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師匠と弟子  作者: 麻川
6/8

真冬の溶けかけたチョコミントアイスクリーム

「何でお前こんな窓全開で毛布被ってンだ? 今の外気温解ってるか? 氷点下だぞ?」




「あ、お帰り! 心配してくれてるの? 嬉しいなー」 

「俺がたった今外から帰ってきたのに今度は室内がクソ寒いからな、その原因如何に因ってはどうしてくれようか方法を絞り込んでンだ。100字以内で簡潔に答えろ、さもなきゃその毛布引ッ剥がして外に放り出してやる」

「厭、えーっとね、今日寒いでしょ。だからアイスを食べようと思って」

「待て。何でそこにアイスが出る?」

「え?夏は鍋で冬はアイスを食べるのが慣習なんでしょ?僕だって日々勉強してるんだからね!」

「…。まぁ、良い。それで?」

「で、食べようとしたんだけど、外出たら寒いでしょ? だから家で作ろうと思って材料あったから作ったんだけど、この部屋で宴会やった時に誰かが冷蔵庫壊してったらしくてさ、後は冷やすだけだったんだけど仕方無いから室内冷凍庫にして冷やしてたんだー。ちゃんとお風呂とお茶の準備はバッチリです! 頑張ったんだよー、結構大変なんだねお菓子作りってさ」

「(やべェ、コッソリ直しとこうと思って余分に仕事やって来たのに何でタイミング悪ィかな、しかも)……お前が食えないだろ…」

「や、ミントで味付けしたから少しなら大丈夫だよきっと」

「薄荷、か…」

「……駄目、だった?」

「厭、駄目と言う訳じゃない。問題なしだ、だから態々力使うなよお前!!」

「えぇ、だって美味しく食べて欲しいよ!」

「本当に、駄目って訳じゃないんだ。ただ、……そう、嫌な思い出があるだけで」

「どんな――、て、聞かないから、ね、えとお茶でも飲む? こないだ貰ったお茶受けも出そうか、気に入ってたよね」

「――大丈夫だから、先にお前が風呂に入って来い部屋暖めとくから。お茶にするぞ。80字以上オーバーしたのは、今回はそのアイスの8割りを俺に寄越すなら不問にしといてやる」

「うー。細かいよー」

「的確で簡潔な文章を作成する事は仕事上でも求められる技能だろ。始めたのは誰だ?」

「僕でーす。え、でも未だ固まってないよ?」

「部屋暖めて茶ァ飲んでる間外出しとけば固まるだろ、食後のデザートにしようぜ」

「あ、そだね…、そうすれば良かったんだ…。……。お風呂、行ってきます!!」

「おー、温まれよー。入浴剤柚子の使って良いぞー」

「ううぅー、ありがとっ!!」


「……あー、阿呆な子程可愛いとは良く言ったもんだなー。俗説鵜呑みにしてるっつー事は、教えたのあいつ等だろーな、あぁクソ、今日はオムライスで良いか阿呆って書いてやる。……うあ、大人しく行ってくれて助かった…! 見せらんねェよこんな顔!! あー、恥かしィなクソ! ……取り合えず、先ず台所の片付けするか。そんでミルクだばだばの珈琲淹れて、…新しい豆使うか。部屋暖めて…、冷蔵庫早めに直さねェとなー。つか先ず買い物か? 買い置き全部使ったんだろーなー。こんな大量に作ったら中まで凍るのは時間掛るのになァ」


寒いの駄目なくせにとか甘いの全般駄目なくせにとかコッソリと年中行事を学んで自然にやろうとしたりとか。突っ込んでやりたい箇所は膨大だが、……誰の為にとか言われたら墓穴を掘るだけだ。最終的に嬉しい思いをするのはどちらも同じだが。



買い物に出た先で件の3兄弟に遭遇して散々からかわれて、結果好物のオムレツに書かれた『死ね!』という言葉と一番良い豆で挿れられた珈琲にどんな表情をするべきか迷った挙句、自分の密かな努力を知られたのだと気付き、結局はにかんだ様な微笑みを浮かべた。


「「あー、恥ずかしー」」



終劇 (040926)。



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