10.5話 加速するもの・久々の登場
第13話です。今回は主人公達とは違う視点を2つお送りしております。
ハルと白露が修行に入ってる丁度その頃、ある人達の視点
side村長
儂は今、宿を出て山賊が来ようしているだろう村の入り口に向かっている。
村は現在、今までに無い程の危機に瀕しておる。
山賊100人じゃ、普通は勝てないと思うじゃろう。
しかし儂は負ける気がしない。
なぜなら儂達には銀狐の白露様がついているからだ。
そう思い出したのはついさっき、山賊が仲間を連れてまたやってきた!と村の警備兵から聞き、そのことをすぐに白露様に伝えるため宿行ったときの事じゃ
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山賊が仲間をつれてまたやってきた!という報告を受けて急いで宿にむかいやっとのこと宿の前にたどり着いた。
はぁっ、はぁと乱れる息を整え、宿に入り出来るだけ素早く白露様のいる二階に行くべく階段を早足で登った。
普通ここは若者に任せろよじいさん、と思うかも知れないが体力面以外ではまだまだ儂は若いもんには負けん!
別に張り合っておる訳ではなく、実際に儂の方が早いのだ。まったく最近の若いもんは...
おっと、思考がずれてしもうたの。
しかし無駄に長いのぅこの階段
なんでこんなグルグル回らなきゃならんのじゃ
体力がぁ...ぜぇ、ぜぇ
じゃが、今はこの老体の事などより村の事じゃ!
うぉぉぉぉぉぉぉ!あ、ツッタ。か、構うかぁぁぁぁぁぁぁ!!
ダダダダダダダダダダダダダッ
よし!着いた!!
着いた勢いで強くドアを開けた。
「白露様!大変ですじゃ!起き...て」
声を荒らげて白露様に山賊の件を言おうとしたら部屋の中の光景をみて言葉が止まってしまった。
そこには光の粒が白露を中心に降り注いでいるというある種の神秘的な光景が広がっていた。
この光は...もしや精霊様では!?
白露様は精霊をも使役なされるのか...!
しかもあれは光の精霊ではないか?
確証はないが確か光の精霊を使役するには何らかの加護を必要とするはずじゃ
確か神の加護の一種だったはず...
しかし神の加護を受けるにはこの南の大陸を越えて北の大陸に行かねば決して得られぬはずのもの
いったいどうやって得たのか?
思いにふけっていると白露様の声が聞こえてきた。
「なにかあったのですか?」
「はっ、そうですじゃ!」
思考をいったん閉じて、山賊の件など事のあらましを伝えた。
そして山賊が約100人と話した所で
「って、どれだけ多いんですか!?普通の山賊の軽く5倍はいるじゃないですか?!」
さすがにこの人数は驚いていらっしゃるのぅ。
まぁ、辺りの山賊が総出でこの村に向かってきておるから仕方ないと言えば仕方あるまい
しかもこの方も気付いておられようが今回狙われているのはおそらく...白露様じゃ
この付近、というか和の国以外は奴隷制度を採用している国は多々ある。
そのせいか、最近は山賊が村娘や子供を攫い、奴隷として売るという行為が増えていた。
...銀狐の奴隷ともなればかなりの値で取引されるじゃろう。
売るやつによっては爵位がもらえるかもしれんな。
まず滅多に見ることはなく、容姿がとても美しい、そして希少。そういった価値観が国のもんは腐ってるんじゃ、売られたあとの末路なんて考えたくもない。
まぁ、まだ銀狐の者が奴隷になったなんて話は聞いた事がないがのぅ。
しかし危険なのは危険じゃ。
本当ならこんな戦いはせず逃げてほしいという気持ちがあるが、山賊100人の相手は儂の奥の手を使っても半分削れるのが精一杯じゃ。
他の村人達ではとても50人は相手出来まいし、男も今はあまり居ない始末...。
じゃからそのことを理解した上で、改めて一緒に戦ってくれる意思があるか試す意味も込めて尋ねた。
「理由は...察しておられるでしょう?」
この次の返答によってはかなり状況が変わる、と思っていると白露様は少し間を置いて言った
「(奴隷の事は)わかっていますよ。(何も山賊になど)奪わせたりしません。(全て)守りきってみせます。」
()はじじいフィルターが入っています
儂は感動した。
ここまで断言して頂けるとは思わなかった
もうなにも言う事は無い、この方を信じて戦うのみじゃ!
それから白露様は山賊があと何分で到着するか儂から聞いたて少し考えた後
「フルジさん、私はこれより少しの間瞑想をするので先に行って村の守備を固めて下さい」
なにか決心のついた目をこちらに向けて言った。
そんな目を向けられたら、儂の言う事など一つですじゃ。
「わかりました。しかし速くお願いしますじゃ」
そう言って儂は素早く部屋から出た。
おそらく白露様はいま瞑想で儂らの知り得ぬことを考えておいでなのじゃろう。
だから邪魔をしてはいけないのじゃ
ふぉふぉ、負ける気がせんね、どうも
...しかし、口の周りと床が白かったがあれはなんらかの儀式なのかのぅ?
side赤狐
私は、愛の狩人。
通称赤狐と呼ばれる者です。
名はなんだって?それはわたしのマイスイートハートが知っています。
そう、あの照れ屋でお茶目な私の婚約者!
あぁ!彼女は今いずこにいるのでしょう!!
くっ!こんな音速では遅過ぎる!もっと速く動ける術を習得しなければ!!
それに彼女は記憶喪失でもあるというのに!どこかの変態の魔の手に落ちてないか心配でなりません!!
そしてそんなことが万が一!億が一!!いや、兆が一あれば...
拷問という拷問の果てにさらに追いつめてその汚物野郎をぶっ殺す!!!!!
...いけませんね、思考が偏ってしまった。
彼女の身を案じるあまり思考が暴走してしまっていましたね。
まったく、その程度で許すはずがないのに。
ここは彼女の事を考えて心を洗いましょう。
私に愛の火柱を浴びせてからまた照れてまたどこかに逃げてしまった愛しい人。
困った人だ...まぁ、そこがかわいいんですけどね。うふふ
ふふ、里に一緒に帰ったらそんな彼女の花嫁姿を見る事が出来るのですね。
あぁ!そう考えるだけで私は疲れなど吹っ飛んでしまいます!
しかし、結婚式は和式と洋式のどちらで行いましょうか。
最近一族では和式だけではなく洋式でも結婚式が出来るようになりましたし悩みますねぇ。
ふふ、彼女ならどちらもとても似合うでしょうし甲乙つけがたいですね。
想像するだけで...三ヶ月はもうご飯要りません!
早く彼女と会ってこの話を二人でしたいです。
しかし私をここまで魅了するなんて本当に罪な方です。
記憶喪失なのにも関わらず私に愛を語ったその姿にまた惚れ直しました!
え?そんな場面なんて無かっただろ、ですと?
ふ、やはりわかりませんか?あの火柱の意味が?
あれは私たちの情熱は天まで届くということを意味しているのです!
これすなわち、彼女が私の事を無意識下でも愛しているという事なのです!
そして彼女は、
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ
...私が彼女に対する思いにふけっている所を邪魔するとは...良い度胸です
しかしなんですかこの人間の...山賊ですかね?かなりの人数がいるようですが、いったいどこへ向かってるのでしょう?
ふむ、少し聞いてみますかね。
ピコピコ
『奴隷にしちm』
『銀狐はアゲ村』
『空から飛んで』
『美少女が』
人数が多いせいで聞き取りづらいがですが...思いがけぬ所で収穫がありましたね。
アゲ村は確かあっちでしたか。
まぁ、あちらに行く前にすることが出来ましたが
ではさっそく始めましょうか...
何をって?そんなの決まってるでしょう?
ゴ・ミ・掃・除
さぁ、粛清を開始しましょう。
ご意見・ご感想お待ちしております!