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時を遡る時

作者: chui
掲載日:2026/02/04

「ああ、これは見たことがある。」

道路の片隅に、名を知らない花が咲いているのを見た時に、そう思った。

見たと思ったのは、花の事ではなく、そこに映る光景すべてに対して見たことがあると思った。

どこで見たのか…学生時代の時には、すぐに思い出せたことも、今はなかなか思い出せなくなった。

これがデジャブというものなのか?

そう思う事の新鮮さも今はない。

それよりも今日の仕事だ…。

早い時間からクライアントとの会議がある。

私は駅に向かった。


「只今、信号機故障が発生しました…」

ホームに着いたとき、運休を告げるアナウンスが流れた。

こんな日になんで…

愚痴りたくなる気持ちを抑えながら、振替輸送はどうなるのか聞くために、改札に向かう。

「復旧のめどはたっていません」

改札の駅員は、自分に詰め寄ってくる人の多さに戸惑いを隠すことができず、声を張り上げていた。

乗り換えアプリで検索しても、歩きのルートしか表示されないので、他の交通機関へのアクセスを聞くために窓口に向かった。

「復旧まで待っていただくしか…」

埒が明かない。

窓口の駅員が言い終わる前に、タクシーを捕まえる為に外に向かった。


大学受験の日、大雪が降って電車が止まった。

受験校に連絡すると、遅れてもいいので来てほしいと言われたので、試験会場まで歩きで向かった。

雪でタクシーも走ってなかったし、捕まえられたとしても、お金がなかった。

もっと試験会場に近いホテルを取ればよかったと後悔したけど、今更どうすることもできない。

受験するにもお金がかかる。

地方に住む者は割を食うなと想いながら、凍える体と心にむち打ち、試験会場に向かった。

あれに比べれば大したことないと言い聞かせて、私は半ば駆け出していた。


嘘でしょ…。

タクシー乗り場には、長蛇の列ができていた。

先程の駅員と話した、あの時間のせいで遅れをとってしまった。

初めからここに来れば良かったと後悔しても、過ぎた時間は戻らない。

会社に遅刻する旨の電話をすると、上司はすでに出社していた。

「とにかく来てほしい」

そう言われて、どこかで聞いたことがあると思った。

その時、立ち眩みが襲った。

やばい…倒れる。

泣きっ面に蜂…弱り目に祟り目…踏んだり蹴ったり…日頃こんな言葉なんて出てこないのに、こういう状況では出てくるんだ、変なの。


「ああ、これは見たことがある。」

道路の片隅に、名を知らない花が咲いているのを見た時に、そう思った。

見たと思ったのは、花の事ではなく、そこに映る光景すべてに対して見たことがあると思った。

どこで見たのか…学生時代の時には、すぐに思い出せたことも、今はなかなか思い出せなくなった。

これがデジャブというものなのか?

そう思う事の新鮮さも今はない。

それよりも今日の仕事だ…あれ?

これはさっき見たよね?

あれはなんだったの?いや、今見ているコレはなに?


その時、またも立ち眩みが起こった。

あ、倒れる…。


ホテルの部屋から外を見ると、雪が降っていた。

かなりの大雪だ。

今日は大学受験の日なのに、こんな事ってあるの?電車動いているかな?

あれ?これも見たことある…。

私は洗面台に入り、鏡をみた。

若い私がそこには写っている。

私は確信した。時間がさかのぼってる。

そして、立ち眩みがおきた…まただ。


次に見たのは、白くまばゆい世界。何かわからないけれど、大きい音が響いている。

なんだろう?すごく刺激的で、どこかに出かけたい気分。

でも、体が重くて動かない。

私に何が起きているの。


そして次…。

見えるのは暗闇…そこに太鼓のような音が響いている。

すごく暖かくて、何かに守られている。そんな感覚があった。

心地よくて、とても眠い。

すこしだけ、いいよね。

私は深い眠りについた。

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