速さについてこられないのか白露は戸惑っているようだ。

 というか若干引いてる気もするけど………。

 しかし今の俺は流れてくる電流に耐える心構えをするので忙しい。

 すまないが………さっさと終わらせる!!!


 赤壁……………発動!!!!!


 その瞬間、俺はまたしても電撃に襲われた。

 バリリリリリリリィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!


「あばッ、ば、ばばb、、あ、ばばばっば!!?!?!?!?!?!」


 やっぱり心構えしても痛いぃぃぃぃぃぃx!?!?!

 白露早くしてくれぇぇぇぇ!!!!!!??


《……》


 すいません、マジで早くして頂けないでしょうか。

 俺のHPが着実に減ってるんですよ……どうして鎖を両手で持った状況で止まっているんでしょうか?


《……》


 え?なんだって?なんか今俺は無我の境地に至りそうだからもうちょっと大きな声で……あだだあっだだだだだだだだだだだだ!?!?!????!!

 何故、鎖ではなく俺の両腕を引っ張っているんですか白露様!?


 白露は何故か鎖から手を外し、俺の両腕を横に広げようとしていた。

 そんな白露から何やら声が聞こえる。


《………これは》


 頼むから!話聞くから!!腕を放してくれ!!!

 千切れそう…とまではいかないまでもかなり痛いんだよ。

 まぁ、幸いなのは電気を未だに受け続けているせいで全身が麻痺しだしてるって事…………え、これ大丈夫じゃなくね?

 ………………白露ぉぉぉぉ、頼む、壊すならさっさと壊して、


《……いえ、まさか。あの精霊はアミアの所に…………なら、他の精霊が?何のために?それならまだ…、》


 ヘブン状態再臨。

 またかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!??????

 何故!今!!この状況で!!!?頼むよ、勘弁してくれぇぇぇえぇぇぇぇぇぇ!!!??


「白露ぉぉぉぉぉ!!!いい加減にして下さぁぁぁぁい!!!!!!!」


《!?》


 つい声が出てしまったがそのおかげで白露は気がついてくれたらしい。

 良かった、がしかし……俺はツッコミの末に術を維持していた精神の支えを失った事で自然と赤壁が解けた。

 お分かりになるだろうか?赤壁発動中でもかなり痛い電撃を赤壁が解けた状況でもろに食らうこの状況。

 つまり…


「アババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!!!????????????」


 ということだ。




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