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褒美

私達が王都へ向かう途中のことだった。国王陛下からある提案を持ちかけられた。その内容はというと、今回の件に関して、国王陛下から褒美を与えるというものだった。当然のことながら、最初は断った。何故か残念そうな顔をされてしまった。……あれぇ~? おかしいなぁ……。


「遠慮することはないんだ。それに、今回の件に関しては本当に感謝しているからな」

そこまで言われてしまったので仕方なく受けることにした。何をくれるかと言えば現金である。一人あたり金貨10枚ずつらしい。はっきり言って、貰いすぎと思うが、国王陛下曰く、それだけの価値はあるとのことである。


私は正直微妙な気持ちになった。私には金が必要なかった。そもそもの話として、今までずっと一人で生きてきたわけだし、生活に必要なものは自分で全て用意してきた。だから、今更金貨を貰ったとしても、使う機会は全くない。他の皆は違ったみたいで、とても喜んでいた。まるで宝くじに当たったかのような喜びようで、早速使い道を話し合っていた。


それから、更に数日ほど移動したある日のこと。ついに王都が見えてくるところまで到達することができた。途中で何度か休憩を挟みつつ、ゆっくりと進んでいったが、道中は至って順調であり、魔物の襲撃もなかったし、盗賊にも遭遇しなかった。だから、思ったよりも早く到着することができてホッとしている。


しかし、ここで問題が発生した。それは、どうやって門番に身分証を見せるかということである。一応、事前に考えていた手はあったが、果たして通用するかどうかがわからないため、実行に移すことができなかったのだ。しかし、そんな心配も無用だった。何故なら、城門の前に近付いた時、突然馬車が止められたからだ。そのことに驚いた私達だったが、すぐにその理由を知ることになる。何故ならば、目の前にいる兵士の一人が、いきなり敬礼をしたからだ。……んっ? この人ってもしかすると……


「お久しゅうございます!カイト様!」

「ああ」

やっぱりそうだった。

「お元気そうですね」

「はい! おかげさまで、日々訓練に明け暮れております」

「そうか」

「はい!……ところで、本日はどのようなご要件でしょうか?」

「実は……」

「なるほど! そういうことでしたら、お任せください」

「助かる」

「いえ、これも仕事ですから」

「そうか」

「はい!それでは、こちらへどうぞ」

「分かった」


話はトントン拍子に進み、あっさりと中に入ることができてしまった。それにしても、まさかあの人が王都の兵士になっていたとは思わなかった。これは嬉しい誤算である。これで色々とやりやすくなる。……でもまあ、一番の驚きなのは、父上と母上の反応である。だって、二人は先程までの態度から一変して、急に丁寧な態度になった。しかも、言葉遣いまで変わってるしさ。……一体何があったのだろうか? よく分からないが、とりあえず深く考えないようにしよう。



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