第9話 術の練習をしよう...山賊で
第11話です。銀狐の追憶についてはちょびちょび出して行きたいと思います。これからも狐の嫁入り逃亡記をよろしくお願いします!
改めて本当の意味で白露と打ち解け、友達になった。
いやー、この短期間に友達が二人も出来るなんて...もしや今俺の人生って一番輝いてる?
人間の時は友達なぞおらず、近所の格闘自慢のおっさんに、なんかお前に護身術を教えてやろうとか言ってきたので拒否したら追いかけ回されたっけな。
まぁ、そのおっさんこそが俺に武術をかじったと言わせる原因なのだが。
今思い出しても暑苦しかったなぁ...
しかし、ある意味初めてのまともな友達が幼女と......あれ?幼女ってまともか?
....いや、いいか。さっきロリコンの変態って開きなおちゃったし、もうどうなろうと一緒だろう。
気を取り直して、初めての友達が幼女と美少女というにはかなり幸運な事ではないだろうか?
残念ながら恋愛には発展しないだろうけど。
だって、一人は今どこに居るのかすら...まず夢の中の幻想であったかもしれないし、それに年齢が低すぎて無理だしな!
白露に関しては完全に無いな。
何故かなど言わずがもがな、俺が現実では今、白露だからだ。
普通に体が別々の状態なら告白していたかも知れぬのに...なんて無情。
まぁ、俺が人間のままこっちの世界に来てたら白露に会えなかったろうけど。
会えたとしても足手まといにしかならないかったろうし、人間時の俺じゃ赤狐も撃退出来なかったろう。
他の追っ手も追い払える自信ないしな。
.......あれ?追っ手と言えば
なぁ、白露
「はい、なんですか?」
さっき追っ手は当分追って来れないって言ってたけどなんで?
「あぁ、そのことですか。それは私が大陸を渡ってこちらにいるからなんです」
え?大陸を渡ったからって追っ手から逃げられるもんなのかい?
結構意外だ。まぁ、確かに俺の世界でも逃げるのは高飛び、みたいな感じだがこの世界でも似たようなもんなのかな?
まぁ、こっちに飛行機なんてものは無い気がするけど...。
「逃げられますよ。...あぁ、そういえばハルの世界では結構簡単に大陸を渡れるのでしたね。」
俺の世界では?
「えぇ、まだハルにはこの世界にたいする詳しい説明をしていませんでしたね。いいですか、まずこの世界では......」
・ ・ ・ ・
白露から聞く話によるとこの世界は人族から亜人、魔物から魔人、はたや天人や神まで実在しているトンでも異世界だそうな。
さらに確認されている大陸は3つでその大陸一つで、ある意味元の世界であった小説のようなファンタジーを一生で堪能出来るレベルらしい。
この大陸にはあまり無いらしいが、魔王討伐とか勇者召還だとかは結構普通にあるようだ。
普通ならここで同じ世界の人間が召還されると聞けば会いたい、とか思うかも知れないが俺は会いたくない。差別と偏見だが勇者は男である確率が高い。
そして俺の今の容姿はさっきも見て確信したが銀髪キツネ耳の美少女、ここまでいえば分かる方もいるだろう。
そう!ぶちゃっけ会いたくない理由は勇者とのあれなフラグを立てたくないからだ!
俺が回収しなければ良いって?甘い!あのハーレム製造機がこんな美少女を逃す分けないだろうが!
「あ、あの//褒めて頂くのは嬉しいのですが、そ、そんなに美少女とか言わないで下さい!恥ずかしいですぅ///」
だが事実だ!!
しかも今の照れた顔を見ればポイントアップ間違いなし!!
「あぅ//」
まぁ、食い意地が張ってるのが難点だが...
この娘ホントにお嫁に行けるのかねぇ?
まぁ、俺がこの体にいる限りは絶対行かさんがな
「やかましいです!」
あ、俺の真似した〜。あははは〜
やかましいって俺の台詞や〜で?
...俺も疲れて来てんのかな。
「なんかムカつきますね...上げて落とすなど、最低な人のやることですよ!」
すんまそん
「......」イラッ
まぁ、冗談はこれくらいにして話を戻してもいいかな?
「はぁ、冗談はほどほどにお願いしますね。」
うん!ソウスルヨ!
「あ、直す気ないんですね」
というかなんですぐ追って来れないの?結局そこを聞けてないんだけど
「スルーですか。そうですか。...はぁ、大陸を渡るには大陸と大陸の間にある海を渡るしかありません。しかしその海を渡るには普通の方法では一ヶ月はかかります。」
そんな呆れた反応しなくても。
なるほどね。推測するにこの世界の広さは、俺がいた地球より何倍も広大なようだ。
まぁ、技術がどこまで進歩しているかによるけど大陸を渡るのに一ヶ月は長い。
ん?普通の方法?
「はい、普通の方法とは一般の船などのことを言うのですが、各大陸にはそれぞれの特殊な移動法が存在します。各大陸にもよりますがこの方法なら最速で半日で大陸を渡れます。しかしこの移動法の大半が一般人は使えず、各大陸の高位の者やその術者くらいしか使えません。」
ふむふむ
なら君は、自分のいた大陸のその特殊な術でここに渡ってきたんだね?
「いえ、違います」
違うんかい!?じゃ、どうやって渡ってきたの?
「私の居た大陸、といっても私の知る限りですが、その術は早くて5日でこの今居る大陸に渡れる程度のものでした。しかも一度使うとしばらく使えない仕様のもので私がこちらに渡る時には、ちょうど一度使用した後でした。なので追っ手が来るまで最低10日は安全だと....思っていたのですが」
あぁ、いたね、追っ手。
しかも一番面倒くさそうなやつが
「どうやって追ってきたんでしょう...................赤狐さんは」
そろそろ名前思い出してあげなよ
さすがに好きな人に名前を忘れられてる赤狐に少し同情した。
あいつの名前なら結構記憶に残りそうなものだがな。
「何故か思い出せないんですよ」
......ドンマイ。
今の言葉を誰に対して言ったかは察して下さい。
そういえば結局君がどうやって大陸を渡ったのかを聞けてないのだが
「それは....」
俺の質問を聞いて白露の顔に影が差した。
何か訳ありのようだ。
「...出来れば聞かないで頂けると助かります。今の私が言えるのは、私が使ったその方法は、私が里を抜ける原因になったものの一つと言う事だけです」
.....了解したよ。
でもいつか話してくれると信じていいかな?
「はい、ハルにはいつか話せる日が来ると思います。」
そりゃ、楽しみだねぇ
じゃ、約束だぜ?守れよ、友よ
「!...えぇ!約束です!!」
うんうん
さっきと違って良い顔に戻った
やっぱ女の子は笑顔が一番だねぇ
...で、俺はいつまでこの空間にいるんだろうか?
白露の顔を直接見られるから良い所ではあるんだが、外の時間も気になるので一回でたいのだけど
と思っていると
「あ!忘れてました!」
突然白露が声を声をあげた。
「自己紹介でついでに話すつもりだったのですが、ハルに話しておかなきゃならない事があったんですよ!」
ん?なんだい?
ここまでの流れでまだ話して無い事あったんかな?
と俺は疑問に思った。
「はい!これから追っ手から逃げ続ける為にもハルには妖術を学んでほしいんです!」
え?妖術?
思わず上を向いて考えた。
そして頭に浮かぶのは赤狐を抹殺(過剰表現)した火柱
あぁ、あれか
「あ、今思い浮かべた術は狐火・合成変化系『朧朧』と言います」
何故考えている事がバレたし
「私が妖術を貴方に見せたのはその時だけですから、そうかと思いまして」
ちょっと安心した、女の勘ですとか言われたらどうしようかと思ったよ。
そんなんで心読まれたりしたらたまったもんじゃないし
まぁ、それとは別で妖術には興味があるし護身のためならば。
うん、よしわかった。
妖術覚えましょうかね。
ご教授願いますよ白露先生
「はい、よろしくお願いしますね。ではさっそく基礎訓練から始めましょう。」
あ、すぐ始めるのね
そういえば聞きたかったんだけど今、外は何時くらいかな?
「今は、夜の9時頃ですね。この空間は私の術で少し外より時間を延ばす事が出来るので修行にはぴったりなんですよ」
すごいな。そんな術まであるとは
「しかし外の体は眠り続けたままなので定期的戻らないと知らないうちに死にます」
どんな物にもオチは付いてるもんだね
だがしゃれにならないなこのオチは
「では、まず妖力の流れから...聞いてますか?」
ん?あぁ、ごめんごめん。ちょっと考え事してたもんでね
さ、やりましょうか
「そうですね。」
それから修行の時間が始まった。
俺は妖術を学ぶことなった時から頭の中で考えていた事がある
それは
術の練習をしよう...山賊で
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