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狐の嫁入り逃亡記  作者: カラネコ
第1章 赤からの逃亡
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第1.5話 〜約束は永遠の契約〜

二話目です。また読んで頂けたら幸いです。精度が上がるよう努力しています。



「......う〜ん、...ん?ここは」


 気がついた時には家の前、正確には家の前の道の真ん中に立っていた。

 おっと、どうやら疲れて立ったまま意識が飛んでたらしい。前後の記憶もないし。

 まさか家の前で居眠りとは、人間って良く出来てるなぁ。自分の事ながら


 と考えているとなんかズボンを引かれるような感覚がした。

 何故だろう?激しく嫌な予感がする...

 しかしそんな予感より好奇心がまさったのか反射的に下を向いてしまった。


「..........................................」


《.................................ニパァ》


「ぎゃああああああああああああああ、あ?あれ?なんかデジャヴ?」


 何故かいきなりグロい顔が下にあって怖いはずなのになにか見た事あるような感覚に襲われた。

 そのせいなのか周りの雰囲気にも違和感を覚えた。

 あたりを見渡してみる。

 いつもと同じ家、同じ道、人があまりいないというのも同じ、いつも通りの風景のはずなのになにか静かすぎる。まるで夢かなにかの中にいるような感覚だ。

 

「ここは、どこだ...?」


 周りの風景は同じだが俺にはもう違和感の塊のような空間だ。この一言が出ても仕方ないだろう。


《憎い》


 突然そんな言葉が聞こえた。

 それと同時に周りの家や道、風景全てが闇に変わった。

 声のしたほうに顔を向けると目の前に不自然に見慣れた感じのする異形がそこにはあった。


《憎い、憎い憎い憎い憎い憎い憎い何故憎い憎い憎い憎い私憎い憎いだけ憎い憎い憎い憎い.....!!!》


「.......ッ?!」


 異形が言葉を紡ぐたびにビキビキと音を立てながら異形の顔が崩れて行く。どうやら仮面だったらしいがそんなことを気にする事は俺には出来なかった。

 呪詛のように憎いと言い続ける異形は恐怖の対象でもあったがなぜか同時に酷く哀れにも見えたからだ。

 

《......》


「......!」


 そう思っていると憎いと言う呪詛の中にかすかに他のベクトルの言葉が聞こえた。

 それは泣き声だった。それも子供の、まだ幼いであろう少女の声だった。

 すると異形の下にうずくまり体を小さくした白いワンピースを着た少女が現れた。

 

《...なんで、ひくっ、わたしだけ違うの?なんでわたしは、嫌われるの?ひくっ、》


「.......」


 この言葉を聞いて自分の体が自然に動くのを感じた。すぐ上には恐怖の対象がいるにも関わらず俺は気付いた時にはその少女を覆うように抱きしめて言っていた。


「んじゃ、俺と友達になろう」


 そう言った瞬間、呪詛がピタリとやんだ。辺りに静寂が支配する。

 異形はこちらを向いて止まっている。どうやら邪魔をすることはないらしい。

 と思っていると少女がうずくまっていた体勢から顔を上げてきた。

 上げた顔は可愛らしくでまつげに少し特徴があるが将来は必ず美人になると確信できる整った顔立ちだった。


《ひくっ、ほんとに?》


「!、え?何が?」


 若干見惚れていたせいでとっさに聞き返してしまった。

 なにをやってるんだおれは?!質問はわかりきってるのに!不甲斐ない!!


《ほんとに、友達になって、くれるの?》


「おうともよ」


 即答する。


《でも、わたし弱いし、みんな、、足でまといだって...》


 とりあえずその《みんな》から黙らしに行くかな


「そのみんなに説教【粛正】しに行くからどこにいるか教えてくれるかな?」


《えぅぇ?!.......ほんとに、わたしと友達になって、くれるの?》


 あの、《みんな》の場所を.......まあいっか...それより


「おうよ!むしろ友達になって下さい!」


《ふふ、でもわたし、足でまといになるかもしれないし...ほんとに良いの?》


 やっと笑ってくれた。

 というかここまで自分の事を足手まといなんて思っているとは。まだ子供なのにどういう環境でそだったのか。まだ子供のうちは大人に助けられなさい、なんて教わらなかったのかな。


「良いよ!俺はそんな事で友達になるならないは決めんからね。それにむしろ女の子を守れるなんて男冥利につきるね!」


 自信を持ってそう言えた。だって本心だもの


「だから改めて言おう、俺と友達になろう」


 そういって俺はそっと手を差し出した。

 少女は下の方を向いて動く気配はないが動いてくれるまで俺は何時間でもこの状態を維持するつもりだ。 

 ......すいません、何時間でもってのは嘘です。そういうキガイがあるという意味でとらえて下さい。


《なら...》


 下を向いてた少女は下を向いたまま言った。


《守ってくれますか?》


 なんか違うニュアンスも含んだような言葉だったが俺の回答は一つ!


「もちろん、どこにだって守りに行くよ。この身を削ってでも助けに行くさ。」


 俺がそう言うと少女は顔を上げて、頬をわずかに赤くしてなにより満面の笑顔でその小さい手を出してきた。


《うん!》


 一瞬何かわからなかったが握手のためのものだとすぐ思いついた。自分が最初出していた手はいつの間にか無意識に下ろしていたようだ。

 すぐにそれに応じるため俺は少女の手と自分の手が重なるよう自分の手を差し出した。


 そしてあと少しで手と手が重なる寸前の所で少女は言った。


《ありがとう!またね》

 

 え?と俺が言う暇もなく手が重なった瞬間、少女の周りから光があふれ少女は光の中に消えて行った。

 かく言う俺も体が光に包まれておそらくもうここにはあまりいられないだろうと思う程少しずつ体が光の粒子になって消えて行く。


「あー、これは天国に行くんかな?」

 

 普通なら騒ぐ所だろう特にホラー系が苦手な俺がここまで悠長なのは自分でも驚きの限りだ。まぁ、主な理由は2つ。一つは周りの光の光景がひどく神秘的な事、もう一つは目の前に美人さんがいることだ。

 この美人さん、服で下の様子は分からないがかなり良いスタイルをしている。エルフと言われたら絶対納得する。顔が見えないのが残念


 さらに驚きなのがこの美人さん、さっきの異形の中の人らしいんだよ。

 その証拠にまだ仮面のかけらがくっついてる。そのせいで顔がみられない


《ありがとうございます》


 え?

 いきなり話しかけられたせいかすぐには反応が出来なかった。

 それに何故お礼を言われたのかも分からない。


《あの子を救ってくれて、無理にでも貴方をつれてきてよかった》


 いや、よかないですよ。

 正直かなり最初怖かったです、

 

《私が堕ちる前に...間に合ってよかった》


 なんか深刻な事情があったんk

 って?!ヤバッ!もう体消えかけてる?!!!


《これはお礼です》


 美人さんがなんか黒い光の結晶のようなものをこっちに投げてきた。

 ......お礼にしては雑だな、おい


 と思いながらもそれをキャッチすべく手を伸ばしたら


 黒い光になって霧散した。


「...」


 嫌がらせ?もう消えかけだから声もでないよ


《それはいつか貴方に必要になることでしょう》


 霧散しましたけど?


《その時まで気をつけて》


 何に?


《これからの貴方の旅に幸多からん事を》


 え?なんのはn


 俺はそこで意識が途切れた。




《どうか堕天はしないで》

 


《愛しい人》



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