第25話 第2婚約者出現まで 〜リーファの様子〜
昨日中に更新出来ず申し訳ありません。
白露が外の異変に、というより敵の存在に気付く三時間前に事は起きていた。
もっと正確に言うなら三時間とは白露の世界の感覚であり、現実世界では一時間程しか…いや、もっと短い時間だったのかもしれない。
まずアミアの寝顔を間近で見ていた勇者の言葉から始まった。
side勇者
「あれ?なんでリーファさんがこんなところに居るんだ?」
僕の名は勇者、姫に名前を呼ばれるまで勇者だ。
さて、あの精霊さんに”アミアと友達になってあげて下さい”と言われてから約三十分、姫の顔をずっと見て……起きるのをずっと待っているのだけど起きる気配がない。
というか姫は何でこんな昼から寝てるんだろう?
徹夜でもしたのだろうか?
…いや、違うな。この顔色からして徹夜などの過度の疲労から来るものではなさそうだ。
なら寝ている原因は他に…はっ!?もしかしてどこかに頭をぶつけてしまったとか?!……ま、待てよ、それはないな。
そんな怪我などしているようには見えないし、第一姫が怪我などしたらさっきの精霊さん達が病院に連れて行ってる筈だ。病気の線も上記同様。
……でも万が一の事も考えて最高の回復術士を呼んでおこうかな。
要請してると姫に迷惑がかかるだろうし、ここは王宮の回復術士を縛って持ってこようかな?
如何せん回復術士は回復に特化しているから攫ってくるのは簡単だ。
……というか本当に攫われるんだから困る。
何回か助けた事があったけど、王宮の警備は雑過ぎる。確か年に10人は攫われてると聞くし。
ただでさえ少なく、真面目で大半が奇麗な女性の集団なんだからもっと慎重に扱えよ。
まぁ、金さえ払えば何も聞かず治療するやつも知ってるしここは拉致してきますかね。
…と、言いたい所ではあるが残念ながら僕はこの場を任されてしまったから動く事が出来ない。
はぁ、仕方ない。ここはリーファさんを呼んで姫の状態を診断してもらう方がいいな。
さて、今はどこに居るかな?この国に居るのは確かなんだけど…この町の周辺に居るといいなぁ。
さすがにこの国で大規模なsearch(探索魔法)なんか発動したら、あの第1王子にばれるからあまり使いたくはない。
この町くらいなら隠蔽に注意しながらsearchの発動が出来る。
では、さっそく。
”search”
そう勇者が頭の中で呟くと勇者の右手には円状の半透明なものが握られていた。
そして勇者を中心にこれまた半透明な帯のようなものが四方八方に壁や人をすり抜けながら広がっている。
(さて、リーファさんは今どこにいるかな…あ、居た。場所は…………………あれ?)
勇者が右手の円状の半透明なもの、所謂レーダーの画面のようなものを見てみるとリーファの反応があった。
しかし驚くべき事が一つ、そのリーファの反応があったのがまさに今勇者自身がいるこの部屋なのだ。
とりあえず勇者はsearchの反応に従って部屋の中を見回す。
するとさっきまでとは真逆の方向、つまり勇者の背後に何故か正座しながらこちらを見ているリーファと顔見知りの少年リンクがそこにいた。
勇者は目を丸くしながら一言。
「あれ?なんでリーファさんがこんなところに居るんだ?」
ブチッっとリーファの方から何かが切れたような音が聞こえた。
冒頭に戻る。
side勇者out
「しかもリンクまで…君はこの時間いつも教会に居る筈だろう?なんでここにいるんだ?」
「え?!……いや、あの…はは……少しそこのハルさんと縁がありまして……は、はは。」
ものすごく気軽に話しかけてくる勇者であったが、リンクとしては隣のリーファからドス黒いオーラのようなものがにじみ出ているので冷や汗が止まらない。
しかもリーファからはドス黒いオーラだけではなく、さっきまででも聞き取れなかった小言がさらに詠唱でもしているかのように早口になっている。
「…なるほど、この方はハルさんと言うんだね。リンクにもいい友人が居たもんだよ。」
焦るリンクに気付く事無く話を進める勇者。
なにやらリンクの隣で何かを言っているリーファの声がどんどん大きくなっている。
「我………支配する…………根源……断ち切る…………雷の鎚…、」
「ん?」
さすがの勇者も異変に気付いたのかリーファの方を見て言った。
「…リーファさん、何故詠唱を?ここには敵はいないし…第一それは大規模魔法じゃないか。ここでそんなものを使ったら姫に被害が…。」
「あれ?私は?」
リーファの魔力が膨らんだのを感じた勇者は咄嗟に訳を聞きつつアミアの心配をした。
そして一応顔見知りにも関わらず大規模魔法と言う恐ろしいものから暗に守ってくれないと言っている勇者に軽い疑問を抱いたリンク。
そんな二人の様子を見たのか分からないがリーファがようやく口を開いた。
「……いえ、敵なら居るわ。この部屋にね。」
「…?でも僕が確認する限り敵の気配はしないy、」
勇者の言葉は途中大きな声で遮られた。
「お前だよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!このロリコンがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
リーファは自身を中心とするように円状にバチバチと雷を出現させた。
それらの雷はリーファの1m圏内くらいでリーファを守るように動き回っている。
そのためか部屋の損害は床がリーファの部分だけ黒くなっているくらいで済んでいる。
そしてそんな雷を纏いながらリーファはものすごく怒気を発した形相で勇者に言う。
「ハァァァ、安心してよ、少しあんたに痛い目にあってもらうだけよ。そこで寝てるアミアには傷一つつけないわぁ。後で姉さんに怒られたくないし。」
「…姫に手を出さないというのは懸命だな。姫に傷でも負わせようものなら例え仲間であっても容赦はしない。しかし何故僕に攻撃を加えるんだ?分からない…。」
勇者がそう言い終わるとリーファは目線を下に向けてまたブツブツと言う。
しかし今回は多少聞き取れるらしく少しその内容を聞くと。
「…………あぁ、やっぱりここでも姫…アミアなんだね。………どうしてかな?どうしてあたしはこう上手く行かないのかな?わからない…ワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイ…」
ワカラナイと連呼するリーファは無意識か片手を上げるとその手に今自身の体の周りを動き回っている雷が集中して行く。
集中して行く雷からは心臓の鼓動のようなリズムでバジィッ!!!と言う音が聞こえる。
そんな中勇者は焦っていた。
「不味いな…まさかここで【飯綱】を撃つつもりとは。この辺一帯を消し飛ばすつもりかな?目的は分からないがリーファさんは明らかに正常じゃないし………はぁ、仕方ないか。」
ため息を吐くと勇者は腰に差してあった剣を鞘ごと取り出して居合いの構えを取る。
「抜刀術はあんまり得意ではないんだが……この場合仕方ない。」
勇者が抜刀の構えを取るとともにリーファの方も雷が溜まったのか顔をゆっくり上げて行く。
上げて見える顔は目にハイライトがなく、生気もない……いや、笑っている。
「………あとで絶対反省してもらうよリーファさん。」
そう勇者が呟くとリーファは言った。
” 飯綱 ”
その瞬間、全ては光に包まれた。
しかしそんな中を動いてる者が一人。
勇者である。
「さすがセイレーン族で唯一の雷使い…。そしてセイレーンの魔声と魔法を組み合わせた飯綱は僕でもキツいな。」
「ま、だからこそかな……………【金剛剣舞】!!!!!」
勇者は抜刀ノ構えから剣を引き抜いた。
……ここまではよかったがそこで勇者の剣から激しい光が。
「………なんだ!?」
想定外な事に勇者は驚いているようだ。
勇者が驚いていると、光の中から一人の男が出て来た。
「おや?ここに…………………………………………。」
…が、飯綱の光に飲み込まれて行った。
その光景を間近で見ていた勇者は思う。
………なんだったんだろう?




