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不死の少女は王女様  作者: 未羊


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第102話 衝撃的な新事実

 書庫を調べた翌日、書庫からグランのいるディス遺跡の地下へと転移するステラとアンペラトリス。アンペラトリスの手には、コリーヌ帝国の帝室の家系図が記された本が握られている。

 どうやら無事にコリーヌ帝国の書庫から本を持ち出す事ができたようである。


『今日も来たのか。まあ、話し相手がいるのは退屈をせんで助かるがのぅ』


 グランはあご髭を触りながらにこやかに笑っている。本当に生きているかのような反応である。


『それはそうとして、どうじゃ、コリーヌ帝国の家系図とやらは持ってきたのかの?』


「ああ、ここにある」


 グランが問い掛けると、アンペラトリスが本を持ち上げて示しながら答えている。

 それを見たグランは、なんとも意外だというような表情を浮かべている。


『ほほう、帝国の歴代皇帝の家系図だというのに、ずいぶんと飾り気のない書物じゃのう』


「言ってしまえば帝国の機密事項だからな。おいそれと外へは持ち出せぬし、それと分かっては困るからな」


『ふむふむ、なるほどのう』


 アンペラトリスの言い分に、納得がいっているようである。


「だが、今回こうやって持ち出したのは、ステラリアの先祖であるそなたを信用したからだ。嘘を言っているような感じにも思えぬしな」


『ふぉっふぉっふぉっ、信用してもらえるのはありがたいものじゃな。わしはもう死んだ身じゃし、魔力で姿を保っておるにすぎん。この状態では嘘をつくなどできんのだよ』


 グランは笑いながら喋っている。


『さて、その辺にテーブルと椅子があるじゃろう。わしの近くまで持ってきて囲もうではないか。立ったままではつらいじゃろう?』


「確かにそうだな。気遣い感謝する」


 アンペラトリスは、そう言いながら乱雑に置かれていたテーブルと椅子をグランの正面まで持ってくる。そして、それをステラが魔法できれいにしていた。


「さすがは冒険者生活をしているだけのことはあるな。洗浄の魔法を使えるとはな」


「これぐらいはできないと困りますよ。私だって元々は王女なのですから、汚れたままなんていうのは嫌なのです」


 アンペラトリスは褒めているというのに、不機嫌そうに顔を背けて怒るステラである。

 だが、すぐに機嫌を直したステラは、ひとまず椅子に腰を掛ける。こうして、アンペラトリスの先祖の検証が始まるのだった。


「この家系図だが、新皇帝が即位した後にひと月ほどかけて編さんされる。現状では血縁関係の中で皇帝が受け継がれているがために、基本的には皇帝の父方か母方が追加されていくという形になるな」


『ほうほう』


 アンペラトリスの説明を聞いて、頷くように反応をするグランである。

 そして、アンペラトリスはあるページを開いてグランの前へと本を差し出す。グランはそのページをじっと覗き込んだ。


「これが私の家系図だ。先代皇帝、私の父親に家系図に母の家系図が書き足されたものとなっている。母方の方をずっと遡っていくと、28代前にマジークという名前が出てくる。今からおおよそ700年くらい前だと言われている」


『うむ、そのくらいであれば確かに時代は合致しそうじゃな。わしの孫娘であるマジーク・エルミタージュはわしが65歳の時の孫娘じゃ。なにせ末娘の子じゃったからな、生まれるのが遅くても仕方あるまいて』


 アンペラトリスの話に頷くグラン。


「しかしだ、グラン殿の話を信じるならば、マジークの上にさらに2代遡ってグラン殿の名前が出てこなければおかしいのだ」


「28代前のマジークのところから上は、途切れていますね」


 疑問を呈するアンペラトリスを不思議に思って、ステラが家系図を覗き込む。すると、28代前の部分で不自然に名前が途切れていた。

 だが、他のところも不自然に途切れているので、これだけ問題視するというのもおかしな話だった。おそらくは欲しい情報が得られなかったことによる腹立たしさといったところだろう。


『いや、これだけ先祖を追えていればなかなかのものだと思うぞ。マジークの夫の名前がはっきり分かっているのは幸いじゃな。そのおかげではっきりと確証が持てたわい』


 グランは自信たっぷりに白い歯を見せていた。


『マジークの夫はリマといってな。わしが死ぬ前に連れてきおったんじゃ』


 グランの証言に、もう一度家系図を見るステラとアンペラトリス。

 すると、マジークの隣に書かれた名前は確かに『リマ』という名前だった。


「ということは、私は……」


『うむ、間違いないな。エルミタージュ王家の子孫じゃ。傍流ではあるがな』


 衝撃的な事実が判明してしまった。

 なんと、アンペラトリスはエルミタージュ王家の子孫だったのだ。


『だが、おぬしが大陸統一を果たしたところで、ステラリアの秘術は解けぬ。聞いてはおるだろうが、ステラリア自身がエルミタージュ王家を再興し、なおかつ子孫を残さねばならぬのだからな』


「心得ておりますとも。エルミタージュ国王と王妃からも、直々にその身を任されたのです。約束は違えぬ主義ゆえ、必ずや果たしてみせましょう」


 グランに対して、実に心強い表情で答えるアンペラトリスなのであった。

 はたして、これからのステラはどうなるというのであろうか。新たな局面を迎えることになりそうである。

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