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狐の嫁入り逃亡記  作者: カラネコ
第2章 聖からの脱出
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第33話 友達

遅くなりました。初めて書く展開に戸惑って時間がかかってしまいました!

・南門前の森の中



「……ふぅ、勘弁してほしいッスね、ホント。なんスか、あれ」


 木影に隠れながらアイアンはそんな事を呟いた。

 指を小さくだが何かを正確に描いているかのように動かしている。

 アイアンが隠れている理由は、アミアの存在にあった。

 自信のあった攻撃は防がれるは切り札使わされるなどそんな苦労をして一回気絶させたかと思えば次には異形の羽を出現させ自分を木に叩き付けて来たお姫様。

 しかし今のアイアンからしてアミアの評価は無知で力の無いお姫様から怪物を身に宿した哀れな少女に変わりそうになっている。

 何故ならアイアンが今目にしている少女はどう見ても高貴なお姫様ではなく森に居る野生の魔獣のそれだったからである。

 グゥゥゥゥ、と唸りを上げ歯を軋ませさらに目を赤く染め四つん這いでこちらを警戒しながら睨みつけている。

 アイアンは自分を張り付けている水晶の翼をなんとか爆発で引っ剝がし現在森の中で転々と隠れながら移動している。

 しかし何故か位置がバレているのかどうにも撒けない。


「こりゃ、あっしもそれなりの覚悟をしなけりゃ……なりやせんと、ね!!!」


 意を決してアイアンは木の影から出て魔法を放つ。

 隠れている間、ずっと術式を編んでいた強力な魔法を。


「explosion LV5」


 辺りに爆発の大きな音が響き光が広がった。





 sideアミア


 目の前に映し出されている映像。

 そこに映っている獣のような感じのする私。

 そう、私なのですが……、


「………あれは……いえ、私はどうなったのですか?どうなって…るんですか?」


 私は特に意識せず反射的とも言える様子でそんな言葉が出て来た。

 正直、あれが私だという事は分かっているけど……私は目に前の映像がすぐには理解出来ませんでした。

 出来れば私の勘違いであってほしい。

 しかし現実はそうはいかないから無意識にでも尋ねてしまった。


【…そうじゃのぅ、妾からは多くは言えんがまず先に言うのなら”お主の意識が失われるとどうなるか”という問いの答えを言うとこの状態がさらに酷くなる。これでもまだ抑えが利いておる方じゃ………最悪お主が町を破壊するかもしれん】

 

 ムジャパティ様の返答に私は目を見開いて再び画面を凝視した。

 私が町を?

 そう考えるだけで私に大きな不安がのしかかってくる。


【まぁ、そんなことになる前に妾が止めるがの】


 そんな私の様子を見てムジャパティ様は安心させるように私に言った。

 でも私には分かりませんでした。

 何故ムジャパティ様が私を守ろうとするのかが。

 おそらくだが今の私の状態だって気絶するだけではあんな状態にはならないはず……もしなるのなら前に白露様達の前で気絶した時にこうなっていたはずです。

 そして前と違う所といえば今回は敵が居る事。

 …つまり私が危険に陥ったから、防衛の為にあんな姿になったのでは?


 ズキッ


 痛ッ!?

 

 また頭痛が、さっきまで画面に夢中で一時的に感じなかった頭痛が戻って来た。

 そんな痛みに頭を抱える私に何か声のようなものが聞こえた。

 いや、記憶の底から思い出したというのが正しいのかもしれません。



 え?



 気がついたら目の前にはムジャパティ様が居ました。

 しかしさっきまでいたムジャパティ様とは違う、あんな薄い布で覆った服ではなくちゃんとした正装といっていい服で神々しささえ感じられる。さらに周りの風景も違う、ここは……城の、私の居た……十年以上居た私の部屋だ。

 そんな部屋の中心でムジャパティ様が心が洗われるようなとても奇麗な笑顔で私の方を見ていた。

 そして……、


『貴方は私の友達になってくれる?』


 下から声が聞こえた。

 ムジャパティ様からではなく、私の足下から。

 幼い女の子の声に聞こえた、そして同時に酷く懐かしい気持ちになる。

 ムジャパティ様は少女の問いにゆっくりと頷き言う。


『お主に危険があればーーーーーー』


 そこから何かに引っ張られるような感覚を感じると元の……布の少ないムジャパティ様が目の前に居た。

 ムジャパティ様は私の様子を見かねたのか顔をしかめて言う。


【む、さっきも言ったが無理に思い出そうとは、】

「なんで」


 ムジャパティ様の言葉を遮ってしまいましたが私はどうしてもムジャパティ様に聞きたい事があった。


【む?】

「なんで私を救おうと…」


 …してくれるんですか?そう言おうといましたが言葉が出ません。

 ……涙が目から溢れ出て言葉にならないんです。

 何故涙が出るのか分かりませんがとにかく涙が止められないんです。

 そんな私を見てムジャパティ様は少し複雑そうな笑みを浮かべてこう言った。


【そんな顔をするな、契約契約と言っては居たが妾はただ約束を守ろうとしただけじゃ】


 …約束?

 もしかして前に、私にはその記憶が無いがムジャパティ様と会った時にした私とのものだろうか?

 涙を未だに流しながら私は約束という言葉を疑問に思った。

 それが自分とのものなのか他の他人とのものなのか判断が出来なかったから。

 言葉がでない分私はムジャパティ様に視線で問いかける。


【お主に危険が迫ればどこだろうと、】

 

 その視線を受けてかわかりませんがムジャパティ様は言葉を繋げる。

 そして一旦言葉を止め、いつの間にか噴水から降りこちらにゆっくり歩み寄ってくる。

 5、6歩の距離だったためすぐに私の目の前まで来て止まった。

 そして続きの言葉を紡ぐ。

 この言葉で私の疑問は確信へと変わった。


【『私が貴方を助けよう』】


 一瞬、私はさっきの正装をしたムジャパティ様が目の前に居ると錯覚した。

 

 私の頭に何かが流れ込んでくる。

 見えて来たのは城にある私の過ごした部屋とある精霊様に向き合う少女の姿。


『貴方は誰?』


『ふむふむ、今回の宿はこの娘か。難儀な事じゃのう』


『貴方は、誰!』


『聞こえておらんわけじゃないから安心せい、で、娘よ。妾の事を言う前に願いはなんじゃ、契約の内容を聞いてやる』


 ……あぁ、これが最初・・の記憶。

 初めて会った時の記憶ですか……。

 契約、か。大層な言葉ですね。…そう考えると私達のは契約などではなく確かに約束でしょう。

 契約なんかよりずっと脆く儚い、しかし暖かい繋がり。

 いつ破っても咎められない、破られても軽い繋がり……それが約束。

 それをずっと守ってくれてたなんて本当に……、



 ーーーーー貴方は変わらないね。



 何故忘れていたんだろう。

 ここまで自身との約束を守ってくれる一途な友人を…何故、忘れていたんだろう。

 ……まだ友達で居てくれるだろうか?また一緒にいてくれるだろうか?

 分からない、分からないから。

 だから確認のためにこう言おう。


「一緒に戦ってくれますか?」


 いつの間にか現実、あの映像で見えていた場所。

 背中にはいつもは無い異形の赤い翼を付け、おそらく目が赤い私。

 そんな私の頭上に新たに出来た赤い水晶の輪っか。

 そこから私の質問の答えが一寸の時間も置かず帰って来た。


『もちろんだとも』


 即答。

 輪っかの姿だがイキイキとした声の友人に私は少し可笑しくなる。

 とても久しぶりに再開した友人が全く変わってなかったらきっと他の人も同じ反応をするだろう。

 まぁ、私の場合はずっと一緒にいたけど気付けませんでしたから、見えない所で変化があるのかもしれません。

 ……今日のこの日は勇者とも会えましたし友人と再会して仲直りも出来、夢ではないかと思うくらい良き日です。

 この気持ちのまま明日を迎えたいですし……まずあの爆発の男を倒しましょうか。

 今度はどこに行くにも置いては行きませんよ、約束を守ってくれていた友人にお礼もしなくてはなりませんから。

 さて、


「では今度こそ一緒に行きましょう、ヴァハ様」


 魔法を専門とする我が愛しの精霊様へ


『様はいらぬが……ようやく思い出しおったか、遅過ぎるぞアミ』


 声が涙声ですよ?

 私もですが。

 …これからは出来ればずっと一緒にいましょうね。


 貴方は知ってるかもしれませんが勇者や白露様達に改めて紹介します。

 私達の幸せな未来を夢見て、僅かばかりの祈りを…。




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