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序章 燃える王都
ーグランバルト王国歴千年 千年祭の夜ー
燃え盛るグランバルト城に手を伸ばしながら、
少年は既に枯れた声で、何度も何度も父と母の名を呼んだ。
炎のなかに飛び込まんとする彼を、悲痛な表情をした従者と仲間達が押さえつける。
手を伸ばせば届きそうな距離に思えた。
しかし実際には遥か彼方に遠く、どれだけ手を伸ばしても空を切るだけであった。
自らが育った城と王都。阿鼻叫喚と炎に包まれるそれらを見送りながら、
少年は、ただただ滲んだ景色の中で慟哭することしか出来なかったー