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不死の少女は王女様  作者: 未羊


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第81話 気になるなら仕方ない

 アンペラトリス……。

 その名前は、現在のコリーヌ帝国の皇帝の名前である。

 女性でありながらも聡明であり、洞察力の高さ、判断の早さなど、指導者としての力を十分に兼ね備えた女傑である。

 また、本人の戦闘能力も大したもので、剣や槍、斧など多彩な武器を操る。その代わり、魔法はあまり得意ではないものの、状態異常への耐性が高い。

 メスティの話によれば、幼少時には毒殺をされそうになったらしい。ところが、盛られた毒はまったく効く事がなく、本人の「味がおかしい」という一言で料理人やら給仕たちが一斉に処罰されたということがあったそうだ。

 ぶっちゃけいえば、化け物という感想が一番しっくりくるのではないのだろうか。


(うう、魔法以外は非の打ちどころなしですか。わ、私だって魔法を解いて成長すればあのくらいにはなれるはず!)


 ステラは翌日もアンペラトリスの話し相手になっていた。

 皇帝自らが城の中を案内しているのである。どうやら、ステラを自分の養女にするというのは本気のようだ。

 横を歩きながらアンペラトリスの姿を見るステラは、その体型に激しく嫉妬している。

 なにせ自分は11歳で成長が止まっている上に、悲しいまでの幼児体形だからだ。それは大人の女性としての魅力を振りまくアンペラトリスに嫉妬して当然と言えよう。

 そんな中、ちょうど帝国騎士団が訓練している場所へとやって来た。そこでは帝国の精鋭たちが今日も汗を流している。


(あっ、リューンくんが居るわ)


 そんな中で、ステラはすぐにリューンの姿を発見する。小さいせいでよく目立つのだ。

 リューンもそこそこの体格をしているものの、さすがは騎士たちと比べると半分くらいにしか見えない。それでも、必死に騎士たちの訓練についていっている。


「いいねえ、いい動きをしている」


「確かにそうだ。俺たちの入りたての頃を思い出すな。こうやって必死に先輩騎士たちに食らいついていったもんだ」


 騎士の何人かが、リューンの事を評価しているようである。

 ところが、アンペラトリスの姿に気が付くと、騎士たちは一斉に動きを止めて跪いた。さすがは騎士、動きが速い。


「コリーヌ帝国に栄光あれ!」


「コリーヌ帝国に栄光あれ!」


「この剣を皇帝陛下に捧げます!」


「この剣を皇帝陛下に捧げます!」


 団長らしき男性が叫ぶと、団員たちがそれを復唱する。思わぬ光景にステラとリューンは思わず動きが固まってしまう。

 そんなステラたちに構わず、アンペラトリスが団長に少し近付いて声を掛ける。


「日々の鍛錬ご苦労だな」


「はっ、我ら騎士団は、皇帝陛下の剣であり盾であります。その名に恥じぬよう、日々切磋琢磨しております」


「そうか。ところで、ちょっとその剣を貸してもらってもよいかな?」


「はっ、どうぞお使い下さい」


 アンペラトリスの命令に、跪いたままさっと剣を差し出す団長。その剣を軽く一振りしたアンペラトリスは、ステラへと視線を向ける。


「ステラリアよ、冒険者をしているのだったな」


 相変わらず本名で呼んでくるアンペラトリス。


「そうですけれど、一体何をするおつもりですか?」


 構えるステラ。嫌な予感しかしないのだから当然だろう。

 ステラのその質問に、アンペラトリスは鼻で笑っている。それはさも当然だろうと言わんばかりの態度だった。


「知れたこと……。そなたの力を見ておきたいというわけだよ」


 にやりと笑うアンペラトリス。その姿に、ステラは思わず息を飲んでしまう。

 アンペラトリスの全身から漂うオーラ。その覇気はすさまじく、並大抵の者であれば、おそらくは立っていられないものだろう。


「どうだ? この私と剣を交わす気はあるかね?」


「いいでしょう。お聞きしますが、私のいつものスタイルでよろしいでしょうか」


「双剣だったかな。構わぬぞ」


 ステラが確認すると、アンペラトリスは問題ないといった感じで答える。

 この思ってもいなかった流れに、帝国騎士団の面々はどよめいている。まさか皇帝の剣技を目の前で見られるなんて、おそれ多すぎるのだ。


「剣は模擬剣に持ち替えますか?」


「別にいつものでも構わぬぞ。どうせ当てられまいて」


 武器の確認をするステラ。するとここでもアンペラトリスは余裕たっぷりの受け答えをしていた。

 金級冒険者であるステラに対して、実に挑発的な発言である。

 しかし、ステラは実にいい知れない恐怖のようなものを感じていた。

 アンペラトリスは見た目的にもかなり若いのだが、その若さと女性であるという立場からしても、皇帝となるために血のにじむような努力を積み重ねてきた事は想像に難くない。

 それに出会ってからというもの、その身にはただならぬ覇気が一貫して感じられるのだ。

 騎士団の注目が集まる中、ステラとアンペラトリスは中央へと歩み出ていく。


「ステラさん……」


「リューンくんは危ないから、騎士団の人たちのところにいなさい。……正直いって、勝てる気がしないわ。でも、いずれは私たちが超えなきゃいけない壁よ。リューンくん、よく見てなさいね」


 ステラの言葉に、無言でこくりと頷くリューン。

 そして、騎士団のところへと退避すると、ステラがアンペラトリスと向かい合う。

 予定にはなかった女性同士の戦いが、今ここに始まろうとしていた。

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