第3話 狐の嫁、その謎敵現る
第4話です。いつもより少し長いです。楽しんで頂けたら幸いです!
...とりあえず歩き出したは良いが現在地が分からないため当然行く当てもなく、人や町を見つけるために適当に散策している、というのが今の俺の状況だ。
それは良いのだが、かれこれ30分ほど歩いたのに人はともかく整備された道路すら見つける事が出来ない。
まさかかなり森の深い所にいるのでは?
と一瞬頭をよぎったがネガティブに考えてもしかたないし、森にあまり言った事もなかったのでこうゆうもんだと無理矢理納得した。
それからさらに一時間ほど歩いたところ何かの音が聞こえた。
ザーザー
「これは、滝の音ですかね?」
つい口から声が出てしまった。
まだ慣れないがもう気にしないようにした。
それにしても実際に聞いた事はないがこれが本当に滝の音なのだとしたら今の状況ではとても助かる。
結構な距離を歩いたせいでちょうどのども乾いたからな。
よし、ちょっと走るかな
と思い少し速度を上げてその音のする方向へ向かった。
しかし女になってからというもの最初は結構難儀するかと思ったがむしろ男の頃より動きやすいのは何故なのだろう?
歩いて一時間と少し、もっと速く体力が切れると思ったがご覧の通り現在少しのどが乾いた程度だ。
しかも森の草木を避けながら進んでるから、かなりのフットワークで疲れるはずなんだが...
やっぱし男の時より体力あるんじゃないかなって思える、って本当に男の尊厳ってないな...
今だって男の時ならすぐ息切れするところをまだまだ余裕ありで走っている。
まさか女って実はみんなこんなに体力あるのかねぇ?
なんてくだらない事を考えていると音がだんだん近くになっていく
あともう少しかな、と思うと木々の間から光が照らしている。
どうやら出口のようだ。
速く水を飲みたい思いからさらに速度を上げてその木々の間を瞬く間に通り過ぎたいった。
足に力を入れすぎたのか激しく跳躍してしまったが
そしてそんな跳躍を気にする事無く一回転して奇麗な着地をやってのけた
ふぅ、と息を吐いて
「ここですね」
目の前に広がるのは望んでいた奇麗に光が反射する流れる水とその水を上から惜しみなく落としている巨大な滝があった。
ガチでここどこなんだろうと気になる気持ちはあったがとりあえずは当初の目的を果たすべく流れている水の方に向かった。
「それにしても奇麗ですね」
川の目の前に着くと自然と感想がでた。
それほど目の前の景色は美しかった。まさに人間の手の加わってない自然に調和がとれている自然。
人間の手が加わってない...
...人間この近くいないかもなぁ
若干テンションの低下があったがまずは水を飲もうと体を屈めて、両手の手のひらで水をすくった。
すくった水を零さないようにゆっくり飲んで喉を潤した。
そういえば今の俺の顔ってどんなのになってるんだろ?肌とかこんなに奇麗だし女になったら結構な美人なのかもしれんな俺。
見た事無いから何とも言えんけど
お、そうだ!ちょうど水場だし水を鏡代わりにして自分の今の顔を確認しよう!
思い立ったが吉日かすぐに下の水を鏡代わりにして見てみた
なのだが
あるぅえ?
もしかしたらこの体って他の人の?
...いや別に川に自分の顔が映らなかった訳じゃないよ?
かといって映った顔が酷く現実逃避したわけでもない、むしろもろタイプです。
問題なのは頭に付いてるものと髪の色だ。
まず髪の色なのだがなぜか銀髪なんだよね。
俺の男性時の時の髪の色は日本人特有の黒だ。なら女になっても黒であるべきじぁないか?と思う。
まぁ、それでももしかしたら俺の遠いご先祖様の中にそんな髪の人がいて、それが俺が女になった時に奇跡的に発現したという確率も極薄だが可能性としてはある。
しかし頭に付いているやつ、お前は駄目だ。
何故頭に獣耳が付いている!?さすがに女になろうが俺は人間だ!人間辞めた覚えは無い!!
しかも今気付いたけどなんか尻の方にも尻尾が付いてるぅ?!!
これ完全に狐娘じゃないか!?
つかなんか自然に気にしなかったけど、服も男の時のとは明らかに違う?!
なんかベースは着物を改造して動きやすさを重視したような服装で上半身を覆うような白いマントみたいなものを羽織っているある種の民族衣装のような服装だ。
気付けよ俺...
というかもうこれ俺ではないよな?
冷静に考えるなら最初の異形かあの夢の美人さんが俺を多分.....異世界、に送ったんだろうと思う。
だってこの状況ってどう考えても憑依系・異世界トリップじゃないか!
しかしどうにも最初の異形と夢の美人さんは別人に感じるんだよなぁ。なんでだろう
...それに関してはまた今度考えよう
話は戻るがこの体が俺のものではないとすると乗っ取った形になるのだが、この体は誰のだろう?
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
「うん?」
なんか妙な音が聞こえるな。風かなんk
ドゴォォォォォォォォォォォォン
...風かなんかかと思ったらなんか地面に小さなクレーターを作り、上から男が落ちてきた。
いや違う、正確には赤い髪から生えた耳をピコピコさせた狐男が落ちてきた。
狐男は着地した状態から立ち上がってこっちを見ている。
こっちの出方をうかがってる様子だ。
えぇっと、とりあえずは
「こんにちわ?」
「........!」
あれ?なんで下を向く?なんか吹いて震えてらっしゃる?なんか間違えたかな?
...もしや!この世界では挨拶が存在しない、もしくは違うのでは?!
なら、すぐに取り消さねば!
「すいません。間違えました」ペコッ
「...........!?」ガーン
えぇ?!何なの、この狐男の反応?!
「....何故なんだ」
え!?今度はいきなり話しだした!?
しゃべるなら最初からしゃべってれよ、気を使ったじゃないか面倒くさい
で?なんだって?
「何故なんだぁ!マイスイートハートォォォォぉぉぉ!!」
ぎゃぁぁぁぁ!?なんか突然飛んできたんですけどぉぉぉぉ?!
ぬう!出来れば使いたくは無かったが、実・力・行・使!!!!
「フゥ....」
一瞬の精神統一から覚悟を決め、相手の動きに合わせてギリギリまで近づけてから
「せい!」
重い一撃を顔面に叩き込む!
「な!?...がはぁぁぁぁぁ!!?」ドゴォォォ
その一撃は確実に狐男の顔面に直撃した。しかしなにかに途中で拳が引っかかったような気がして妙な違和感を覚えた。
「グゥ...!」
声のした方向を見ると狐男が呻いていた。どうやら意識はあるようだ。
とはいえ、あそこまで見事に直撃したんだからおそらくは当分は動けないだろう。この体のおかげで威力も増してるはずだしな。
さて、この狐男は何者かな?
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あと更新のペースは落ちると思います。申し訳ない