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appear―空白の少女―

成り行きで書いているので、今後どうなるか分からないです。

某日本国の猫型ロボットをご存知だろうか?

秘密道具という名のほぼチートに近い、近未来の化学製品を扱う・・・・そんな事はどうでもいい。


時代は近未来でも遠い過去の話でもなく、ただありふれた時代。まあ例えるなら世界的震災が起きた後の世界といってもいいだろうか。とにかく最近の朝の出来事である。

そんな時代の中。俺は真っ白な桃源郷の中に包まれていた。物凄く暖かくて包まれたら手放したくは無い-通販で買った毛布で、小遣いの半分を生贄にして召喚してみた・・・ゴホン。買ってしまったものである。畜生。なんでかってか?

俺には四歳違いの姉がいて、まあ何だ気まぐれ女というかなんというかひどい奴で、幼い頃から俺を時あるごとに苛めてきた。小学の時に給食のコッペパンを意味も無く俺のランドセルに放置したり、中学の時は始めて買ったエロい本を玄関に出されたりとしたことがある。その他俺が困るような数々の奇行を有り難くも(怒)施してくれた姉が高3になった俺になんかプレゼントをやるって事を聞いたら片手に毛布を持っていた。

嬉しかったさ。例え毛布でも。たださ通販の請求書のコピーも一緒にやってきたんだよなんか知らないけど。

本来今年発売される予定の新型携帯ゲーム機を買うお金か、その他諸々計画を立てたことに使うはずだったのだが・・・泡と化してしまった。畜生!。

そんな雑念が起こったせいで眠気が冷えてきた時の事だろうか。


-柔らかいな・・・何だコレ・・・?


俺は違和感を覚えた。

抱きしめているはずの毛布がやたら生暖かく、毛布とは思えないほど形がハッキリしていた-何というか、ずっと抱きしめたいと思うほど心地よいものだった。通販で買った-姉はそう証言しているのだが、予想では・・・否、明らかに姉が使っていたもので、請求書のコピーも当時は嘘はったりに過ぎないと思ったが、なぜかそれだけは本当で、多分隣にある姉の部屋にそれがあるのかな・・・・。とりあえず保温性能はかなり低いし、薄い毛布だったはずなのだが・・・。

抱き枕かと思ったがそんなモンは所持していないし、今使っている枕を抱きしめてるんじゃないかと思ったがこんな枕は大きくは無い。-何はともあれこんなに気持ちの良い毛布なら二度寝を展開させたいと本能的に動いていて、俺は強くそれを抱きしめた。”ひゃあっ”という声が後に聞こえた気もするが意識がさえないので分かった事ではない。

不思議な事に胸の辺りはとりわけ暖かく、其処だけ柔らかさの質がかなり違う。


おっっとこんな時間か。


時計のアラームが煩く部屋に響く。時刻はジャスト7時。今日は休日ではない水曜日なので、粗大ゴミの日で、学生は通常通り学校に行かなきゃならない。おちおち二度寝などして遅刻なんてしてはならんのだ、特に受験が近い高3は-なんて事を考えながらアラーム解除のため眠い身体を起こそうとした・・・。

・・・?身体が動かない・・・。なんだこの白い手はむ・・・なんでこんな可愛い


「・・・・うああああああああああああっ・・・・・はえにhりいいにじしんs??っ配けうえれx15!!」


こんなに日本語じゃない日本語を叫んだのは、小さい頃アニメで主人公が使っていたやたら長い外来語まみれの必殺技を叫んだ時ぐらいである。脱兎の勢いかそれ以上か、毛布となぞの白い手?を振り払い、部屋の隅に高速で俺は逃げ込んだ。


こんなことはっありえない!ありえない!!


「?」


眼前には小学校の時から使っているベット一式。下には小物と古く、処分するのを躊躇う週刊誌や月刊誌またエロい雑誌も混ざってあり小汚い。昨日変えたシーツ。それらの上には姉から貰った毛布をかぶって微笑がまぶしい少女がこっちを覗いていた。誰だよお前?

なにか?コレはあれかまた姉が考え出した俺に対しての新しいいじめなのか?ねえちょっと待ってよ?胸中は朝っぱらだっていうのに荒れていて短距離を全力で走った時のように、呼吸の一つ一つがちゃんとできず苦しい。そんでもって体中が高熱でもかかったように熱くて心臓の鼓動が臨界点を突破しかけている。

姉の陰謀なのか知らないが、こんなシチュエーションはどっかのゲームや小説の中にある出来事であって、普通はありえない。まあ正直男だから嬉しくない事は無い。どういった方法で俺のベットに爆弾を仕掛けたのか知らんが-この状況は非常にまずい。言わなくたってわかるよね?

それにさ


「なぜ貴様はすっぽんぽんなんじゃあああああああああああああああ!!?」


女の子にあるあの膨らみは先端がっくっきり見えるほど隠されておらず、毛布のせいで見えないが下も着ていない。嗚呼神様っ?俺がなにをしたって-


「うっさいなあ・・・人の安眠をさまっ・・・」


部屋に唯一ある扉の先には-憎き姉君が顔を真っ青にして俺をジロリと睨み付けていた。おいおい・・・。


「あの」


「まさか自分の弟が早朝から年下の子とプレイしてるなんて・・・庭でやりなさい!庭で」


「・・・・・・・」


いろいろ言いたい事はあるのだが、今ここで起こっている奇行は姉の目からでも奇異に写ったらしかった。と言うのも彼女ならば「あたしがやったんだよん!」みたいなことを示し、俺が羞恥心や憤慨に顔を真っ赤にさせている所をニヤニヤとさぞ嬉しそうに眺めてくるはずで-どうやら彼女の企んだ事じゃないらしい。・・・誰が彼女の言い分で、俺と寝るのだろうか。「今夜あたしの弟と一夜を共にしてくれない?」そんな事を誰かに言っても当然断られるし、彼女だって変態だとは思われたくないだろう・・・。多分ね。其処に金が絡んだり、強引な手段があるんだったら別途だが、そこまで俺をいじめようとは考えたくはないし、そこまで汚いとは思わない。すごい変態だけど。


とにかくだ。兎に角だ。とーにかくだ。


「ふぇ?」


眼前に広がるすっぽんぽんを適切に対処しなければならないのは確実で、下手をすれば猥褻罪で書類送検なんてこともありえなくは無い。そうなったら学生生活どころではない。

のけぞった身体を奮い立たせ、煩いアラームを止めてからクローゼットまでの距離をふらつきながら往く。止まらない冷や汗を拭い、依然として鼓動がせわしい胸の辺りを抑え、制服一式と水色のパジャマ一式を無造作にベットへと投げるようにして置く。そのあと断腸の想いで彼女のほうを注視する。年は中学低学年頃、十四歳から十五歳と推測が本当の年は知らない。ただ良い年頃で自分からその裸身を晒す・・・男はそういうのを本能的求める性質どこかにあるんだろうけど、このときの気分は最悪だった。痛々しくて見ていられない。


「貴方は誰?」


俺が口を動かす直前に、彼女の口が動いた。

飾り気は無いが、きれいに整ったロングヘアーに、翡翠色の眼。真っ白な紙のような素肌。


「俺は」


状況が状況で、口に錘か何か付いているようで動かない。


「私は誰?」


確かに俺の耳にはそういう言葉が届いた。届いたけれど、その言葉を飲み込むまでにはかなりの時間が必要で、混沌としているこの状況でその言葉が意味している核心を理解する事は叶わない。


「俺の名前は、前橋 京。とにかくだ、そこにある服に着替えてくれ」


冷静沈着に水色のパジャマを指差し着替えるよう指示したのだが。


「着替えるって何にぃ?」


無垢すぎる笑顔でそう答え、


「オイ!出るな、そっからでちゃいかっ・・・・お婿に行けんよ俺・・・やめろよ」


もう説明はしない!!!平常心を保つためにあえて!!!やっぱり何も着てなかったかこの野郎。発情したら知らんぞ!!!


「はあ」


そう。

そいつは某日本国のアニメキャラクター。ド○えも○のように、机の引き出しから登場するかのごとく、ベットの上から何の前触れも無くやってきやがった。


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