国王
誰だと振り返るとそこにいたのは、なんと国王陛下の姿があった。
「父上!?」
「おお! レオンではないか!……ということは、お前達が噂の冒険者たちなのだな?」
「はい! その通りです!」
「なるほどな。それでお前たちは今何をしているのだ?……いや、そもそもここはどこだ? 見た感じでは戦場のように思えるが……」
「その説明の前に、まずは父上にお願いしたいことがあるのですがよろしいですか?」
「……ほう?……いいだろう。言ってみろ」
「ありがとうございます! 実はこの先に重傷者が大勢いるんです! だから彼らを運んでほしいんです!」
「重傷者? 一体何人いるんだ? それにどうやって運べば良い?」
「人数はざっと見積もっても千人以上います! それと、移動手段に関しては問題ありません! 実は俺たちの仲間の中に飛竜を持っている者がおりまして、彼らに運んでもらおうと思っております! もちろん重傷者を運ぶための設備も用意しておりますので、どうかよろしくお願いします!!」
ここまで一気にまくし立てると、私は頭を下げて頼み込んだ。
「ふふっ、分かった。そういうことならば任せておけ。すぐに取り掛かるとしよう」
「本当ですか!? ああっ……良かった……。これでなんとかなりそうだ……」
ここまで一気にまくし立てると、私は頭を下げて頼み込んだ。
「ふふっ、わかった。そういうことならば任せておけ。すぐに取り掛かるとしよう」
「本当ですか!? ああっ……良かった……。これで何とかなりそうだ……」
「だが、準備ができるまではしばらく時間がかかると思うが、それでも構わないか?」
「はい! 大丈夫です!!……ああっ……本当に助かった……」
「よし。それじゃあ早速始めるとするか。おい、そこの兵士ども! 貴様らは動ける者から負傷者をこちらに連れてこい!! ……それから、そっちの女子供は邪魔になるだけだからさっさと避難しろ!!!」
「ひいっ……」
「こわいよぉ……」
「助けてください……」
「ふんっ。情けない奴らめが。そんなことでどうする気だ? これから戦争が始まるという時に……まあいい。それよりも、さっさと動けぬ者は連れてくるがよい! そうでないものはさっさとここから立ち去れ! そして、ここにいる全員を無事に街まで送り届けよ!!」
「ははっ!!!」
「承知しましたっ!!!直ちに行動に移ります!」
こうして、国王陛下の指示のもと、兵士達が次々と動き始めた。
「ふう……一時はどうなることかと思ったけど、どうにかうまくいきそうで安心したよ」
「そうですね。でも、まさか国王陛下自ら動いてくださるとは思いませんでした」
「うん。私もびっくりした。でも、あれだけ怒っていたら逆らえないだろうね」
「そうねぇ。あたしもあの人に逆らおうなんて、絶対に思わないわぁ」
「確かに。でも、おかげで助かりました」
「……ん? 何か言ったかい?」
「いえ、何でもないですよ」
「そうそう。それよりカイトさんこそ怪我はないですか?」
「ああ、私は平気だよ。でも、他のみんなはまだ治療の途中だし、もう少しここで休んでいくことにしよう」
「そうですね。それがいいと思います」
「賛成ですぅ」
「でも、カイトさん。こんなことを頼める立場ではないのですが、もしよろしかったら私達と一緒に王都へ来ていただけませんでしょうか?」
「え? どうしてだい?」
「それは……その……」
「ああ、ごめん。別に責めているわけじゃないから気にしないでくれ。ただ、理由を聞いておきたかったんだ」
「……はい。実は今回の件に関して、私達はあまりにも無知すぎるのです。なので、一度国王陛下に報告しておかなければと思いまして……」
「なるほどな。そういうことだったのか。それなら私からも頼むよ。一緒に行こうじゃないか」
「ありがとうございます!」
「やったー!」
「嬉しいな!」
「ただし、あくまで私達は冒険者として同行するだけで、国王陛下とは直接会えないかもしれないぞ?」
「はい。分かっています」
「ならいいんだけどな」
その後、私達は国王陛下の手伝いをしながら、ゆっくりと休息を取っていった。