第2話 壁に刺さるものって何だろう?
第3話です!今回は短めです。
...白露が次に向かうと行った目的地に到達するため、走り続けてはや3日。
今日が白露が言っていた目的地に到着する予想の日なのだが、一向にその国が見えない。
確かツウェペリトールだったかな?
それが見えないという事は、俺が遅いという事なのかな?
....軽く落ち込みますねぇ。
《いえ、ツウェルペトールです。し、しかしおかしいですね。距離感覚が狂ってましたかね?》
あぁ、やっぱり遅いのか。
《そ、そんなことはありませんよ。...それより体の疲れはどうですか?一応夜はしっかり休んで進んで来てはいますが、だるかったりしませんか?》
うん、どもりすぎ。まぁ、それに関しては大丈夫だよ。
君の体の回復力は半端ないね。
起きた時にはもう完全に回復してるんだもの。
というか未だに信じられないんだが、本当にしばらく飯を食わなくっていいのかい?
《あ、はい。村の方にいる時に油揚げをかなり食べましたから、あと一週間は大丈夫ですね。まぁ、食べた方が良いのは良いんですけどね。》
...あの”油揚げがあれば三食いりません”が本当だったとは思わなかったよ。
燃費が良過ぎるでしょ。マジで
あれ?でも油揚げのみに食い意地はってるし、いくら燃費が良くても毎回油揚げを食うのはどうなのだろう?
駄目だろ!
この娘、料理覚えさせた方が良いだろうか?
まぁ、教えるにしてもその設備も材料もないけどね。
《そういえばハルは妖術に慣れてきましたか?結構急に教えたので『赤壁』も今はどんな感じでしょう?》
うん?そうだねぇ、もう三日連続で使ってるからかなり御手の物って感じかな?
3日前みたいな無茶な使い方しなければもう日に何回でも使えるよ。
まぁ、毎回白露に妖力を調整してもらわんと体が熱いのは変わらないんだけどね...。
さすがに3日やそこらで妖力のコントロールは難しいね。
《それはよかったです。そこまで出来るのならツウェルペトールに着いて、一段落したら新しい術を教えるのも良いかもしれませんね。》
おぉ、それは面白そうだね。
もしかして前言ってた、『赤壁』の上位版みたいなやつ?
《いえ、あれは妖力のコントロールが重視されますので、今のハルではむr.......今度は戦闘向きの術を教えようと思っています。》
その気遣いが心に響くよ....。
いいじゃないか!少しは期待したって!!。
高速で動くなんて男なら一度は憧れただろ?今は女だが。
とりあえずは、コントロール...がんばろ。
《あ、あはははは。大丈夫ですよ、これからおいおい教えて行きますから、ね?》
言い方は可愛いのだが、顔が見れないのが残念だよ。
あ、霊体化はしないでね。疲れるから。
《え〜、ご要望かと思いましたのに。.......ん?この歌は。》
まったく油断も隙もない。
霊体化出来るようになってからというもの、霊体化する大義名分ばかり探しやがって。ふぅ
ん?歌?...あぁ、本当だ。なかなか安らぐ奇麗な歌じゃないの。
この歌を知ってんのかい?白露よ?
《えぇ....目的地までもう少しですね。ほら、もう見えてきますよ。》
目的地が近いらしいので少し速度を上げて木々を抜けた。
そして木々を抜けた先を見て、俺は目を見開いた。
そこには国の中心に大きな城が存在し国の周りには四方に門がある。他にも空を普通に飛ぶ人やスカルソルジャー、はたまた魔法が飛び交っているそんな光景が広がっていた。
...こういうの見ると、異世界に来たってかんじするなぁ。
《はい速度を落とさず、行きましょう!》
わかったよ。
ちょっと見惚れ過ぎたかな。
そういって俺はまた走り始めた。
といっても、目的地がもう見えているためせいぜいかかるのは20分程度だろうが。
・ ・ ・ ・
...着いたね。
ぶっちゃけ10分で着いた。
「赤壁」も解除した。日になんども使えるようになってもやっぱり少しだるいからな。
とりあえず、門の前に来たけどどうしましょうかね?
どうせ検問とかありそうだし俺は特に隠すものはないが、白露の場合はなにかありそうだよな。
《あ、そのまま進んで頂いて結構ですよ。ハルが歩いている間に術をかけておきますから。》
俺の心配は杞憂だったか?と思わせるくらいあっさりと白露は前に進めと言って来た。
まぁ、術を使うみたいだし大丈夫だろ。
わかったよ、んじゃ歩いて行きましょうかね!
《『我が姿は偽りヲ求める、願うハ 人、叶うハ調和。水面に映るハ真実のみ、鏡に映るのハ幻のみ、全ては偽りのウツシミ』》
狐火術 変化系 『影写し』
なにやら術が発動したようだ。
しかし俺には特に変わったように見えないのだが...?
と思っているともう門の目と鼻の先の地点まできていた。
俺の周りには人や動物の気配がない。
門の中はあんなににぎわっていたのになぜだろう?
そう思っていると門の入り口から騎士っぽい格好をした若者が出て来た。
「あれ?珍しいね、こんなところから人がくるなんて」
どうやらここは一般的なルートの道ではないらしい。
だから人がいないんだろうな、この近くには。
というか俺を人として認識してるという事は、白露の術の効果はあったようだ。
「門から中に入りたいんだろ?悪いけどいくつか質問に答えてもらう事になるんだけど良いかな?」
まぁ、仕方ないね。
白露、質問の答をよろしく。
《...えぇ、分かりました。》
なんか釈然としないって感じだね。
なんかこのやり取りの中で違和感がある場面でもあったのかな?
「それでは、質問を始めます。」
おっと、どうやら始まるようだな。
「では、お名前は?」
《任せます。》
「!...ハルです。」
いきなり任せる、ですか。
「種族は?」
《人間。》
「人間です。」
「最近ここに来た事はありますか?」
《ないです。》
「ありません。」
それから他にいくつかの質問に答えたあとにようやく、
「はい、ありがとうございました。門を開けましたのでお入りください。ツウェルペトールへようこそ」
そう言って門のなかに入れてくれた。
しかしその間、白露が妙に静かだったな。
なにやら考えているようにも感じられる。
だがツッコミたい。この光景はなんだろう、と。
正確にはどこだろう?が正しいのかもしれないが。
まぁ、とりあえずは中に入る事が出来たが白露がこの調子なのでどうすればいいのかがさっぱりだ。
推測でいうならここはツウェルペトールで廃棄された研究所前ってところかな。
確認のため門を開けてくれた騎士さんに聞こうにも”まだ仕事がありますので”とかいって門の外にいるから聞けないし。
でもなにもしないのもなんなので辺りを散策してみる事にしたのだ。
そうしてみたらなんとね........うん。
壁に、頭から刺さってぶら下がってる女の子?を発見しました!!!
って、なんでやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?????
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