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不死の少女は王女様  作者: 未羊


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第49話 ディス遺跡の探索、開始

「うう、結局眠れませんでしたね」


 見知らぬ場所ゆえに、ステラは警戒のし過ぎで一睡もできなかった。不死者になって睡眠が要らなくなっているとはいえ、気持ち的な問題がある。それゆえに、一睡もできなかった事は精神的なダメージとなっていた。

 それとは対照的に、リューンとベルオムはよく眠っていたようだ。

 起きてから支度を済ませると、ステラたちは早速ディス遺跡の調査を開始する。


「それにしても、本当に人が多いですね」


「魔物が無限に出現するとなると、うまみがあるからだろうね。普通は脅威に思うし、数の提供が多ければ値崩れをするものなのだがね」


「どうなってるんでしょうね、一体」


「さぁ、どうなんでしょうね。とりあえず現場を見てみれば分かるでしょう」


 ステラが結論付けると、二人はこくりと頷く。そして、冒険者が特に集中している場所へと向かっていった。


 向かった先は遺跡の中心ともいえる場所だった。他の場所に比べると、結構雰囲気の違った独特の場所になっている。


「なんていうか、この辺りだけ雰囲気が違いますね。壁も材質が違うように思います」


「確かにその通りだ。木ではないし、かといって石でもない。何だろうかな、この材質は」


 ベルオムはそう言いながら、壁を触ったりコツコツと叩いたりしている。どうも研究好きな性質が刺激されてしまっているようだ。


「不用意に触らないで下さいよ。何らかの仕組みが生きていて変な事が起きたらどうするんですか」


「はははっ、その時は頼むよ」


「……怒りますよ?」


 ステラが不死身な事をいいことに、押し付ける気満々のベルオムである。本気でキレていいと思う状況である。


「あっ、あそこを見て下さい。誰か戦っていますよ」


 そんな中、リューンが前方を指差している。

 リューンの声に反応して、ステラとベルオムもそちらを見る。そこでは何やら大きなトカゲらしき魔物と交戦する冒険者の姿があった。


「押されているようだな。どうするかな?」


「冒険者ならあれくらいは大丈夫だと思いますが、危なさそうなら助太刀しましょうか」


「まあ、それがいいだろう」


「えっ、すぐに助けないんですか?」


 ステラとベルオムの会話に驚くリューンである。

 すると、ステラがリューンの方を見ながら説明を始まる。


「冒険者の間には暗黙の了解があるのですよ」


「暗黙の了解?」


 ステラの言葉に、リューンがこてんと首を傾げている。どうやらよく理解できないようだ。


「魔物との交戦中は、危険だと思われる状況までは手を貸してはいけないというのが、冒険者の間にはあるんだよ」


「そうなんですよ。だから、まだ余裕がある状況なので、彼らの戦いに私たちが参加する事はタブーというわけですね」


「知らなかったです。そんなのがあるんですね」


 ステラとベルオムの話に、不可解ながらリューンはどうにか納得したようだった。

 だが、その時だった。ベルオムが警戒して動きを止めた。


「どうやら、その例外事項が発生したようですね」


「みたいですね」


 ステラも同じように動きを止めて剣に手を掛けている。一体どうしたというのだろうか。


「例外って?」


 思わず質問をするリューンである。


「交戦中の魔物からターゲットにされる事ですよ。敵意を向けられたまま素通りすれば、魔物を引き連れた二次災害を起こしかねませんからね」


 魔物を引き連れた二次災害……。つまりはモンスタートレインである。

 一定の距離を逃亡すれば振り切れることもあるが、稀にではあるものの、どこまでもついてくる魔物が存在している。もしそういった魔物の敵意を向けられた状態で移動を行えば、思わぬところにまで被害が及ぶ事になる。

 そういう状態に陥った時の対処法は2つ。

 他の人に助けを求めるか、自力でどうにかするかである。

 十分に戦闘力のあるステラたちは、後者の選択を取った。


「しかし、変ですね」


「確かにそうだな」


「ええ、まだ何かあるんですか?」


 話が続くものだから、リューンは驚き戸惑ってしまう。


「当然ですよ。交戦中ならば普通は近くを通っただけで敵意に巻き込まれる事はないんですよ。交戦の巻き添えになる事はあってもですね」


「そう。新たに狙いをつけられる事はまず考えられない。だが、今はそれが起きているんだ」


 二人が言う通り、実際この状況はかなり奇怪極まりない状況なのである。

 そんな中、別の冒険者集団と交戦していたトカゲの一部が、ステラたちの方に流れてきた。


「本当に何もしませんのに! ……まったく面倒ですね」


「しかし、こうなった以上は相手をせざるを得まい。リューン、君も戦うんだ」


「はい!」


 魔法鞄から先日ベルオムに買ってもらった剣を取り出すリューン。その剣を構える様は、以前よりマシになってきていた。

 ステラはその姿に感心したものだが、今はそれに構っている場合ではない。

 予想外の戦闘に巻き込まれてしまったステラたち。迫りくるトカゲの群れを前に、ステラたちは臨戦態勢を取る。

 ステラたちは無事にこの状況を切り抜ける事ができるのだろうか。

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