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不死の少女は王女様  作者: 未羊


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第122話 滅亡の真実

 ベルオムと対峙するステラ。鋭い表情を向けているにもかかわらず、ベルオムの表情は実に落ち着いた様子だった。


「それを今知ったからといってどうするというのです。ここは狭いのですから、ステラの特長は活かせませんよ?」


 丁寧な口調で話すベルオムではあるが、瞳がまったく笑っていない。それどころか蔑んだ雰囲気すら感じさせるものだった。

 ゆっくりとステラに近付いていくベルオム。そのゆっくりとした足取りは、恐怖すら感じさせるほどに威圧感を放っていた。


『まったく、うかつだった……』


 国王がゆっくりと話し始める。


『まったくですわね。まさかあんな事をされるまで気が付かなかったなんて……』


 王妃も頬に手を当てながら悔しそうに呟く。

 それに対して、ベルオムは口元を歪めて笑っている。


「ええ、まったくのおバカさんですよ。大陸統一を果たして外敵を失ったがために、警戒というものを怠ったツケがあの惨劇を招いたのです」


 そう言いながら、ベルオムはあざ笑っている。その姿に怒り心頭になったステラは、ベルオムへと斬りかかる。


「おっと、怒りに囚われた攻撃は、実に単調ですね」


 ベルオムはあっさりとステラの攻撃を防ぎ、はねのけていた。


「くっ……」


 弾き飛ばされたステラは、どうにかうまく着地をしてダメージを回避する。だが、やはり狭い場所ということもあってか、ベルオムには歯が立ちそうになかった。

 悔しそうな表情をするステラに、ベルオムはにやりと笑う。


「このまま一方的になぶるのもいいですが、ステラは死にませんものね。時間がかかっても復活してしまう。で、あるなら……」


 ステラの両親に向けて不気味な笑みを浮かべえるベルオム。


「自分の両親がどれだけ愚かしい人物か、心折れるまでお聞かせしましょう」


 体が死なぬというのなら、心を壊せばいい。ベルオムはそう考えたのだった。

 そうやって、ベルオムによる昔話が始まったのだった。


 ―――


 ベルオムはエルミタージュ大陸の西側の大陸の出身である。

 そこにあったエルフたちの国エルフェウス、ベルオムはその国の王子だった。

 エルフェウスではエルミタージュ王国に対する印象はすこぶる悪かった。その理由は魔道具である。

 魔法を道具に宿して使うなど、魔法を得意とするエルフには邪道だったからだ。

 そうした中、エルフの国の中でエルミタージュ王国を滅ぼす議論が持ち上がる。

 当時のエルフェウスは、魔道具反対派と擁護派の間で一触即発レベルの事態になってしまった。

 そこでその判断を委ねられたのが、当時王子だったユジュプ・エルフェ、つまりはベルオムだった。

 当時からベルオムは魔道具に魅せられており、擁護派が勝利するだろうと思われていたが、まったく違う展開が待っていた。

 それは、ベルオムがエルミタージュ王国を滅ぼす判断をした事だった。

 当時のベルオムの国民への説明は以下の通りだった。

 エルミタージュ王国は魔道具を生み出した罪深き国であるがゆえ、存在は許されない。

 だが、その持つ技術を自分たちエルフのものとし、魔法に関するあらゆる権威を自分たちのものにしようという目論見だった。

 つまり、自分たちが魔法に関して一番優れているので、魔道具のすべてをエルフで独占、掌握してしまえばよいというものだった。

 これによって、反対派と擁護派の対立はおさまり、エルミタージュ王国滅亡作戦が周到に計画されたのである。

 そこで耳に入ったのが、エルミタージュ王国の王女ステラリア・エルミタージュの誕生日パーティーだった。

 ベルオムはこれを利用しようと企み、まずは友好的な態度でエルミタージュ王国に接近したのだ。それを隠れみのにして、こつこつと商人などに扮した兵士たちを送り込んだのだ。

 入念に準備された計画は、その第一弾が誕生日パーティーの7日前に引き起こされる。

 エルミタージュ大陸内の魔物を刺激して、大規模な混乱を引き起こしたのだ。

 魔物の暴動の規模が大きくなると、とても冒険者たちだけでは対処しきれない。しかも複数箇所で同時に起こせば、王国の騎士たちは動かざるを得ない。そうなると城の警備が手薄になるというわけだ。魔物を使った大規模な陽動なのである。

 その混乱に乗じて密かに王城周辺に兵士を集めて、誕生日パーティーの当日を迎える。なにせ、王女ステラリア・エルミタージュの11歳の誕生日パーティーだ。人も集めてしまった手前、簡単に中止にもできないと踏んだ上での計画だったのである。

 魔物の混乱のせいで多くの騎士や兵士が不在。警備体制が不十分の中でパーティーは行われ、ベルオムは頃合いを見計らって兵士たちを城へと突撃させたのだ。

 ベルオム側が友好的な態度を見せて近付いていたので、エルミタージュ国王たちは疑うことをしなかった。突撃してきた兵士たちの容姿でようやくベルオムの仕業だと知った時は、時すでに遅しなのである。

 招待客たちは逃げ惑う間もなく全員が殺され、エルミタージュ王城は炎に巻かれて陥落。あとはステラの記憶にある通りだったのだ。

 こうして、大陸を統一するまでの巨大国家となったエルミタージュ王国は、一夜にしてあっさりと滅びたのだった。

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