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狐の嫁入り逃亡記  作者: カラネコ
第2章 聖からの脱出
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第1話 さて、どこに行こうかな?

第2話目です。楽しんで頂けたら幸いです!引き続き、狐の嫁入り逃亡記をよろしくお願いします!



 赤狐から逃げるために無計画に村を後にしてしまった、白露とハル。

 森をものすごい速さでかけている中ハルは考えていた。


 ...無我夢中で逃げて来たけどこれからどうしようかな。


 まぁ、特に荷物もなかったから良いと言えば良いんだけど白露がなぁ。


《油揚げぇ、私の油揚げがぁ...》


 さっきからずっとこの調子である。

 最初の方なんか”ハル、村に戻って油揚げを回収して行きましょう!”とかいってたけどもちろん却下した。

 仮にも追われてる奴が取る行動ではないと思う。

 そういうと白露はわざわざ視覚化(以後、霊体化)してまで驚きを顔で表して来た。

 ついでに霊体化することで俺の体力を奪うという嫌がらせもかねて。


 どうもこの霊体化で白露が出現している間は、俺の体力がどんどん奪われる仕様らしい。

 なので白露にその気がなかろうといらん時の霊体化は、俺にとって嫌がらせでしかない。

 それに「赤壁」は肉体活性の術であって、別に体力が無限にある訳ではないのでこれ以上体力が減ると解除した時が怖い。


 という訳でそろそろ白露に機嫌直してもらえないと俺もやばいのだ。

 

 あまりやりたくないが今は白露の機嫌を直してもらう事が大切かな。


 おーい、白露や〜い!


《...はい、なんでしょう》


 なんでそんな絶望しかないような顔してんですか。

 そんな顔するくらいなら霊体化するなよ、どうせするんなら癒しのある笑顔にしなさい。

 まぁ、とりあえずは言いますか。


 えーとな白露よ、この袋はなんだと思う?


《はい?...そんな袋がなん...いえ!まさかその香りは!?》


 ふ、そういうことだ。俺が緊急用に持ってないと思ったかい?


《さすがハル!そこに痺れる、憧れますぅ!まさか油揚げを緊急用にとっておいたとは!!》


 さて、君の問題が解決したところでどこか行き先があるかい?


《ん〜、そうですねぇ》


 すっかり上機嫌になって次の行き先を考える白露。

 え?なんで油揚げあったのにすぐ出さなかったのかだって?

 そりゃ、なかったからだよ。

 俺は嘘は言ってないよ。ただ前に油揚げが入っていた袋を見せて、俺が(白露止めるための)緊急用と言っただけだ。

 まぁ、実際に一枚の8分の1くらいの大きさの油揚げがあるのだがそれでは白露は満足しまい。

 せいぜい妄想を膨らませてくれ、本物を食う時まで。


《とりあえずは、この近くで一度休みましょう。そろそろ私の体も限界でしょうし。》


 良いのかい?赤狐に追いつかれる可能性があるぞ。


《おそらく大丈夫だと思います。ここに来るまでに大きな妖力の余波を村の方から確認出来ましたから、確証はありませんが村長さんが赤狐さんを足止めしてくれているんだと思います。》


 マジですか。

 フルジさん、俺達の為にそんなことまで...!

 この恩はいつか返さねばならんね。

 

《えぇ、そうですね!あの余波の様子ではあと1、2日は持つと思います。》


《しかし私は村長さんを侮っていました。まさか赤狐さんを足止め出来る程の実力者だとは思いませんでしたよ。》


 赤狐ってそんなに強いのかい?


《えぇ、狐一族の中でも上位に位置する実力者ですよ。しかも何故か私を追いかけて来る時は不死身のようなタフネスを発揮してきますからある意味一番強いかもしれませんね。》


 それを止めるフルジさんって何者?

 なんてツッコミたいところだが、確か法廷士官だったかな?これの強さの基準を知らんからなんともいえないな。


 法廷士官って皆そんなに強いのかい?白露。


《法廷士官にも弱い強いはありますよ。私が見た法廷士官なんて母に一撃でやられてましたから。村長さんはかなり高位の術者だったようですね。》

 

 そうだったのか、でも今日赤狐が追いついてくる危険性が無いという事がわかってよかったよ。

 そろそろ体の方が限界っぽいし。

 体からビリビリと辛いというのが伝わってくる。


《なら、適当に広くて木々が近いところがあればそこに降りてもらえますか?》


 結構注文多いね。まぁ、わかった。

 それなら....そこかな。

 

 ちょうど条件にあう場所を見つけたのでそこに向かった。


「ほっと!」


 最後に木の枝を強く蹴って着地。


「よし、成功」


 シュタッ


 さて、多分ここなら注文通りのはずだけど。


《はい、ありがとうございます。重ね重ね申し訳ないのですが、私が合図をしたら手を二回叩いて頂けますか?》


 うん?それは構わないけど、何すんの?


《ええ、術を使用しようと思いまして...では始めます。》


《『大地の精よ、我が願い聞き届けませり』》


 白露がそう言った瞬間大地から淡い光が出て来た。


《『木の精よ、我が願い顕現せしませり』...ハル、今です。》


 木々がざわついたところで白露から声がかかった。

 

 あいよ。 パンッ パンッ


 俺が手を二回叩くと目の前に手のひらサイズの水の塊が浮いていた。

 ん?なんだこれ?

 と思っていると水がいきなりブシュゥゥゥゥという音を上げながら水蒸気の霧になった。


 どう考えてもあの量の水でこの水蒸気の規模は異常だが、これも何かの術なのだろうと考えるのをやめた。

 

 さて、これはどうなるのかね白露?


 いきなり霧が出たんで少しビックリした。

 こういう系統の経験(紙飛行機からの光)がなかったら取り乱してたぞ。


《もう少し待って下さい。霧が晴れたら分かりますよ。》


 ふむ、じゃあちょっと待ちましょうか。


 白露の言う通り、10分くらい待っていたらようやく霧が晴れて来た。

 そして霧が晴れた先を見てみると、



 う〜ん....。



 こんなリアクションを俺はせざるおえなかった。

 なぜなら目の前には人が普通に住めるであろう生活スペースがあったからだ。

 一人がけのベッドに雨よけの屋根、はては椅子まである。

 これがどこかの町にあるのなら違和感は無いのだが残念ながらここは森である。

 いや、町にあっても違和感があるかもしれない。

 全てが自然に出来ている家具などでかい都に行ってもあまり無いだろう。

 

 そう、今言った家具は全て木製、接着面も釘を打ったような形跡もない木があたかも自然にその形をとったかのような天然ものだ。

 うん、仕上がりとしてはかなり奇麗だし絶賛したいところなのだけど...こういう時に論理的な思考ってじゃまだなぁ。

 

《?どうしました?まさかお気に召しませんでしたか?!》


 いやいや、かなりいいと思うよ。

 というかこれどうやったん?


《これは大地の精と木の精に少し呼びかけて動いてもらったのです。》


 へ〜、狐の術ってこんな事が出来るのな、ちょっと想像と違ってたよ。


 だって狐の術の印象って狐火とか変化のイメージが強いからなぁ。

 あれ?これって変化に入るんかな?


《いえ、これは言霊......そんなことより今日はもう休みましょう。今度向かう先は遠出になるのでしっかり体力を回復しておかねば!》

 

 今度行くところはそんなに遠いのかい?


 今の俺は赤壁が使えるから多少の距離なら半日もあれば余裕で着くはずだ。

 まぁ、それを考慮して言ってんだろうけど。


《えぇ、赤壁を一日フルに使って3日かかる距離ですね。》


 遠いな、おい!?

 というか君はそこに行った事があるのかい?


《ありますよ。私の場合は一日で着きましたけど。もちろん赤壁より上位の術を使った結果ですが。》


 さいですか...。

 さすがに今からその術を習得するのは無理だし、習得したとしても赤狐に追いつかれるのがオチだね。

 なら、地道に赤壁で行きましょうかね。


 というかこの娘、絶対天才と呼ばれていた気がする。

 その赤壁の上位の術もそうだが、さっきの精霊を操る術もそんなに簡単に出来るものでもないだろう。

 まさかこれも里とやらを抜けた原因だったりすんのかな?


《とにかく、せっかく寝床があるのですから早く休んでおきましょう。ハルも限界でしょう?》


 ...ふふ、さすかだねぇ。

 ぶっちゃけかなりだるい。


 木のベットに腰を下ろす。


 なかなか座り心地はいいな。

 まぁ、とりあえず「赤壁」の解除が先か。


 解除っと....お..ぉ......ぅ?


 赤壁を解除した瞬間、急激な疲労と眠気が襲って来た。

 そこで俺の意識は途切れた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーーー




《あれ?ハルー、ハルー....寝てしまいましたか。》


 まぁ、仕方ないかもしれませんね。

 妖術を初めて使うものが「赤壁」を日に三度も使ったのですから。

 精神的にも肉体的にも限界だったのでしょう。


《ふふ、寝ている自分の顔を見るというのは妙な感じですね。》


 本当に妙な感じだ。

 まさか自分の顔を鏡ではなく直に見る事になるとは思いませんでしたよ。


 ふぅ、とりあえず私も明日に備え休むとしましょうかね。

 簡易用の結界も張っておきましたし、寝ますかね。

 

 そういえば、ハルがどこに向かうのか聞きたがっていましたね。

 寝ていますが教えてあげましょうかね。

 聞いていなかった?寝てしまった方が悪いのですよ〜だ。

 では、



《魔法が栄え、魔族と人間が共存する国【通称"魔法都市・ツウェルペトール"】》











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