表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狐の嫁入り逃亡記  作者: カラネコ
第2章 聖からの脱出
39/70

第19話 城を脱出せよ


 あれから俺達は何事も無く城を抜ける事が出来たのであった。

 …というわけにはいかず、途中問題が発生した。


 それは俺がリンクの剣士様談義を聞き流しながら歩いている途中の事だった。

 

『城内にいる総員に告げる、城に不審者が侵入した。直ちに捕らえ第1王子の前に引き出せ。なお、女子供は部屋に入り鍵をかけ絶対に部屋から出ないように、以上だ!』


 と言う声が頭に響いた。

 テレパシーってこんな感じなのだろうか。


 それにしても…。


 ……状況的にこの不審者って俺のことだよな。

 じゃあ、さっきからちょくちょく感じていた視線は監視か。

 ということはもうすぐここに兵隊さんが来るだろう、見つかってるし。

 

 しかし今言うのもなんだけど、この頭に言葉が直接流れてくる…魔法みたいなのは欠陥品だな。

 俺にまで、つまり不審者にまで伝わったら逃げて下さいと言ってるようなもんじゃないか。

 せめてもうちょっとその不審者…多分俺の事を詳しく言わないと混乱するだろうに。

 

 いや待てよ…。

 そういえばさっき女子供は部屋に入ってろと言っていたな。

 ということは部屋に入っていない女(俺)は不審者…ということか。

 ふむ、なるほど。前言は撤回しよう、結構考えられてるじゃないか。


 俺がそう感心しているとリンクから。


「この不審者ってハルさんの事ですかね?あれ、それならおかしいですね…。」


 ん?何が?不審者がいたら捕まえようとするのが普通じゃないの?

 俺がそう思ってたのが顔に出たのかリンクはさらに続けて言う。


「いえね、ハルさんが不審者だとしたらまぁ、この【リフコミ】だけなら納得が行くのですが…総員?ありえないでしょう?ハルさん一人にこんな大掛かりな事はしないはずです、普通は。」


 あー、確かに。

 というかリフコミってこのテレパシーみたいなやつかな?あとで聞いてみよう。

 それにしてもいくら天井破壊して侵入してしまったとはいえ、さすが城総出で探される程ではないな。

 まぁ、俺の体が上代一族の姫のものだと知れたら別だろうけど。

 しかし白露のかけた妖術の効き目凄いな、確か【影写し】だったか。未だに狐族ってばれてねぇよ。

 

 だけどなぁ、俺が不審者だろとそうじゃなかろうと城の総員が動き出してるってことは俺が見つかるのも時間の問題だ。

 どっちにしろ今の俺の現状は教会の天井突き破って侵入した不審者…というのはなんか嫌なんで侵入者、だ。

 ここは逃げるしか無い。

 すまないリンク、死ねばもろともって言うよね?


 俺は黒い笑みを隠しながらリンクに聞く。


「ちなみにリンク、この近くで広く天井がない所はありますか?」


「はい?そうですねぇ。この近くだと噴水のある室内公園ですかね。」


 噴水か…思えば俺は噴水のあるあの場から飛ばされたんだったな。

 …今過去を振り返っても仕方ないか。


「では、そこに行きましょう。どっちでしょうか?」


「あ、はい。公園ならこの廊下の先を右ですね。」


 そうですか、と言いながら俺はリンクの右手首を掴んで…、


 …走った。



「え?!なんでいきなりそんなに速く?!!ちょっと待って!?アデッ!??」


 やはりか、リンクは白露のハイスペックな運動能力についてこられないようだ。

 しかし俺にとって今は一分一秒も無駄に出来ない状況だ。すまないが耐えてくれ…。

 ……途中なんかひこずった感があったが、気のせいだったと思いたい。


 そして廊下を右に曲がるとまだ廊下が、左に窓の代わりに部屋のドアがある事以外は特にさっきと変わらない光景だった。

 道が分からなくなって困っていると。

 

「そ、それでそこを左に行けばあります…よ。」


 リンクが満身創痍になりながらも教えてくれた。

 あちこちなんかにぶつかったような跡があり、歩くのも辛そうだ。


 …本当良いやつだよ、お前は。

 

 さすがにこのリンクをこのままひこずる分けにもいかないので左肩に担ぎまた走った。

 そして言われた通り廊下を左に曲がる。


 そうして目に入ったのは…ものすごく奇麗な公園だった。

 室内にも関わらずちょうど良く生い茂る草、さすがに木はなさそうだが何より目を引くのが公園の色を鮮やかにしている花達だ。

 噴水にも目がいかなくはないが、やはり一番は花だろう。

 よほど手入れが行き届いているのだろう、リンクが言った通り天井が無いため直接降り注ぐ太陽の光を浴びてより美しく見える。

 

 …しかしここってまたあのバロカスっていう王子の趣味か?

 それなら言いたくはないがかなり良い趣味を、


「違います!ここは第5王女リア様が管理する場所です。あんな馬鹿野郎と一緒にされたらこの花達が汚れるではありませんか!!」


 そういい終わるとリンクは、またぐったりとした状態に戻った。


 …お前は読心術でも使えるのか。

 まぁ、あの装飾をするようなやつがこんな立派な光景を造れるわけないか。

 白露達にも見せてやりたいな…そういえば第5王女って確か元々はアミアじゃなかったか?

 

 ……存在を消されてるんだったな。

 なるほど、リア様とやらは表の第5王女なわけか。

 何か無性にここの王様を殴りたくなって来た。


 しかしそれはまたの機会にしよう。

 ここでずっと見惚れてる訳にはいかんからな、さっさと天井から脱出せねば。


 悪いがリンクよ、人質役をしてもらうぞ。

 まぁ、さっき名所を案内してくれるって言ってたし都合もいいだろ。


 そう心で思いながら肩にリンクを担ぎ走って公園の中心まで行き、そこにある噴水に足をかけた。

 その瞬間、


「動くな!!!」


 この城の兵隊らしき人達に周りを囲まれた。

 8人…か、なんとか逃げられるかな。

 そう思う俺だが、目線を兵士の腕ら辺に向けるとそこには光る鎖のようなものがあった。よく見たら兵士はみんな持っているようだ。

 見るからに魔法だろうがどういった効果があるのか、それともなんか特殊効果を付与された武器なのか…情報が足りないな。


 俺の後ろで兵のリーダーらしき男が言う。


「そいつは貴様の仲間か?残念だがここで終わりだぞ女。」


 女ねぇ、やっぱ自分が言われると違和感があるなぁ。

 しかし一応後ろの背を向けてる状況だからどうとも言えないのだが、どうやらリンクを俺の仲間…共犯者ってやつにしたいらしいな。

 周りの奴らも同じような視線。クソ!後ろが見えないのがもどかしい!!

 でもどうやったらこう担がれてるやつが仲間に見えるんだよ。目がおかしいだろこいつら。


「しかし誘拐までしようとしていたとは…貴様ら何が目的だ?」


 おい、質問がめちゃくちゃだぞ。

 確かに今の方がこの状況にしっくり来る質問ではあるが、さっきは仲間と正反対な事言っていたくせに。

 支離滅裂すぎる、どうなってんだよ後ろの男の頭。

 目的?ねぇよ。


「ふん、だんまりか。」


 そりゃあ、ここでしゃべる馬鹿はいねぇだろ。

 しかしここまで本格的に追われていたとは、結構大事になってしまったな。

 だがただの侵入者にここまでやるか普通……この国のトップの心の狭さが知れるわ。

 

 まぁ、愚痴は後でリンクにでも聞いてもらうとしてどうやって逃げようかな。

 このままリンク連れて無理矢理ってのも出来なくはないが、やっぱり完璧に脱出出来るようにしたい。

 さて、なんか良いもんはないもんか。


 俺は兵達に悟られないよう目だけを動かして探した。

 そうすると右にフードを被った…身長が微妙なため歳の推測は出来ないがフードの顔が出ているからわかる…女がいた。

 おそらく逃げ後れてしまい、俺の横だった為怖くて動けなかったのだろう。

 

 あぁ、誘拐ってそういうこと。


 …こればっかりは濡れ衣だよ、とは言っても信じてくれないだろうなぁ。

 ん?…………………あ、これって利用出来るんじゃね?



 正直俺は今、かなりゲスい事を考えている。

 だが大丈夫だ、後で土下座でもなんでもして謝るから俺は下衆にはならない!



 だから許して下さいお嬢さん。

 少し怖いかもだが、あとでお詫びします。


 そう心の中で謝った俺は、すぐ考えを行動に起こした。


 空いていた右手で横に居た女を肩に担ぐ。

 ぶっちゃけ俺が考えてる事なんて人質作戦に人質をまた加えただけの話な訳よ。


「え?!なんで??!」


 御免ねお嬢さん、最初はリンクだけでいいかなぁって思ってたんだけど何か話し聞く限り俺の共犯者だと思われてるっぽいので貴方にはもう一人の人質になってもらうよ。

 よし、人質がいれば兵隊さん達もむやみに攻撃はしてこないだr


「撃てぇ!!!!!」


 問答無用で光る鎖みたいなのを投げてきました。


 …ってなんでだよ?!

 

 俺のツッコミなどいざ知らず一斉に投げて来た。

 俺は四方八方からくる光る鎖を担いでる二人に当たらないように避けるが左足首に一本絡まってしまった。しかも絡まった左足が鉛のように重い。

 なるほど、これは捕縛の魔法な訳ね…。

 

 だがそんなことはどうでもいい!人質が居るのに投げてくるってどういう神経してるんだよ!!

 そう思いながら俺は【赤壁】を発動、いきなりの俺の変貌に俺が見えている兵達は動揺した。

 

 その隙に俺は当初の予定通り噴水を踏み台にしてここから脱出を試みる。

 左足がクソ重いが【赤壁】を発動してる今ならジャンプ出来ん事はない!!

 …二人も抱えていなかったらな。


 さすがに重いか……仕方ない。

 またあとで白露に怒られそうな気がするけど緊急事態だ。


【赤壁】 完・全・覚・醒 !!!!


 ビキビキと体が悲鳴をあげるが痛みが来る前に!!!


 ジャァァァァァァァァンプッ!!!!!


 バキンッ!!と噴水の足場が砕けた。


 あ、すいません。


 そうして俺は一応城の室内からの脱出に成功し、空中を漂ってる訳だが…やっぱものすごく熱いィィィィィィィ!!!!??

 すぐ赤壁は解除したものの特に負担の大きかった右足が熱さ以外感じない…。

 でも最近この痛みにも軽く耐性が出て来たなぁ。


 さて、この状況どうしようかな。

 まさか飛び出るとまた空中散歩することになるとは…どうしようか。

 高さで言うとビルの5階くらいかな?あんまり高いとも言えない高度だけど今の俺でちゃんと着地出来るかどうか…。


 死にはしないだろうけど…まぁ、担いでる二人に怪我がなければいいか。

 白露には悪いけど、足が複雑骨折するかもしれん。

 …何か今日は良く謝る日だなぁ。



 さて、落ちるか。



 うん、教会に落ちた時とは違ってすぐだなこれは。

 とりあえず赤壁を発動し…やべ、右足の感覚がない上に左足がめっちゃ重い。

 これは役に立たんかも…ん、間に合うかな?


 あ、もうちょっとで地上か…。


 そうして地面がもうそこまで見えた所で俺は目を閉じた。

 肩に担いでいる二人の無事を祈って。






 グッバイ、俺の人生…………………………………………………。


 ………………………………………………あれ?



《何、私の体で諦めてるんですか?ハル。》


 ……え?白露?

 俺が走馬灯で見てる幻?

 …いや、この持ち上がってる感じからして俺が見てる幻とかではなさそうだ。

 ならまずは、


 白露や、とりあえず元気そうで何よりだがよくここが分かったな。


 案外余裕のある俺です。


《えぇ、ハルが赤壁を使ってくれたおかげで妖力を辿る事が出来まして。それにしても驚きましたよ、いきなり空から落ちてくるんですから。》


 白露がものすごい笑顔でこちらを見る、威圧感が半端ない。


 すいません怒ってますね。

 もうしませんから許して下さい。


 心の中で土下座した。

 はぁ、とため息を吐く白露。


《まぁ、無事だったようですし許しましょう。》


 若干呆れた感じがしたが許してもらえたようだ。

 そういうやりとりを俺と白露がしていると右下から声が聞こえた。


「ハルさん!ご無事でしたか!!」


 おぉ!アミアではないか!!

 予想外だがこれで全員そろったな。探す手間が省けたよ。

 いやー、全員無事でよかった。

 

「貴方も無事で何よりです。」


 俺はアミアにそう返しながら、俺は赤壁を解除した。

 

《あ、今赤壁を解除すると…》


 そう白露が言おうとした瞬間、さっきまであった背中の手の感触が消え、俺は地面に頭から落ちた。


「アタップッ!!??」


《…私の実体化が維持出来なく…もう遅かったようですね。》


 白露がなにか言っているが、聞こえず俺は意識を手放し気絶した。



やっとメンバー全員合流です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ