第0話 家出とは人生を賭けるもの?!
第2章、第1話です。こういう文は初めて書くのであまり上手くないかもしれませんがよろしくお願いします!
本編主人公が知らないうちに村を救い、追って来た赤狐から逃亡している丁度その頃
ある王国の城の広間
そこはかなり面積の広い部屋で、壁には城の兵が軽い鎧を装備して覆うように整列している。
そんな部屋に、兵達とは明らかに雰囲気が違う人物が二人。
一人はこの城の王であろう小太りした人物で少し高い位置の椅子に座っている。
そして部屋の中心に跪いている青年が一人。
青年が下げていた顔を上げ、口を開いた。
「約束通り役目は果たしましたよ、次はそちらが約束を守って頂きたい。」
そういうと王の顔が少し苦い顔になった。
「...あぁ、ご苦労であった。そちの旅の話を聞きたいものだ勇者よ。今夜夕食をともにせぬか?」
「誤摩化さないで頂きたい、貴方達が言う役目とやらを果たしたのですから貴方もこちらが出した条件を守ってもらいますよ。」
笑みを浮かべながら勇者と言われた青年はいった。
軽い殺気を出しながら。
「む、むぅ。しかしあの娘はそんな事は知らぬ、まずはあの娘に時間をやるのが道理ではないか?」
瞬間、勇者の顔から笑みが消えた。
「どういうことでしょうか?確か僕が旅に出る際に約束の件を伝えておいて下さいと頼んでおいたはずですが?」
青年は殺気を放った。
「い、いや、それには少し手違いがあって」
青年の殺気に気圧されたのか王が言葉を濁しながら言う。
「それはどうい...う!?」
勇者と呼ばれた青年は反論しようとしたが突然自身の平衡感覚が維持出来なくなった。
「貴方達の仕業か?!」
この異変が王達のせいであると思い青年は目の前の王に問いかけた。
しかし
「ぬぅ!これはいったい??」
「な、なんだこれ?!!」
「し、視界がぁぁっぁ!?」
どうやら王達にも同じ事が起きているようだ。
なら、この異変はいったい?
「どうなっている?」
ところかわって3分前の城のある一室
一人の少女とメイドが言い争っているようだ。
「お考え直し下さいませ、姫様!」
メイドの服装をした女性が目の前の姫様と呼ばれる少女に言った。
対して少女は、
「嫌じゃ!なんで私があの豚...父様の言う通りにせねばならぬのじゃ!」
少女は何か怒った様子で言う。
「嫌でも国王が決めた事なのですから今更崩しようがありませんよ!それとその言葉遣いはやめて下さい、ジジ臭いじゃないですか!」
メイドも反論する。軽く文句も含めて
「知らぬわ!今更父親づらしてあげくにこんな...!今までは王族の義務という事で従って来てやったが今回ばかりは納得出来ぬ!!」
少女の反論は完全な怒りが込められていた。
しかしメイドもそれで引く訳にもいかず、
「...しかしこんなことは王族には良くある事です!ご容認くださいませ!!あと言葉遣いを直して下さい、ジジ臭いです!」
そう反論した。
すると少女は少しどもった。
「う......そ、それでもじゃ!何も私でなくとも姉様の誰かにすれば良いであろうが!!あの豚...父様にはかなりの妾がおるから私の知らぬ子供もおるはずじゃし、私を選ぶ必要など無いじゃろ!!!」
王様の結構な生活ライフをモロ暴露しながらの反論。
その内容に、メイドも一瞬遠い目をしたが気を取り直して言う。
「...確かにそれが通常のものならその言い分でも通ったかもしれませんが、今回は勇者様との約束であるため取り下げるのはおそらく無理かと。あと言葉遣いを直して下さい、ジジ臭いです。」
なおもしつこく言ってくるメイドに少女は、
「しつけぇぇぇぇぇぇぇぇ!?人がふれないようにさっきからガン無視しとったというのに、空気を読めぇい!!しかもこの言葉遣いは婆様から学んだものじゃ!それをジジ臭いとはなんじゃい!!」
さっきまで無視し続けていたためにたまった鬱憤がさらにしつこいメイドの言葉で爆発した。
「誰にどう習おうとも!世話係である私は姫様のそのジジ臭い言葉遣いを矯正させてみせます!!ぶっちゃけ聞き取りづらいのです!!!」
「本音が漏れとるぞ?!もっともらしいこと言っといて実際は貴様の都合じゃないかぁぁぁ!!?」
「そうですが何か?」
「開き直るな!?...えぇい!もうよい!とにかく私は絶対に行かぬからな!!」
そういって少女は少し歩き、部屋からテラスに向かうためにバンッと部屋にあるでかいガラス張りの扉を開けた。
その行動をメイドは疑問に思い、少女に声をかけた。
「?....風に当たりに行かれるのですか?それなら外はもう日が落ちております。あまり長くはお体に障りますのでお早めにお戻りください。」
「ん?それは承諾しかねるのぅ」
少女はテラスの手掛けに手を添えながらドヤ顔で言った。
「はい?それはどういう.....!?何故姫様がそんな魔法具を?!」
メイドが驚きの声を上げる。
少女の左手には魔方陣が少し光っている小汚い袋が握られていた。
これを魔法具『亜空間袋』という。
能力はおなじみある一定の量まで物をしまえる事である。
「ふははははははははっ!私がこんなこともあろうかと用意しておいた物じゃ!!どうせあの豚の事じゃ、こんな状況になると踏んでおったわ!!!」
高笑いする少女。
幾分か驚きから復帰したメイドが言う。
「....しかしそんなものだけ持ったところでどうするおつもりですか?貴方が魔法具を持っていた事には驚ましたが、それだけではどうにも...」
「いやいや、誰がそれだけと言ったんじゃ?」
いつのまにかテラスの手掛けの上に立っている少女。
当然メイドは、
「ひ、姫様?!何故そんなところに立っておいでなんですか?!!危ないですので降りて下さいませ!」
「むふふ、御主のそんな顔が見れるとは今日は良い日だのぅ。」
笑顔を浮かべながら少女はメイドを見る。
しかし次に瞬間にその笑みは少し寂しげになった。
「ま、さらばじゃ」
日常のあはようやおやすみを言うような声色で言った。
そして少女は手掛けから飛び降りた。
「は?」
あまりの事の呆然としてしまった。
ここは三階くらいの高さがあるため普通に落ちたらただではすまない。
しかしメイドは一瞬で持ち直してテラスの下を見た。
「あぁ、なるほど。用意周到な事で。」
ため息まじりにメイドは呟いた。
その目線の先には背中に羽の文様が中心に描かれている魔方陣を浮き立たせ低空飛行で飛んでいる少女の姿があった。
「ふふ、しかし姫様。私が何の種族であるかお忘れですか?」
すぅ、とメイドは息を吸った。
・ ・ ・ ・
「ふぅ、なんとか逃げ切れそうだの」
まぁ、私が2年間かけて考えといた計画じゃ。
見張りの騎士がサボる時間や人が通らないルートなどすでに調査して手に取るように分かるわい。
最大の難関であるメイドのリサもなんとかなったし、これでようやく、く
あれ?
がががががががががががががっ!
な、なんで?!
平衡感覚が維持出来ない?!!つか痛い!!!
まさか魔法が上手く発動していないのか!?
いや、そんな馬鹿な!この魔法は私が一年かけて習得したものじゃ、そんな事はありえん!!
ならばこれは.......リサの仕業か!
そういえばあやつはセイレーン族のものじゃったなぁ
ならばこの異変はセイレーンの魔声か
というか私にこの距離で効果があるということは、城の方は結構なパニックなんじゃ...
...まぁ、考えても仕方ないか
しかし
「こんなことで諦めてたまるかぁぁぁぁぁぁ!!!!」
少女は平衡感覚が定まらないためがむしゃらに、だけど注意しながら魔法で高度を上げた。
ある程度高度が上がったところで一気にブースト、とにかく城から離れる事を目的にしての魔法の使用。
「絶対逃げ切ってやるぅぅぅ!私は、私は絶対!!」
すごい速さで移動しながら言う。
「私は絶対!結婚なぞ!!せんからなぁぁぁぁぁぁ!!!」
少女の咆哮が辺りに響いた。
はてさて、これが物語とどうかかわって行くのやら。
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