大鎌
魔王を倒した翌日、俺は街に戻っていた。とりあえずギルドに行って報告を済ませることにする。受付に行くと、いつものようにミラさんがいた。彼女は笑顔で出迎えてくれた。
「お疲れさまです。依頼の方は無事に達成されましたか?」
「ええ、なんとか終わりましたよ」
「流石ですね。それで報酬の話なのですが……」
「すみません、今日はもう帰ることにします」
「わかりました。またのお越しをお待ちしております」
俺は軽く会釈をしてその場を離れた。外に出ると、空を見上げた。太陽はまだ高い位置にある。
(まだ時間はあるな。よし、久しぶりに行くか!)
行き先を決めた俺は早速行動を開始した。まずは道具屋で回復薬を買い込むと、次に武器屋の店に入った。そこには様々な種類の剣や槍が置かれていた。俺はその中から一本を選ぶと、代金を払って店を後にした。それから街の外に向かって歩き続ける。しばらくして森が見えてくると、その手前で立ち止まった。
(ここら辺かな?)
周囲に誰もいないことを確認すると、アイテムボックスの中からあるものを取り出した。それは、魔王が使っていた大鎌だった。それを地面に突き刺すと、魔法を発動させる準備を始めた。
(確かこんな感じだったよな……)
以前、本を読んで覚えた知識を頼りにイメージを固めていく。すると、地面が揺れ始めた。しばらく待っていると、突然大きな穴が現れた。その深さは底が見えないほどだ。俺はそこに飛び込んでいった。数秒後、俺は広い空間に立っていた。そこはまるで闘技場のような場所になっていた。
(うん、これぐらいの広さがあれば十分だろ)
満足すると、今度は別の場所に移動することにした。その場所とは魔王城だ。俺は城の前まで来ると、入り口を開いた。中に入ると、昨日と同じ場所に魔王は座っていた。
「よく来たな勇者よ」
「おう、約束通り来たぞ」
「クカカッ!まさか本当に一人で乗り込んでくるとはな」
「まあ、お前が負けを認めればすぐに終わるけどな」
「ふんっ!馬鹿を言うでないわ。貴様ごときにこの我が倒せるはずがないであろう」
「へぇー、随分と自信があるみたいじゃないか」
「当然だ。貴様の実力では我には勝てん」
「そうかもな。だけど、やってみないとわからないだろ」
「いや、わかる。なぜなら、我は既に貴様に敗北しているのだからな」
「どういうことだ?」
「簡単な話だ。あの時、貴様は我に止めを刺し損ねていただろう。もし、そのまま攻撃を続けていたならば、間違いなく我は死んでいたはずだ」
「……」
「だが、貴様はそれをしなかった。つまり、我を殺さずに無力化しようと考えていたというわけだ。それが何を意味するのか、賢き者である貴様なら理解できるのではないか?」
「……」
「クカカッ!やはり図星か!まったく甘い男だよ、貴様という奴は」
「うるさい!黙れ!!」
俺は怒りに任せて斬りかかった。しかし、魔王は余裕のある表情を浮かべている。そして、俺の攻撃を全て防ぎ切ってしまった。
「くそっ!!」
「無駄だとわかっただろう。さあ、大人しく降参するのだ」
「断る!!」
「そうか……。残念だ」
次の瞬間、魔王の手から黒い球体のようなものが現れて俺を飲み込んだ。視界が完全に塞がれてしまったので、何も見えなくなってしまった。それでも必死に抵抗するが抜け出せないでいる。やがて意識を失いそうになった時、急に視界が開けた。どうやら外に放り出されたようだ。俺は空中に投げ出されていたのだが、何とか体勢を整えてから着地することに成功した。
「どうだ?自分の愚かさを理解できたか?」
「ああ、十分に理解したよ。やっぱり俺じゃ無理みたいだ。でも、諦めるつもりはない」
「ほう、まだ戦う気なのか?」
「当たり前だ。俺はまだ戦える」
「ふむ、いいだろう。それなら見せてもらおうか」
「ああ、見ていてくれ」
俺は大きく深呼吸をすると同時に、聖剣を構えた。そして、全身の力を解き放つように叫んだ。
「いくぜ!!これが俺の一撃だ!!!」
次の瞬間、俺の姿は消えていた。その速さは今までで一番速かった。魔王も反応できなかったのか、全く動けていない。俺は勢いのまま魔王に接近した。そこでようやく動き出した魔王だったが、既に手遅れだった。俺は魔王を真っ二つにした。その直後、魔王城は崩壊を始めていった。「やった…………勝ったんだ」
こうして俺は魔王を倒すことに成功した。しかし、代償として街が半壊してしまった。そのことを反省しながら街に戻ると、大勢の人達が出迎えてくれた。
「ありがとうございます!」
「流石です!」
「これで安心できます!」
感謝の言葉が次々と送られてくる。俺はそれに対して笑顔で応えながら、街の復興を手伝うことにした。こうして世界に平和が訪れた。




