表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狐の嫁入り逃亡記  作者: カラネコ
第1章 赤からの逃亡
5/70

第4話 狐火って火器ですか?

第5話です。そこそこ長くなりました。楽しんで頂けたら幸いです。



「...どうしたものですかね」


 最初からこんな言葉が出る理由は目の前で起こっている事柄に困惑しているからだ。

 さっきいきなり突進してきた変態狐に俺史上最高の一撃をプレゼントしたはずなのだが


「......」


 どういう訳かものの数十秒で立ち上がったのだ。

 顔面の顎を狙って最高の角度で殴ったので脳が揺れてすぐにはまともに立てないはずなんだけど...

 角度をミスったかな?どうにしろ最高の一撃だったのにすぐ立たれるとは、自信なくすよホント(泣)

 とりあえず相手の戦意を聞くかな。


「それで、貴方はまだやりますか?」


 一応そう聞いてみたら赤毛の狐男(以下赤狐と略)しゃべりだした。


「...驚きましたよ。まさか貴方に武術の心得があったとは」


 まぁ、始めのさわりを少しやったぐらいだがな

 あれ?こいつの口ぶりだと俺、というかこの体の元の主を知っているみたいだな。

 しかも知り合いっぽいし、これはもしやこの体の素性を調べる大チャンスでは!

 天は我を見限ってなかった!!

 

 そうと決まれば、


「あの、」


「さすがは私の婚約者です!最高です!」


 は?


 俺の言葉を遮って聞こえた言葉に思わずフリーズしてしまった。

 え?婚約者?


「それに口を聞いてくれたと言う事は私を認めて下さったのですね!」

 

 え?聞いてなかったんだけど何を認めろって?

 変態性を?

 というか口すら聞いてもらえなかったのかよ。


「そしてこれは照れ隠し!すなわちこの聖戦に勝利した暁には貴方は私の花嫁!!」


 あぁ、この体の人物は多分こいつの嫁になるのが嫌なために逃げたんだろうなぁ。

 部外者のはずの俺ですらわかるウザさ。

 同情するよマジで...





 って今それ俺やん!?

 しかも聖戦とか、戦う気満々じゃないか?!

 やばい!さっさと誤解を解かねば!!


「これは私の心・技・体を試すための試練だったのですね!だから里を抜け、追放者となってまで」


 まだしゃべってる!?

 つか里とやらを抜けてまで嫌だったの?!この赤狐との結婚、まぁ分からなくもないが...

 

 しかしどうする...?

 このタイプは人の話を聞かない典型。さらに面倒な方の自己中ときた

 しかも見た感じこの体の子に惚れ込んでいたようだし...

 俺の正体バラしたら最悪殺されそうだなぁ...それは嫌だ。


 ...あれ?これって逃げるしか選択肢が無くないか?


「さぁ、私の愛の...」


 なんかまだ言ってるが俺は踵を返して全力ダッシュ!

 俺は風になった。


 というほどの余裕は無くなかなかこのスピードを維持したまま木々を避けるのは難しい。

 が一応今の所スピードを維持したまま進めてる。


 この狐娘の体のスペックはかなり高い。さっきの滝に付く際の跳躍と着地も自然にしていたが男性時の、というか人間には出来ない芸当だった。

 とりあえずこのスペックと体力があれば逃げ切れるだろ


 そこから10分後、さすがに常時全力疾走では体力に疲れが見えだしたので


「よし、あそこで休憩しましょうか」


 そう思いその場所に後50mという所で滝の時と同様、でかく跳躍した。滝の時と違うのはこの体が人間の物ではないと認識したおかげなのか身体能力が上がっている事だった。

 そのせいか50mあった距離が一度の跳躍でいっきに縮まってしまった。


 ズザザザザザァァァァァッ


 さすがに50mの跳躍は奇麗に着地する事は出来なかったが少し地面をこすっただけで着地したのだから上出来だと思う。

 少し座ってまたすぐ移動するか

 ちょっときゅうけ


「おや?ここで休憩ですか?」


 !!!?バッ


 突然後ろからかかった声に勢いよく振り返った。

 そこには


「しかしいささかお早い休憩ですね。何故妖力を使わないのですか?」


 赤狐が当然のような顔をして存在した。


「...何故貴方がここに?」


 当然の疑問を投げかけた。ここに来るまでに後ろにこいつの姿は見えなかったのだから当然であろう。


「?...いえ、ただ単に愛しの貴方がいないことに気付いて貴方の妖力を辿ってきたにすぎませんが?」


「それにしても早すぎます。私の移動中貴方の姿は見受けられませんでした。」


 なんてことはなくむしろ疑問をもって答えた赤狐にさらなる疑問を投げかけた。


「ですから妖力を使って身体強化を施し、追ってきたまでです。どうしたんですか?こんな基本的な事を聞くなんて」


 妖力で身体強化だぁ?うわぁ、この体なら出来そう...

 しかし俺は妖力の使い方なんぞ知らんから使う事は出来んし

 ただ不確定要素が増えただけじゃねぇかぁぁぁぁ!?


「ふむ、何か貴方の様子はおかしいですね。」


 ギクッ


「照れ隠しで逃げるのはいつものことですが逃げる際に妖力を使わず私に初歩的な事を聞いてくる始末」


 こいつが正論を言ってる、だと!?

 この赤狐、顔はイケメンの部類だからこういう場面では絵になるな。普段が残念すぎて意味は無いが

 しかしこの状況はまずいな、気付かれる可能性も


「この結果から導きだされる物は、もしや!」


 バレたのか?!

 仕方ない隙をついてk


「もしや今貴方は記憶喪失なのでは!?」


 ......。


 うん、そうだよね。普通憑依とか異世界人とか考えないよね。

 普通はこれが正常な思考からの答えだね。

 なんっか!騒いでたのが恥ずかしい!!


 しかしここはどう対応すべきか。

 まぁ、とりあえずは


「そうなのでしょうか?」


 否定も肯定もせず疑問で返す。

 少しでも情報が欲しい所ですし

 相手もなにかしら聞いてきても答えやすい立場になれる

 これが今はベストですね


「そうなんです!貴方は私の婚約者でいつも照れてしまうあまり私の顔を見ると逃げてしまっていたのです。今回は少し遠くに来すぎましたがいつもと同じように照れ隠しで逃げてしまってそして記憶を...今回の記憶喪失の件は私の責任です。」


 すいません。いきなり肯定が来るとは思いませんでした。

 そしてもう記憶喪失は決定なんですね。

 というか脳内でどういう変換をしてんだこいつ...


 ...いや、でももしかしたらそうだったりしたんかな?

 俺はこの体の元主にあった事が無いから分からんが、もしそうならどうしよう?


「さぁ、里に帰りましょう。そしてしかるべき治療を受けてください。そして記憶が戻った暁には結婚するのです!愛しい人よ、色々な思い違いがありましたが仲直りの為にはぐをしましょう!!」


 勝手に話し進んでますね...

 てか、なぜ仲直りにはぐ?


「婚約者同士がはぐする事は別に珍しい事ではありません。狐火一族のならわしにもありますよ。」


 え?そうなの?

 なら最低限のことはすべきか?

 もしかしたらこの体の人が本当に照れ隠ししていた可能性も


《ありません!!!》


 あ、ないんですか。すいませ...ん?

 ん?んん?今の声は誰?

 辺りを見回して


「だれですか?今の声は?」


「声?ですか?どうかしたのですかマイスイートハート」

 

 やかましい


《え?私の声、聞こえるんですか?!》


 うん、聞こえるけど。

 君どこいんの?何か声だけ頭に響くんだけど。

 

《えぇっと、しいていうなら...貴方の中です》


 はいぃ?

 詳しい説明を要求したいのだが...


《そうですね、しかしその前に目の前の変態をどうにかしてからでは駄目でしょうか?》

 

 賛成です。

 しかしどうにかしてってどうやるんだ?


《貴方に全般的に協力してもらうことになりますがお願いしてよろしいですか?》


 ...良いけど、俺じゃあまり役に立てないと思うよ?

 出来る事で頼むよ。

 そういえば君、名前は?


《あ、そうでした、私は白露と申します。》


 俺は木島 晴彦だ。このなりだしハルと呼んでくれ。

 で?何をしたら良い?


《ではまず何故かはぐ待ちの変態の近くまで行って下さい。》


 いいのか?なんか危険っぽいけど?

 

《良いんです。近くに行った後は思いっきり・・して下さい。》


 マ・ジ・で・す・か?!

 いいんですか?本当に?


《良いんです。むしろ・・にして下さい。》


 初めてこの娘?に恐怖を覚えた。

 そして指示通り赤狐の近くまで行った。


「おぉ!マイスイートハート!ようやくはぐして仲直りですね!問題も解決したようですしさぁ、」


「先に謝っときます。ごめんなさい。」


「え?」


 本当にすまん


「せいっ!!!!」ドオォォ


「おぶろぉ!?」


 俺が今やった行為は足で蹴っただけだ。

 しかし男性諸君なら分かると思うが蹴った場所が最悪なんだ。

 急所の攻撃、所謂金的である。


「」びくぴく


 いくら体を強化してもそこは結構防御力低いんだよなぁ。

 えぐい...


《最後の仕上げをするので腕を両端まで広げて下さい》


 もう取り返しのつかない事をしてしまったこともあり素直に言われたとおり両手を広げた。

 つか追ひ撃ちかけるのね...


《ありがとうございます。では少しその状態で待って下さい》


  そういうと白露は何かを唱えだした。

 小声なので良く聞き取れないが何かの詠唱のようだ。


《.... ........... ....... ..............》


《.............. .. ................ ..........》

 

 その詠唱が終わると俺の両手のひらから手のひらサイズの火の玉が出現した。

 火の玉の中には漢字が一文字ずつ浮き出ていた。

 右に『狐』、左に『火』

 所謂狐火というやつなのだろう。


 詠唱長かった割に案外しょぼいと思ったのは内緒だ。


 で?これをどうしろと?


《それを勢い良く正面で重ねてください。》


 うぃ、了解

 

 これなら酷い事にはならんだろうと思い勢いよく火と火を重ね合わせまさに狐火を作らんと手を重ねパァンと良い音が聞こえた瞬間。


ボコォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!


 音とともになんか半径5mはある火柱が出現した。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!マイスイートh」


 赤狐はその火柱の中に消えて行った。


 これで良いんかな?


《うん、いいんだよ!》


 そうか...気にしたら負けなのね

 急展開で付いて行けないです。なんか驚きより呆然としちゃいますわ...





 


 皆さんに問いたい、狐火って火器ですか?








ご意見・ご感想お待ちしております。

出来る限り速く書いて行こうと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ