戦場
訳も分からず、急ぎ王都を発つことになった。
「ああっ! お待ちくださいませぇ~!」
そこで背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。振り返るとそこには……
「あなた方は!?」
そう。そこにいたのは、先ほどまで一緒に食事をしていたあの三人の冒険者たちだった。
「わたくしたちもご一緒させてくださいましぃ!」
「え? で、ですが、危険ですよ?」
「大丈夫ですぅ! だって、みなさん強いんですものぉ!」
「それに、私たちも一度この国を見て回りたいと思っていたところなんですよ」
「だからお願いします!」
「うーん……」
確かに彼女達は私よりもレベルが高いだろうけどさぁ……。しかし、こうなったらもう止められないよねぇ。俺は仕方なく同行を許可することにした。そして改めて馬車に乗り込むと、そのまま一気に国境を目指すことになる。
「こりゃまた随分と荒れてるね……」
国境付近に到着した私達であったが、そこはまさに戦場のような有様になっていた。あちこちに怪我人らしき人たちの姿が見える。どうやら皆、動けないようであった。
「これはひどいですね……」
「早く治療しないと手遅れになるかもしれません!」
「とにかく急ごうか」
私達はそのまま急いで現場へと向かった。するとそこでは、数人の兵士が必死になって負傷者たちを運んでいる姿が見えた。
「おい! 誰か手を貸せ!!」
「今行くぞっ!」
彼らは兵士なのか? いや、でもそれならなんでこんなところで戦っているのかわからないんだけど……。まあいいか。それよりも今は彼らを助けないとだよね。
「皆さん、ここは任せていいですか?」
「ああ、もちろんだよ」
「ありがとうございます!……では、行きましょう!」
まずは一番重症そうな人を優先させるべく、その人の元へと向かうことに。
「君達、一体どこから来たんだい?」
「私達は冒険者なのですが、たまたま近くを通りかかったものですから」
「そうかい。それは助かるよ。実は俺たちだけじゃ手が足りなくて困っていたんだ」
「分かりました。それではまず彼を運んであげて下さい」
「分かった!おいお前ら、手伝ってくれ!」
そんな会話を交わしながら、兵士達と共に重傷者の元へと向かっていく。
そして到着した先で見たものは―――――
「酷い傷だ……」
全身血だらけの状態で横たわる男性の姿を目にした瞬間、思わず言葉を失ってしまった。だが、ここで立ち止まっていては何も始まらない。すぐに気を取り直して回復魔法を発動させた。
「ヒール!」
よし、これでひとまず安心かな? 後は意識を取り戻すのを待つだけだが……