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不死の少女は王女様  作者: 未羊


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第33話 王都フォレへ

「さあ、着きましたよ。ここが王都フォレです」


 ステラたちはベルオムに連れられて、ボワ王国の王都フォレに到着していた。

 ステラたちに掛けられていた幻惑魔法はベルオムのせいであり、今現在は解かれている。そのために、ステラたちは何の問題もなくフォレの中へと入れていた。まったく、迷惑な師匠エルフである。


「ここが王都フォレですか。よく思えばこの辺りは初めてですね」


「そうなのかい? それにしても、ステラは仮面を着けたままなんだね」


 ステラが呟いていると、ベルオムは不思議そうに反応している。


「仮面は外せませんよ。その理由は昔も言ったじゃないですか」


「そうかな。もう君の事を知っている者は居ないだろう?」


「……それが、そうもいかなくなってしまったんですよ」


 ステラの言葉に、ベルオムは理解できないといった感じで首を傾げている。


「あの、冒険者組合に寄れば、その理由が分かると思います」


 そこに、リューンがおそるおそる声を掛けている。


「ほう、冒険者組合か。そうだね、城に行く前に寄り道もいいか」


 顎を軽く触ったベルオムは、リューンの意見を聞いて冒険者組合に寄る事にした。

 これは二人にとっては地味に助かる事だ。冒険者をしている以上、冒険者組合の位置を把握しておく事は重要なのである。

 なかなか街にやって来る事のないベルオムとはいえど、冒険者組合の位置はしっかりと把握しており、迷うことなくステラとリューンを案内していた。

 そして、中に入ったベルオムは、やけに目立つ貼り紙を見てため息をついていた。


「……なるほどね。これは仮面を取れなくなるわけだ」


 ちらりとステラの方を見て小さく呟いている。

 そう、ベルオムが見た貼り紙とは、バナルやヴォワザンで見かけた『ステラリア・エルミタージュ』の指名手配の貼り紙である。

 なにせその姿はステラのかつての姿そのままに描かれているのだから、ステラは変装を解けないというわけである。


「とりあえず、ここが冒険者組合だ。依頼を受けたくなったり素材を売りたくなったら、ここへやって来るといい」


「はい、ありがとうございます」


 ベルオムの言葉に反応したのはリューンだけだった。ステラの方はじっと貼り紙を見たままだった。


「……ステラ、城に向かいますよ」


「はっ。すみません、師匠」


 城に向かうという言葉を聞いて、ステラはようやく我に返る。そして、冒険者組合を出て城へと向かっていった。


 城に到着すると、当然ながらステラとリューンは不審者ということで門番に止められてしまっていた。


「この者たちは私の連れです。悪い子たちではないのは、私が保証致しましょう」


 必死に入れさせまいとする門番たちだが、さすがは宮廷魔術師の言葉である。ベルオムが強く言えば逆らえず、仕方なくステラとリューンを城の中へと通していた。

 門番の横を通る時、ステラはぺこりと頭を下げる。それを見たリューンも慌てて頭を下げていた。


「ステラさん、さっきはなぜ頭を?」


「不審者として止められていたのですよ? それを通してくれたのですから、お礼として頭を下げるものなのですよ」


「ああ、そういうわけなんですね」


 ステラの行動の理由が分かったリューンは、なんとなくながらも納得したようだった。


「ふふっ、本当なら王族であるステラは、頭を下げる必要はないんですけれどね」


「師匠、それをここで言わないで下さい。事態がややこしくなります」


 ぼそっと言うベルオムに、ステラは怒りながら言う。

 どうやらベルオムは、ステラが王女だという事を知っているようだった。このエルフ、一体どこまでステラの事を知っているのだろうか。

 城の中を歩くステラたち。ベルオムに連れられてやってきた場所に、思わず驚いてしまう。


「ちょっと、師匠。ここってまさか……」


 明らかに周りとは違う装飾の数々が施された扉。これだけ飾られた場所といったら、思いつくのは一か所しかなかった。


「そう。この部屋はボワ王国の国王陛下の部屋だよ」


 ウィンクをしながら話すベルオムである。顔のいいエルフだから様になるが、ステラは少しイラッとしたようだった。


「国王陛下、ベルオムでございます。少々よろしいでしょうか」


 衛兵も居るというのに、ベルオムは臆することなく扉を叩いて声を掛けている。その唐突な行動のせいで、衛兵から思いきり睨まれてしまっている。

 正直言ってステラは頭が痛くなった。その隣では、リューンが驚きで固まってしまっている。


「おお、ベルオムか。構わんぞ、入って参れ」


 国王から返事があった。しかもなんだか嬉しそうな声である。


「時に陛下。連れが二名ほど居るのですが、同席は構いませんでしょうか」


 しかし、だからといって素直に入らない。同行者が居る旨を国王に伝えるベルオムである。


「……いいだろう。お前が連れてきた人物だ、同席を許可する」


「はっ、ありがたく存じます」


 少し間はあったものの、ステラとリューンが一緒に部屋に入る許可が下りた。これもベルオムの信用があるためなのである。

 許可が下りた事で、衛兵が扉に手を掛ける。


「くれぐれも失礼のないようにな」


 衛兵はステラとリューンに対して確認を取っていた。王の護衛なのだから当然なのだが、その一方で幼子を手にかけたくないのだろう。その気持ちを察したステラは、こくりと頷いていた。

 部屋へと入った三人は、いよいよボワ王国の国王と対面したのだった。

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