表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狐の嫁入り逃亡記  作者: カラネコ
第2章 聖からの脱出
52/70

第28話 動き始める何か

遅くなりました!

 

 ・動き出す人達


 暗い、いつも語るより暗い湿った石造りの地下で二人の男女が話している。

 一人は無駄に豪華なこの空間に似合わない白を基調とした服を着た男。

 もう一人は顔の鼻から上を仮面で覆った少女。


「HA………………………………あんな男に任せて、大丈夫?」


 仮面の少女は、少し心配そうな声色で呟いた。


「ん?…いや、おそらく簡単にはいかんだろうな。腐っても我が国の勇者だ、そう簡単には負けはしないだろうよ。いい結果なら今頃ここに向かって、…というかハルトマン、お前なら見る事が出来るだろ?」


 対して男はどうでも良さそうに少女の言葉に答えた。

 正直どちらでも良いという感じだ。

 そして少し呆れがこもった声で少女に言う。


「HA………………………………失態、見失った」


 しかし男の言葉に少女は申し訳なさそうに少し顔を下に向けて男に返事をする。

 男はそんな少女の言葉に驚きを隠せず少女聞き直した。


「……見失った、ってお前がか?」


 そう聞く男の雰囲気にさっきのどうでも良さげなものは無かった。

 そして再度聞かれた少女は、コクンと首を縦に振った。

 少女の返答に男は考える素振りを見せ言う。


「………俺は奴への評価を改めねばならないようだな。危険度も上げ、」

「HA………………………………違う」


 男の言葉を遮って少女は否定する。

 遮られた男は一瞬何が違うのかと言いたそうな視線を少女に向けたが一応違う可能性を思考した。


「違うって……あぁ、なるほど。そういえばあのじゃじゃ馬姫には精霊と混血の護衛がいるんだったな。あいつらに何かされたってところか?」


 男は現状考えられる一番可能性のある予想を少女に告げる。

 しかし少女からの返答は男が求めるものとまたしても違う。


「HA………………………………それも…違う」


 問答のようにはっきり答えを言わない少女に対し男は”では何なんだ?”と強気で聞き出そうと視線を向けると少女の反応に困惑の色を示した。

 少女は震えていた。

 震えていたと言っても一般の人間には分からない程小さく、細やかにだ。

 しかし古い仲なのだろう男はそれに気がついた。

 そして問う。


「………どうしたハルトマン?一体何を見た?」


 男の問いに少女はすぐには答えなかった。

 それにも男は驚いた様子を見せたがすぐに持ち直し少女の返答を待った。

 そして少女は震えながら、仮面で見えないがおそらくかなり動揺している様子で口を開いた。


「……HA………………………おそらく…総戦力…でも勝てない者が見えた」


 少女が放った言葉の意味を男はすぐ理解した。

 しかしやはり信じられない様子で少女を見る。


「……………それは、本当か?」


 男の発した言葉は驚きで少し固い。

 しかし少女は男の問いには反応せず顔を下に向けている。

 その反応のなさが肯定である事を意味しているのを男はすぐに感じ取った。

 そして男は少女の様子から様々な事を連想した。

 総戦力…勝てない?数の差…ハルトマンの怯え…圧倒的な力…大国の援助……王達に感づかれた?…………勇者…違う、ハルトマンが怯える要素が無い…裏切り?……精霊?


 ……

 

「やめよう、今は考えても仕様がない。ここまで費やして来た時間を無にする気も俺にはさらさらない。」


 全てを振り切るように前を向く男。

 しかし男は一度少女の方を向いて何かを確認するような視線を向けた。

 来るか来ないか、そんな二択を問われているように。

 少女もそれに視線を返すと男は再び前を向いた。

 この視線のやりとりがどんな物だったのかは二人にしか分からない。


「始めるぞハルトマン。俺達の為の戦いを」

「HA……………………………了解」


 そして二人は地下を進んでいった。

 固い決意を抱きながら。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 sideアミア



 バゴォォォォォォォォン!!!!!!


「なんじゃ、今の大きな音は!?」


 私は突然の爆音に驚きの声を上げた。

 久々にもとの口調全開である。


「姫、気がついたんだね!」


 そんな声を出した私に固まっていた勇者が笑顔で声をかけて来た。


「おぉ、勇者、久しいな……ではなく!今の爆音は何ッ!?」


 一瞬和やかになって会話に入ろうとしてしまった私だがすぐに本題を思い出し勇者に聞いた。

 しかし勇者も今の2回目の爆音で気がついたようで分からないと言う顔をしている。


 …これはどういう事でしょう?

 起きてみたらここまで状況が変わっているなんて…。

 敵?……とりあえず勇者との会話が必要ですね。


「……今日は祭りなんぞ無い筈じゃ。しかもまだそこまで日は落ちておらぬ」


 とりあえずはほぼ可能性が無いに等しい事を言って勇者の出方を見る。

 そして私の言葉を聞いた勇者は音のした方向を向いて忌々しそうに言う。


「…確かに耳障りだね。これじゃまともに話も出来ない」

「この爆音からすると、おそらく東門と北門辺りから……煙も見えているし間違いない」


 確かに東門と北門辺りから煙が出ている。


 …!考えている場合じゃない!!早く行かなければ!!

 門からここまで聞こえる爆音だった事からおそらく門を破壊する規模の爆発だろう。

 周りにかなりの被害を出してるかもれない!!!


「もしかしたら民に被害が出ているかもしれん!私は北門に行く、勇者は東門へ!!」


 私が勇者と手分けして各門に行こうとすると勇者が止めて来た。


「それ駄目だ!今の姫は追われている身だろう?ならここでハルさん達と一緒にいるんだ、各門へは僕とリーファさんで行く。多分東門の近くにはカルネ……うちの剣士がいるから戦力的には問題ないよ」


 確かに勇者の言う事にも一理あるがここでおとなしく待っていろと言われても待てる気がしない。


 …勇者パーティーの三人がいたら問題ないでしょうが………いえ、私が行っても足手まといか。


 自身にそう言い聞かせるが自分の力の無さに泣けてくる。

 

「だから姫はここで待っていてほしい。僕たちが行ってあの爆発らしきものの正体をつかんでくるから……リーファさん、起きて!」


 私にそう告げて勇者は早速と言わんばかりにリーファ殿を叩き起こした。


「え!?………あれ?なんであたし寝てたんだっけ?」


 何故か寝る前の記憶がないらしいリーファ殿。

 困惑している様子。


「起きてもらって早速悪いんだけどリーファさんに東門の様子を見に行ってほしい」

「はい?……まぁ、いいけど……なんだか煙が門の方から出てるわね。多分だけどあれが原因?」


 リーファ殿が門から立ち上る煙の方を見て言う。


 さすが勇者パーティー、状況判断能力が洗練されています。

 …やはり私は行かない方がいいですね…本当に足手まといだ。


「そうだ、さっき爆発らしき音が聞こえたんだ。一つだけならまだしも2つの門からあの爆発、姫が心配してね」

「…あ、そう。じゃあ、さっさと行きましょうか。魔王討伐の旅の時に比べれば全然ラクね。」


 何か酷く脱力したように面倒くさそうに答えるリーファ殿。

 なんだかうんざりしていると顔に書いてある感じだ。


「……あぁ、そうだ。勇者、あんた後で耳貸しなさい。少し話しておきたい事があんのよ、そこのお姫様関連で」


 そして何かを思い出したかのように私を一瞥しすぐ勇者の方に向き直った。


 ………?私の事?

 ……あ……そういえばリーファ殿はハルさんと一緒に城から出て来たんでしたね。

 もしかしたらその時に何か情報を掴んだのかもしれませんじゃ。

 出来ればどんな情報か聞きたい所ですが……多分教えてはくれないでしょう。

 何故か私はリーファさんに嫌われてますし。


「必ず聞かせてもらう」


 リーファ殿の言葉に即答で答える勇者。


「……じゃ、あたしは行かせてもらうわ、東門よね?」


 勇者の反応を見てさらにげんなりしてしまったリーファ殿。

 そして勇者はそんなリーファ殿の様子に気付く事無く首を縦に強く振った。

 勇者の反応を見た後、リーファ殿は目の前に魔方陣を展開し…。


「お先に」


 そう言いながら飛んでいった。

 続いて勇者もすぐ戻ってきますから!を三回くらい私に言って北門の方へ飛んで……いえ、多分走って行きました。

  

 …正直、勇者のあれは飛んでいるのでしょうか?走っているのでしょうか?

 おそらく空中に浮く術はあるのでしょうが足がやたらと動いているので走ってるようにしか見えないのですじゃ。


 ……しかしやはり心配ですじゃ。

 あの爆発…詳しくは分からないが民に怪我はなかっただろうか?

 あれが本当に爆発なら……周りの民家はやばいかもしれない。

 いえ、考えても私には今何も出来ない…………民の無事を祈り、ハルさん達と勇者達の帰りを待つのが今の私の役目。

 ……そういえばハルさん達は何故座ったまま常時寝てらっしゃるのだろう?

 もしかして術で意識の奥にいってらっしゃるのだろうか?

 文献の中にそんな妖術が存在すると書いてあった気がします。

 

 そんな思案を私がしてるなかまた変化が起きた。


 バゴォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!

 

「!?」


 三度目の爆音。

 過去のものより少し大きい音が辺りに響いた。

 そして私は爆音のした方向を見ると自然と体が動いた。

 ベッドから立ち上がり呆然としているリンクさんの手を引きハルさんの所まで来させると一言。


「ハルさん、白露様、申し訳ない。リンクさん、お二人を頼みますじゃ」


「え!?ちょっとま、」


 寝ているハルさんをリンクさんに任せ私は行く。

 背中に魔方陣を展開し前のようにいきなり膨らまないよう魔力調節をしっかり行い私はハルさん達と初めて会った場所……即ち南門へ急いだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ