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狐の嫁入り逃亡記  作者: カラネコ
第2章 聖からの脱出
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第16話 デザインって大切だと思うんだ

遅くなりました!今回はハル視点です!

「いや、なんでですか?!」


 俺は声を出したと同時に寝ている状態から反射的に上半身が起き上がった。

 すると起き上がった分周りが見えるようになった、まぁ、普通はすぐ少年の方に向くのだが…。

 俺の目線は最優先に向かなければならないはずの少年の方ではなく、その後方に向いた。

 

 なぜなら、

 

 って、なにこの人達?!なんでこの状況でみんな祈りの姿勢なの?!!キモい!?


 と、今の俺の感想からも分かる通り少年の後方ではなんか不気味なくらい奇麗に整列した人達が祈りを捧げる体勢でいる。


 いや、別に祈りの姿勢が悪いという気はないんだけどもさすがに自分で言ってはなんだが、こんな不審者が空から落ちて来たらどうあっても動揺するだろう?

 そりゃあ、俺に恐怖を抱いて神に助けを求めてるって事ならまだ納得がいったんだけど…どうもそんな雰囲気ではなさそうだ。


 俺は少年の後ろで祈りの体勢をずっとしているシスターや…信者かな?

 あまりの動かなさと目が虚ろなのをみると人形かとも思える。


 何か小説とかに出てくる催眠術でもかけられた人みたいだな。

 所謂いわゆる洗脳ってやつ?

 …こう言う時白露とアミアがいてくれると助かるのだが、主に知識の面で。


 あー、でも洗脳と考えると目の前の少年も洗脳されてんのかな。

 なんかいきなり祈りの姿勢になったし…でもそれにしては他の信者と姿勢は一緒だが顔の眉間にしわが寄っている。なんだその夢か現実か判断出来ない寝起きみたいな顔は。


 この少年だけ洗脳されていないのか?

 それともこの少年が洗脳している犯人なのか?

 まぁ、とりあえずここの情報を得るにはこの少年に聞いた方が無難みたいだな。

 珍しい事に不審者が目の前にいるにもかかわらずこの冷静さ、なかなかいないタイプの人間だ。

 あ!この現状の犯人だとしたらそれくらい当然か…。


 怪しいがまずは話しかけますかね、ちょうど赤壁を解除してしまって会話が出来るし。

 早く終わらせて二人を探しに行かなければ…。

 さっさと話を付けよう。


「あの?!……ぉお!?…!!」ビキビキ


 痛熱いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!?????

 しゃべろうとしたら突然さっき天井に衝突したであろう背中からさっきまでより倍くらい痛い激痛がはしった。おそらく物に強く当たりすぎて腫れてしまう、それと同じ原理だろう。

 思わず涙目になってしまうがここは耐えろ!耐えるんだ!!


 ……ふぅ、なんとか耐えたぜぇ。


「…大丈夫ですか?」


 あら、あちらから声をかけてくれるとありがたい。

 まだ背中は痛いがこれで会話がしやすくなったな。

 ま、返答するのが先か。


「はい、大丈夫です。」


 一応機嫌を損ねないため、出来うる限りの笑顔で答えたのだがいかに?

 そうすると少年は考える素振りを見せた後、笑顔で言った。


「そうですか…じゃ、私用事を思い出したので失礼しますね!」


「…って待って下さい!!」 


 俺は少年の服の襟部分を咄嗟に掴む事に成功した。


 なんで逃げの常套句を言いながら颯爽とこの場を去ろうとしてるんだよ。

 まぁ、実際気持ちは分からなくもないが、残念ながら君には俺の情報提供者になってもらうぞ。


 ん?ってこのガキ、襟を持たれてるのにもかかわらずそのまま直進してる?!

 首しまってるはずなのに…というか力強いなこの子!?


 赤壁を発動していないとはいえ、白露の基本スペックはかなり高い。だから普通ならこの少年の体ごとこちらに引き寄せられるはずなのだが、まだ抵抗出来てる事に正直俺は驚いている。


 と思っていると少年の方の抵抗が無くなった。

 唐突なことだったため一瞬、あ、やべ、落としちゃったか?!と焦ったが、すぐ体勢が崩れない所をみるとどうやら違うようだ。

 

 そして少年は何やら思い出した表情でこちらに振り向くと俺の顔を覗き込むようにしてまじまじと見つめて来た。

 30秒ほど経っただろうか。少年は何かを納得するように頷いて言った。


「私に何か用があるんでしたか?」


「え?…あ、はい。一応。」


 なにかいきなり素直になったな、何があったのやら。


「それなら場所を変えましょう、ここにいても不都合でしかないでしょうから。」


 さっきと打って変わって場所を変える気遣いもするとは、本当何があった。

 まぁ、話してくれるんならいいか。


「そうですね、分かりました。あ、少しお待ちを。」


 場所を移動するのは良いのだが、まず立ち上がる作業が重労働だ。

 体中が(熱で)痛いため片腕を動かす事すら億劫だ。

 

 どうにかして起き上がったが、やはりかなりだるいな。

 まぁ、いいか。とりあえず、


「では、行きましょうか。」


 俺がそう言うと、少年はこの部屋の出口であろう扉に向かって歩き出した。

 それについて行く俺。


 そうして俺達は教会を出た。

 最後に俺が見たのは扉の隙間から見えた変わらず祈り続ける信者の姿だった。




 扉を出るとなんとも豪華な廊下が目に入った。

 なんか目が痛くなるようなキラキラした装飾があちこちある。

 少し呆然としたが俺は元からそこまで作りに拘らないためすぐに歩き出した。


「あれ?てっきりもっと驚いてくれるかと思ったのですが。」


 少年が予想外というような顔で言った

 続けて言う。


「ここを初めて見る方は大抵奇麗だとか見事とか、ありきたりな台詞を言って行ったりするのですが。」


 ふーん、と俺は思う。


 もう一度廊下をよく見てみるが、最初ならともかく二度目にはただ眩しい廊下だ、これはいけない。

 俺に芸術的感性はないが、それでも二度目で不快感をおこしてしまうこのデザインは頂けない。


「ちなみに貴方はこの廊下の無駄に煌めいて無駄に多い、この無駄な装飾をどう思いますか?」


 君って案外毒吐くね。

 おそらく信者だろうからこの廊下を毎日見ているのだろう。

 そりゃ、これ毎日見せられたらまいるよね。


 この…教会だよな?

 どうせこの教会の上のやつがこんな無駄な事したんで一信者じゃ改善して下さいなんて言えなかったんだろうな。

 ストレス、溜まっただろうなぁ。

 それでさっきの俺の反応から自分の不満に俺が同調してくれると思ったのだろう。

 仕方ない、ここは俺が思うこの廊下の事を全て語ってあげようじゃないか。


「そうですね、私が思うに…この装飾はカスですね。」


「え?」


 少年が意外そうな声を上げた。

 俺は構わず続ける。


「まずさっきも思ったのですが二度目から人に、いえ、最悪最初から人に不快感を与えるような廊下など存在する価値はありません。そしてこういう物を作る人は大抵自身の自己顕示欲をただ満たそうとする人です。こう言う人ほど例えばこの廊下の装飾が少し無くなるだけで、信者に真っ先に疑い迷惑をかけます。そういうことってありませんでしたか?」


「え!?あー…はい、ありましたね。あの時は、」


「ちなみにそういう時には信者に物を取られないようにするために上の人間がわざと自分で隠す時があるので気をつけて下さい。」


「そうなんですか?!というか何故そんなことを?」


「先も言った通り、物をとられないためです。一度見せしめで罰を与える所を見せれば罰せられる恐怖から物を取ろうとはなかなか思わないでしょう?そういうことです。」


「な、なるほど。ん?ということはあの時の事は…バロカスの野郎ぇ。」 


 なんか後半が聞こえなかったが、もしかして今俺が言った事の被害にあったことがあるのだろうか?

 だとしたらトラウマ呼び起こしたかな?


「おっと、お見苦しい所をお見せしましたね。またそのような事がありましたら気をつけます、えぇ、気をつけますとも。」


 どうやらトラウマは呼び起こしてはいないようだ。

 むしろなんか威圧感が出て来たような気がする、笑顔が怖い。


「それにしても貴方の話は興味深いですね、歩きながら続きを聞いてよろしいですか?」


 おろ、話の続きは聞きたいのか。

 まぁ、確かにこのまま立ち止まったままは不味いか。


「いいですよ。なら今度はどんなことを話しましょうか。」


 そういいながら俺は歩き出した。

 すると少年が、


「あ、そういえばまだ自己紹介がまだでしたね。」


 と言い出した。

 

 そういえばまだ自己紹介してなかっなぁ。

 色々突然だったせいか忘れてた、特に名前を言う場面もなかったし。

 もう俺の中では少年の名称が少年になってたよ。


「申し遅れましたが私の名前はリンクと申します。ご覧の通りあの教会の信者です、便宜上。」


 便宜上?


「貴方のお名前は?」


 おっと、俺の名乗る番か。

 さっきの言葉は気になるが名乗られたからには名乗り返さなければならんな。

 

「ご丁寧にありがとうございます。私の名はハルと言います、以後お見知り置きを。」


 そうして俺達は、廊下談義を再開した。

 何か忘れてる気もするが今は………………ん?


 俺は歩みを止めて後ろを振り返った。

 

 なんか背後に視線を感じたような…。


 突然止まって後ろを向いた俺を不審におもったのか、後ろを一瞥してリンクが俺に言った。


「どうかなさいましたか?」


 …。


 しかし背後にあるのは教会の扉のみだし。

 気のせいかな?


「…いえ、なんでもありません。行きましょう。」


 少し違和感を覚えつつ俺はまた歩み始めた。

 










 ところ変わって、さっきまでハル達が居た教会、その祭壇の上には顔の鼻から上を仮面で覆ったまだ少女に見える女が佇んでいた。

 

 女はハル達が向かった方角に顔を向けながら仮面で隠れていない口を三日月型に歪め言う。


「ha………………偶然、ついてる。」


 祭壇から短いジャンプで降りる女。


 コツン、と音が鳴る。

 すると、


「あれ?今何時だ?ちょっと祈りに集中し過ぎ…って何で天井が壊れてんの?!」


「え?!本当に!?どうなってるのですか?!」


「あれ?リンク?…あの野郎サボりやがったのか!!」


 さっきまで人形のようだった信者達が己を取り戻し騒ぎだした。

 気付いたら何故か天井に大きな穴が空いていたらそうなるだろう。




 だがその状況を作り出した女の姿はもうどこにも無かった。








デザインって大切だと思うんですよ!

次は今回のリンク視点と白露・アミア視点で行きたいと思います!!

ご意見・ご感想お待ちしております!!!

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