第7話 殺気って半端ない!
第9話です!そこそこ長くなりました!
「あらあら、本当にお久しぶりねぇ。」
白露が日護涼華と言った女性は、こちらに向かってゆっくり近づいて来る。
穏やかな口調で笑顔だが、その目に宿っているのはかなりの敵意であると俺は感じた。
「あの、お知り合いですか?」
アミアが困惑したように聞いて来る。
どうやら、アミアにもあの女性の敵意は感じ取れたらしい。
しかし悪いが俺も混乱してるから答えようがない。
あちらはなにやら親しそうに話しかけて来るが、どうなのだろう?
...当人に聞いた方がいいな。
どうなんだい?白露。知り合いか?
と、なんか嫌そうな顔をしている白露に聞いてみた。
《...えぇ、知り合いと言われれば知り合いですね。あまり関わりたくない方の...。》
一応はちゃんとした知り合いらしいが...なんだ、なんか赤狐と似たような反応だな。
《正直に言いますと、私は赤狐さんより苦手な方です...。》
一瞬心でも読まれたかと思ったけど違うようだ。
こころなしか少し顔がげっそりしている。本心で言ったのだろう。
というか、白露が赤狐以上に苦手って事はかなりの変態、...あの敵意からしてそれはないか。
そういえが日護って確か前に白露が言ってた一族の序列にそんな名前があったな。
えぇーと、確か序列では...第4位だったかな?
もしかしてそれとなんらかの関係があるのか、それとも単なる追っ手か?
...分からん、情報が足らなさ過ぎる。
その苦手な人がここにいる理由は分かるかい?それとも単純な追っ手か?
《いえ、私の追っ手ではないですね、この方が私のもとにくる理由もわかっています。というかひとつしかありません。》
白露を追ってるわけじゃない?ならどうして追ってる方に直接行かないのでろう?
白露がそいつの居場所を知ってるとか?
《...........はい、そうなりますね。しかし場所を知っていると言う意味ならハルも、...やばいですね。あまりしゃべってもいられないようです。》
え?俺がなんだって、と白露に聞こうとしたら女性、日護涼華がもう目の前にきていることに気づいた。
そして目の前にきて止まると俺の...いや、白露の顔を見てその表情を悪魔の笑みに一変させて言った。
「みぃぃぃつぅぅぅけぇぇぇたぁぁぁぁぁ!」
言った瞬間、日護の右腕が俺めがけて振られてきた。
そこまで速くないし手の開き具合からして平手打ちだろう、当たってもいいが特に当てられる理由も無いので一歩軽くジャンプして避けようとしたら
《!、何をしているんですか!?もっと大きく避けなさい!!》
白露がやったのか強制的に『赤壁』が発動して、軽くジャンプするつもりが3m程の距離を飛んでしまった。しかも急に飛んだため受け身があまり取れず、
ズシャァァァァァァァァァァ
「ぐぅ!なにするんですかはくr、う?!熱っ!?」
かなり盛大に落ちた。
それに関しては『赤壁』のおかげでそこまでダメージはなかったが、どうやらいつも白露にまかせていた妖力の操作がちゃんとされていないらしく全身に火がついたように熱い。
だからすぐ『赤壁』を解除して、息を整えてから白露に文句を言おうと前を向くと。
!?
前を向くとそこには、驚くアミアとさっきまで俺が立っていた地面がえぐれている光景があった。
おそらくさっきのビンタのような攻撃の跡だろうが...あれをくらってたらと思うと冷や汗が止まらない。
...白露が機転を利かせてくれてなかったら死んでたかもしれないな。
幸いアミアは俺の右にいたが俺より2歩程前に出ていたため攻撃には巻き込まれなかったようだ。
そう思っているとこんな攻撃をしてきた張本人が少し狂気的な笑顔でこう言ってきた。
「あら、ずいぶん必死で逃げるわね。この程度、貴方なら赤壁なんて出さなくても避けられたでしょうに。」
白露なら、ね。残念ながら今の中身は俺なのでね、期待には添えないのですよ。
《ハル!大丈夫でしたか?!》
一応は君のおかげで無事だよ。
それにしてもこの日護涼華って人なんだい?俺がさっきの当たってたら死んでたぞ。
《...この方は私と会うといつもこうなのです。会うたびに当たったら死ぬような攻撃ばかり仕掛けてくるのです。この大陸に来てからは会ってなかったのですが...。》
ご愁傷様、俺が。
だってこれからこの人の対応は俺がすることになるんだよなぁ、果てしなく面倒くさい...。
そう思っていると女の方は怪訝そうな顔をして言った。
「?何よ、何故貴方そんなに黙ってるの?いつもの減らず口は今日はないのかしら。」
減らず口?白露そんな変な事いったりしたのかい?
《知りませんよ、あの方が勝手に言ってらっしゃるんです。私は普通にしゃべってるつもりなのですが。》
ここまで目に見えて機嫌が悪い白露も珍しいな。
まぁ、俺も軽く殺されかけましたしもう相手にしたくないんでこのまま黙っとくのがいいかな。
願望を言うならこのまま呆れて帰ってくれるとありがたい。
《まぁ、そろそろ本題に勝手に入ると思いますよ。》
そう簡単には帰ってくれないらしい。ぶっちゃけさっさと本題言えよという気持ちはあるが場を混乱させない為に胸の中にしまっておこう。
それにしてもなにか声に呆れを含んでいるな。
すぐにでもため息をつきそうだぞ。
しかし先にため息をはいたのは日護涼華の方だった。
「....ふん、なによ、つまらないわね。まぁ、いいわ、本題に入りましょ。」
なにやら日護涼華の方もいつもと違いすぎる白露(今は俺)に興味を無くしたのか白露も言っていた本題と言うやつに入るようだ。
「私の話は貴方ならもう分かっているでしょうけど、一応改めて言っておくわぁ。」
さっきとはうってかわり、軽やかな笑顔で話す彼女だが言葉を区切った辺りから目をつむってなにやら空気が重くなったような...?
そして彼女が閉じていた目を開くとその目は...酷く濁りドロッとした感じの目になっていた。
俺はそこでなにかわからない恐怖に襲われたが彼女はそんなことは知らず言い始めた。
「私の婚約者はどこかしら?貴方なら知っているわよネ?あの方は、...崎守様は貴方に洗脳されてこちらにきているもノね?さぁ、ドこに隠したのカしら?後ろにアる森の中かしラ?この町の家のナかカシら?それとも...アナタノカラダノドコカカシラ?」
ヒッ!?最後の言葉が告げられた瞬間、向けられたあの濁り過ぎた目を見たら思わず悲鳴を上げてしまった。
この人は言葉通り俺を解体するかしてでも俺の体のなかを探すだろう、と思ってしまった。
白露が何か言っている気がするが耳に入らない。
初めて本物の殺気を浴びた気がする。一時の静寂の時間が流れた。
そして彼女は俺の沈黙をどうとったのか、
「ソウ、やはリ貴方ノ中に隠しテルノネ?」
と言ってきた。
言葉が出ない、これまで本気で殺気を浴びせられた事はなかったしそんな危機に陥ったこともなかった。
しかし強者の前で俺では敵わないと思ってしまうとここまで弱いものかと思う。たとえここで俺が赤壁で応戦しても叩き潰されるビジョンがすぐわいてしまう。
それにもう気を失ってもおかしくないのに、恐怖が俺を留まらせている。そして同時に固めている。
「なら」
なんて情けないことだろう。
「サっさト、」
なんて無様だろうと思う。
「ダシナサイヨォォォォォォ!!!!」
すごいスピードでこちらに迫ってくる濁った目をした女。
俺では防げないと、せめて避けようと体を動かそうとするも体が動かない。
ここまで自分が駄目なやつだとは思わなかったな...。
そう思ってるなかもう敵の右腕は自身のすぐそばまで迫っていた。
もう少しで当たるという時、俺が思った事は、
この体のことで白露に申し訳ない気持ち、友達に守ってやるとか言いながらもう今まさに死にそうなことへの懺悔など様々な事が走馬灯のように思い浮かんだが、でもやはり一番強かった思いは
強くなって守りたかったなぁ
何を、と言われたら全てと答える。
そして攻撃が自身の顔に直撃した。
バァン!!!!!!!!
と思ったら目の前でものすごく大きな音がした。
思わずつぶってしまっていた目を開けると目の前には光のオーラのようなものを纏った右腕が女の右腕を掴んで止めている光景があった。
その腕の光を見つめていると何か安心感がわき、俺は意識を闇に落とした。
・そのころツウェルペトールにある場所の暗い一室では
暗い中、部屋の中心にある丸い机の真ん中に一本のロウソクの火が灯りそれを囲って4人の男女が座っている。
その中の会話。
「ほう、影が負けたか。まさかあのじゃじゃ馬姫と言われる小娘にそんな力があったとはな。」
「どうせ油断でもしたんじゃねぇのぉ?あいつ何考えてるかわかんねぇしぃ。」
「いやいや、そんなことはねぇです。正確には敵に不意打ちされて動けなくなったんでさぁおそらく。」
「おそらくって何だよぉ!確証もねえのに適当な事言ってんじゃねぇぞぉ!!」
「ha...................最新の情報は、その姫には今、狐族の混血と精霊が護衛についているらしい。」
「なにぃ!?それマジでかぁ?!」
「ふむ、それならやられても仕方ないだろうな。で、今そいつらは?」
「ha...................今はカイナ地区にいる。まだ、着いたばかりのよう。」
「おいぃ!ならそいつら今のうちに潰しといた方がいいんじゃねぇかぁ!!俺は行くぞぉ!!!」
巨体の男が勢いよく立ち上がったせいでガタッと椅子が倒れた。
「ん、おい待て、まだ町中で騒ぎを起こすのは、...........居やがらねぇ。」ハァ
「行くって言ったらすぐ影に潜って行きやがりましたよ。あの単細胞。」
「ha...................すぐ追えば間に合う、どうする?」
「....いや、もういい。最悪あいつを切り捨てればいい。...俺達は違うところで暗躍するぞ。」
「ha...................了解。」
「ひひっ、わかりやした。」
「..........」
ロウソクの火が突如として消える。
そして部屋にはもう人の気配はなく、ただただ暗さと静寂が残った。
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